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表彰及び懲戒ー4ー

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表彰及び懲戒ー4ー

著者・米田徹氏のプロフィールはこちら

賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(37)

Q

今回のテーマは、制裁処分の中でも最も重い懲戒解雇とその事由の規定方法についてですね。

A

前回までの「けん責」「減給」「出勤停止」及び「降格」の懲戒処分は企業に留まることを前提にした処分ですが、今回の懲戒解雇は「労働者側の責めに帰すべき重大な事由」があって、その労働者を企業外に放逐せざるを得ない究極の処罰ですから、他の懲戒事由とは明確に 分けて定めるのが良いでしょう。

 第30回の 「普通解雇」の際にも説明したように、「解雇の事由」は就業規則の絶対的必要記載事項ですし、「懲戒解雇」の場合には就業規則に記載されていない理由で行うことはできない、すなわち「限定列挙」が必要とされているので厳格に規定することが必要になります。

 ところで、企業によっては「懲戒解雇」と類似の処分として就業規則に「諭旨解雇」を定める場合があります。
 諭旨(ゆし)には「相手に言って聞かせる」という意味があります。
 本来であれば「懲戒解雇」が相当な非違行為と認められるのですが若干軽減した懲戒処分として「諭旨解雇」を設けるのです。

 通常は、本人に「退職願」もしくは「辞表」を提出するように勧告し、提出した場合には「諭旨解雇」にするといった処分になります。
 本人にとっては、「懲戒解雇」処分を受けたとなると、その後の転職等への大きな障害にもなりかねず、不利益の程度は非常に大きいと思います。

 その点、「諭旨解雇」は一般的には「諭旨退職」とか「依願退職」といったりする場合もあり、重大な処分であることには変わりはありませんが「懲戒解雇」よりは若干緩やかな処分といえます。

 多くの会社では「退職金制度」がある場合が多いと思いますが、懲戒解雇の場合には退職金は全額不支給や大幅な減額になるのが一般的なのに対し、「諭旨解雇」であれば全額支給又は一定額の減額に留める等、温情的な措置がとられる場合が多いのではないでしょうか。

Q

諭旨解雇も重大な懲戒処分であることには変わりはなく、解雇の事由としては懲戒解雇と同じと考えていいですね。
そして、会社が労働者を諭旨解雇又は懲戒解雇処分とするためには、必ず就業規則の規定に則って行わなければならないわけですね。

A

はい、それを刑法では「罪刑法定主義」といいますが、懲戒解雇規定についても、いかなる事由がある場合にそのような処分がなされるのかを明確かつ限定的に定めておくことが求められます。

 懲戒解雇事由については、多くの書物が刊行されていて多数の例が記載されていると思いますので、自社の実情に即してできるだけ具体的に列挙するのがいいでしょう。

 一般的には、1)経歴詐称、2)職務遂行上の重大な怠慢、3)業務命令違反・妨害、4)職場規律違反など、考えられる重大な企業秩序違反行為を網羅的に記載してください。
 そして、最後には「その他前各号に準ずる程度の不適切な行為があった時」といった「包括規定」を忘れずに入れましょう。

Q

「懲戒解雇」は即時解雇となり解雇予告手当の支払も不要と考えてよいでしょうか?

A

懲戒解雇であっても「解雇予告手当」の不支給については、そう単純ではありません。まず、「予告期間を設けることなく即時解雇する。」とし、さらに「所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合には解雇予告手当を支給しない。」と記載すべきでしょう。

 労基署長の認定は懲戒解雇の有効無効ではなく、「解雇予告手当」の支払の除外を認めるか否かの認定になりますので、懲戒解雇が有効だったとしても直ちに「解雇予告手当」の支払いが不要というわけではないのです。
 実務的には、不支給とするのであれば、事案発生ごとに事前に所轄の労働基準監督署に確認をしておく等の手続きを取るのが良いでしょう。

 通常、「諭旨解雇」と「懲戒解雇」の規定は以下のような記載例になります。

(「諭旨解雇」と「懲戒解雇」の規定例)
・諭旨解雇
 懲戒解雇相当の事由がある場合で、本人に反省が認められる場合は退職願を提出するように勧告する。ただし、勧告に従わないときは懲戒解雇とする。諭旨解雇となる者には、その状況を勘案の上、退職金の一部を支給しないことがある。

・懲戒解雇
 予告期間を設けることなく即時解雇する。所轄労働基準監督署長の認定をうけたときは、解雇予告手当を支給しない。懲戒解雇となる者には、その状況を勘案の上、退職金の全部又は一部を支給しない。

Q

「懲戒解雇」に限らないのですが、懲戒処分決定の前に、調査や社内審議をする必要があり、その場合、本人に自宅待機を命じる必要がある場合があると思います。
そのような場合はどのように対処すればよいでしょうか?

A

そうですね、例えば金品の横領とか最近ではセクハラやパワハラ発生に伴う調査が必要な場合が考えられます。

 そのような状況であれば、会社は労働者の就労は適切でないとして、これを拒否し自宅待機を命じることが可能です。
 就業規則に「懲戒に該当する行為があった者について、その処分が決定するまでの間、自宅待機を命ずることがある。」といった条項を入れておくのも良いでしょう。

 なお、自宅待機中の賃金については懲戒規定の「出勤停止」における自宅待機とは趣旨が違いますので、使用者の都合によるものと解され、原則として会社に賃金の支払い義務が発生します。

 もちろん、懲戒解雇のような重大な企業秩序違反に伴い、その調査や審議決定のために自宅待機させるというような場合であれば、その間、賃金を不支給にするといった措置も許される可能性はありますが、そうであったとしても実務上は支払った方が無難だと考えられます。

 以上、懲戒処分についての説明は今回で終了とします。次回は定年後の継続雇用における「嘱託規定」について検討しましょう。

今回のポイント

  • 懲戒解雇は「労働者側の責めに帰すべき重大な事由」があって、その労働者を企業外に放逐せざるを得ない究極の処罰なので懲戒解雇事由は厳格に規定する必要がある。
  • 懲戒解雇事由では、1)経歴詐称、2)職務遂行上の重大な怠慢、3)業務命令違反・妨害、4)職場規律違反など、考えられる重大な企業秩序違反行為を網羅的に記載する。
  • 「諭旨解雇」は懲戒解雇相当の事由がある場合で、本人に反省が認められるときには「退職願」を提出させる等で処分を若干軽減する懲戒処分である。
  • 懲戒解雇であっても「解雇予告手当」を不支給にするためには労基署長の認定が必要である。
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