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失業給付の受給資格、通勤困難の基準とは?

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失業給付の受給資格、通勤困難の基準とは?

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第40回 ホワイト企業人事労務ワンポイント解説   

Q

会社事業所の移転があり、二名の社員から、通勤することが困難になったとの理由で「退職届」が提出されました。一人(社員A)は通勤時間が片道約100分、もう一人(社員B)は片道約120分かかると言っています。二人とも退職後はハローワークで失業給付を受けたいので離職票の交付を希望していますが退職者二名はどのような扱いになるのでしょうか。何か優遇措置のようなものはありますか?

A

自己の都合で退職した場合、ハローワークで求職の申込みをしてもすぐには失業給付(基本手当)が受給できない給付制限期間が設けられています。この度、この給付制限期間の扱いに変更があったので本稿で後述します。一方、離職の理由によっては待期期間の7日経過後すぐに、失業給付を受給できる場合があります。それは、退職者のうち「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」に該当する場合です。以下、冒頭の質問の退職者のケースを例にとって、雇用保険における受給資格の扱いについて解説します。

 

特定受給資格者と特定理由離職者

 雇用保険では次表のような離職理由の場合「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」となります。 

 特定受給資格者又は特定理由離職者に該当する場合、前述のとおり、失業給付の給付制限期間はありません。
 そして、通常の離職者の場合には失業給付の給付日数は勤続年数に応じて90日(勤続10年未満)、120日(10年以上20年未満)、150日(20年以上)であるのに対し、「特定受給資格者」又は雇い止めの場合の「特定理由離職者」(「正当な理由のある自己都合退職者」は除く)は次表のように失業給付の給付日数が優遇されることになります。

 優遇措置には上記以外に受給要件期間の短縮もあります。失業給付の受給には、原則として離職日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが必要ですが、特定受給資格者と特定理由離職者に該当する場合には離職日以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば失業給付の受給要件を満たすことができます。

通勤困難の基準とは?

 さて、特定受給資格者と特定理由離職者の判断基準の一つに「通勤困難となったことによる離職」があります。特定受給資格者の要件は、「事業所の移転」により通勤することが困難となったことによる離職、また、特定理由離職者は「結婚に伴う住所の変更の理由等」により通勤不可能又は困難となったことによる離職です。



 そして、いずれの場合も通勤困難とは「通常の方法により通勤するための往復所要時間が概ね4時間以上であるとき等」(厚労省リーフレット)とされています。したがって今回の事例では、社員Bは基準に該当しますが、社員Aは残念ながら「通勤困難者」としては非該当と判定される可能性が高いと言えるでしょう。

「給付制限期間」が2ヶ月に短縮(制度改正情報)

 令和2年10月1日以降に離職した場合、正当な理由がない自己都合退職の場合、失業手当の給付制限期間が従来の3ヶ月から2ヶ月に短縮されることになりました。若い世代を中心に「転職」する人が増えているため、こうした人達が安心して再就職活動ができるようにするための制度改正です(注:雇用保険の法改正ではなく、業務取扱要領の改正による)。ただし5年間のうち2回までの離職に適用され3回目以降の離職は従来通り給付制限期間は3ヶ月となります。また、懲戒解雇のように自己の責めに帰すべき重大な理由による(重責)解雇の場合は、10月1日以降も給付制限期間は3ヶ月のままとなります。
 さて、冒頭の事例では社員B(通勤片道2時間)は特定受給資格者になる可能性が高く失業給付はすぐに受けられると考えられますが、社員Aは通勤時間が片道約100分のため通勤困難の基準を満たしておらず、通常の自己都合退職者として扱われる可能性があります。その場合、10月1日以降の離職であれば制度改正の適用があり、失業給付の給付制限期間は2ヶ月に短縮され、期間満了後は失業給付が受けられることになるものと考えられます。

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