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普通解雇

著者・米田徹氏のプロフィールはこちら

賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(30)

Q

「退職」に続いて、今回は「解雇」の規定方法について教えてください。解雇とは使用者の一方的な意思表示で労働契約を終了させることでしたね。

A

はい、「解雇」には「普通解雇」と「懲戒解雇」がありますが、どちらにしても従業員は解雇されれば直ちに生活に困窮することになるわけですから、理由もなく解雇するようなことは認められません。

 従業員としての地位の安全を確保するためにも、就業規則にはどのような場合に「解雇」が行われるのか 解雇事由を具体的に定めておかなければならないのです。

 この場合によく問題になるのは、解雇事由をすべて限定的に列挙するべきか(限定列挙説:列記された事由以外の解雇は不可)、あるいは例示的に列挙すればよいか(例示列挙説:記載漏れ等で直接該当しない場合でも解雇可)という点です。

 限定列挙説の場合には、想定されるあらゆる解雇ケースを記載しなければならないので、解雇事由は多岐に及んで事細かく規定することになります。
 特に、「懲戒解雇」の場合には就業規則に記載されていない理由で行うことはできない、すなわち「限定列挙」が必要とされているので注意してください。

 なお、普通解雇の場合でも「例示列挙」では不十分で「限定列挙」が必要とする裁判例も多いので、解雇事由の最後には、「その他前各号に準ずるやむを得ない事由が生じたとき」といった包括的な解雇事由を定めておくことが重要です。

Q

解雇には「普通解雇」と「懲戒解雇」があるわけですが、解雇事由はどのように違うのでしょうか?

A

「懲戒解雇」については「表彰・懲戒」といった章で定めることが多いと思います。

 懲戒解雇は会社の秩序を乱した懲罰として労働契約を解消するということなので、その点「普通解雇」とは意味合いが異なります。
 そこで、ここではまず「普通解雇」について検討しましょう。「普通解雇」には大きく次の2種類が考えられます。

(1)労働者の責任によるもの
(2)経営上の必要性によるもの

 「(1)の労働者の責任による」の具体的内容としては、例えば次のような事由を定めればよいでしょう。

1)身体又は精神の障害等により業務に耐えられないと認められるとき
2)能力不足又は勤務成績不良で就業に適さないと認められるとき
3)勤務態度が不良で従業員として不適格なとき
4)協調性を欠き、他の従業員の業務遂行に悪影響を及ぼすと認められるとき

 これらは、労働契約上の業務遂行の義務が労働者の責任で果たせない(債務不履行)ことを理由に(普通)解雇するということを定めています。

 一方、「(2)の経営上の必要性による」、というのは「整理解雇」とも呼ばれるもので、労働者に責はなく、会社の経営上の理由により労働契約を解消することです。

5)事業の縮小その他やむを得ない業務の都合によるとき

 そして、最後には包括規定を必ず入れるようにしましょう。

6)その他前各号に準ずるやむを得ない事由が生じたとき

Q

当社の就業規則の普通解雇の条文には「第○条第×項の懲戒解雇事由に該当するとき」という定めがあるのですが、このような条項はいれておいた方がよいのでしょうか?

A

通常の就業規則では、「懲戒解雇」の事由については多数の項目を限定的に記載するのに対して、普通解雇では上記で記載した程度の比較的簡単な条項しか定めないことが多いと思います。そのために、限定列挙を確実にする意味で「懲戒解雇事由に該当するとき」という定めを、「普通解雇」の条文の中にも入れておこうという趣旨なのだと思います。

 しかし「懲戒解雇」と「普通解雇」は本来別物ですから、そのような条項を定めると両者の線引きが分かりにくくなるので、懲戒解雇事由と関連させた条項を普通解雇で定める必要は必ずしもないと私は考えています。

 例えば、懲戒解雇にもなりうるような非違行為は普通解雇にもなりうると考えられますが、その場合は普通解雇の「(1)労働者の責任によるものの事由(上記の四角囲み1)~4) )」のいずれかに該当する場合がほとんどでしょうし、普通解雇事由の最後に記載する「6)包括規定」の適用も可能だと思います。

 普通解雇の事由については、あまり事細かに定めすぎたり厳格に記載しすぎると、かえって企業側の解雇権の行使が制約されてしまうリスクが考えられます。
 ですから、普通解雇の理由記載では、勤務成績が「極めて」劣悪とか、「再三にわたる」注意にもかかわらずとかいった修飾語もなるべく避けて例記したようにシンプルな表現にすることをお勧めします。

 もちろん、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法16条)とあるように、安易な理由で解雇できるということはありえません。

Q

わかりました。それでは最後に、解雇予告手当の支給など「解雇手続き」についての定めについて教えてください。

A

労基法には、「解雇制限(19条)」「解雇予告手続(20条)」「解雇予告の適用除外(21条)が定められています。

 労基法は労働契約の最低基準を定める法律なので、就業規則に記載がなくても必ず適用されることになります。

 その点、法律の内容をすべて就業規則に盛り込むことは困難ですから、これらについてはあえて詳細に記載する必要はありません。
 「労働者を解雇する場合の手続き等は、労働基準法の定めるところによる」などとしても良いでしょう。

 なお、解雇予告手当(労基法20条)についてはトラブルを避ける意味でも就業規則に次のような定めを入れておくとよいでしょう。

例(解雇予告)
第○条 従業員が、前条の各号の一に該当する場合には、30日前に予告するか、又は平均賃金の30日分を支払う。なお、当該予告日数は、1日につき平均賃金を支払った場合においてはその日数を短縮する。

 次回は、「退職金」についての規定を検討します。

今回のポイント

  • 「解雇」には「普通解雇」と「懲戒解雇」があり、就業規則にはどのような場合に「解雇」が行われるのかを定める必要がある。
  • 普通解雇事由には、(1)労働者の責任によるもの、と(2)経営上の必要性によるものがある。
  • 普通解雇事由の定めでは必要以上に厳格な記載は避けるようにする(解雇権の行使が制限されてしまうおそれがあるため)
  • 解雇事由の最後に必ず包括的な解雇事由を定めるようにする。
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