1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. WEB連載記事
  4. ホワイト企業の人事労務ワンポイント解説
  5. テレワーク規程の整備について

プライムCメディア

テレワーク規程の整備について

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
テレワーク規程の整備について

米田徹先生のプロフィールはこちら

第37回 ホワイト企業人事労務ワンポイント解説   

Q

当社は従業員数約50名の中小企業ですが、今回の新型コロナ騒動の混乱の中で、可能な業務についてはテレワークの実施に踏み切りました。現在の就業規則以外にテレワークに対応した規程の整備が必要になると考えますが、どのような点に留意して作成したらよいでしょうか。

A

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークを導入する企業が急増しています。テレワークについて特段の法的な定めはなく、導入する場合には勤務時間の管理など企業の特性に合わせた規定整備を行うことが重要です。テレワークは働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3種がありますが、以下、在宅勤務の場合を前提にポイントを解説します。

 

テレワーク規程作成のポイント

 テレワーク勤務においても、労働基準法、最低賃金法、安全衛生法、労災法などの労働法が適用対象になります。労働時間制度やその他の労働条件が通常のオフィス勤務の場合とまったく同じなら、既存の就業規則のままでテレワーク勤務を行うことも可能です。
 しかし、テレワークを行う上では例えば通信費や情報通信機器、光熱費等の費用負担などを定める必要が生じます。また、通常の事業場での勤務の場合と業務の態様や労務管理の方法が異なってくるのが通例で、テレワーク許可、勤務中の労働時間などの管理・報告事項等について、規程を整備することが望まれます。

(1)テレワーク勤務の定義

[規定例]:「在宅勤務とは、従業員の自宅、その他自宅に準じる場所(会社指定の場所に限る。)において情報通信機器を利用した業務をいう。」

 ここで自宅に準じる場所とは、例えば、介護をしている親の家などが想定されますが、会社の認めた場所と限定するのがよいでしょう。

(2)テレワーク勤務の対象者

 対象を全従業員にするのか、一定の条件(育児・介護の必要性がある者、勤続○年以上の者など)をつけるのか等々を定めます。いずれにしても、許可基準を設けた上で会社が「許可」した者と規定します。

(3)服務規律(遵守事項)

 通常勤務の服務規律に加えてテレワークで必要な服務規律があれば追加します。特に会社の業務データなど情報の管理、職務専念義務について注意喚起するような内容が考えられます。また、情報セキュリティ対策や構築が重要ですが、総務省が公表している「テレワークセキュリティガイドライン」を参考にすると良いでしょう。
 同ガイドラインでは、①基本方針:セキュリティ全体の根幹、②対策基準:実施すべきことや守るべきこと、③実施手順:具体的に実行するための手順、等が記載されています。

(4)労働時間

 テレワークであっても、労基法に定められる労働時間制が適用されることになります。会社はテレワークする社員の労働時間を適切に把握する必要があり、原則的にはパソコンの使用記録などの客観的な記録が望ましく、やむを得ず自己申告制等にする場合でも、実際の労働時間との乖離が生じないように留意する必要があります。
 労働時間は、通常の朝9時から18時まで(昼食休憩は12時から1時間)といった定まった時間帯を労働時間とするのが適当なのかは各社のおかれている状況や勤務者の仕事の仕方や業務内容によって検討する必要があるでしょう。
 例えば、各日の始業及び終業の時刻を勤務者自らが決定し、一定の期間(例えば1カ月)内の総労働時間を1週間あたり平均40労働時間以下に定めて働く「フレックスタイム制」の採用も考えられるところです。
 その他には、「事業場外みなし労働時間制」を採用することも考えられます。自宅作業で会社と常時通信可能な状態に置かれることなく、また随時会社からの具体的な指示に基づかなくても本人の裁量で業務が進められるような場合であれば厳格な時間管理をせずに「みなし労働時間制」にすることを規定して実施することもテレワーク勤務の有力な方法といえます。

(5)休憩、休日、時間外労働、欠勤

 労働時間管理、出退勤管理に関して、通常の就業規則内容と異なる点があれば、規定します。始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、時間外・休日勤務をする場合の手続き、「中抜け時間」の取扱い(休憩時間とするか時間単位年休として扱う等)などを定めるのが一般的です。

(6)給与等

 在宅勤務においては、通勤手当について定めておく必要があるでしょう。テレワークで不要になったはずの費用を会社が負担し続けることも考えられますが、テレワークした分だけ通勤費が浮くような状態が継続する場合には通勤手当の多い人と少ない人で不公平になるといった問題もあります。
 したがって、「週に○日以上の在宅勤務を行った場合、実際に通勤に要する往復運賃の実費を支給する。」といった定めをすることが考えられます。
 在宅中の光熱費や通信費、またその他消耗品費は労働者の負担になる場合が多いと思います。そこで、こうした費用の負担については、テレワーク手当や在宅勤務手当として支給することも考えられます(在宅勤務1日あたり数百円程度を支給する等々の定め)。
 パソコン、プリンタ等の機器については会社が貸与する場合と従業員自らが所有する機器を利用させる場合が考えられます。特に後者の場合、費用負担などについての定めが必要になるでしょう。

まとめ

 今回の新型コロナウイルス感染の広がりを受けて、急遽テレワーク導入に踏み切った企業も多いと思います。社内規程の整備に加え、長時間労働の抑制や情報管理、十分な社内教育等の実施が望まれます。また、テレワーク実施者の評価制度、賃金制度の明確化など課題も多いと思いますが、仕事における場所的な制約がなくなることによって有能な人材を活用する可能性も高まると考えられます。より多くの中小企業がテレワークを導入し柔軟な働き方の選択肢を広げることが望まれます。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ