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第207回 賃金の差押え、相殺について -1-

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第207回 賃金の差押え、相殺について -1-

 中川恒彦の人事労務相談コーナー

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今回は「賃金の差押え、相殺」について取り上げます。
・賃金の差押え、相殺はいくらまでなのか?
・社員が会社製品を購入した場合、いくらまで賃金から控除できるのか?
こういった疑問について、法令や判例を引用し、かみ砕きながらわかりやすく解説します。
(ホームページ編集部)

Q

1年ほど前、社員が売上金をごまかして、100万円あまり横領していた事件があり、毎月3万円ずつ返済するという約束の下、自己都合退職という形をとりました。はじめのうちは毎月返済していたのですが、最近滞りがちになり、残りの金額については、現在勤務している会社の賃金を差押えすることも検討しようと思っています。差押えの場合、賃金の4分の1が限度ということのようですが、どうなのでしょうか。なお、ついでで申し訳ありませんが、社員が会社製品を購入した場合、代金を賃金から差し引く額についての制限があるようですが、その内容についてご教示ください。

A

1 賃金月額が44万円以内の場合は、その賃金額の4分の3が差押え禁止となります。賃金月額が44万円を超えるときは、その賃金額のうち33万円が差押え禁止となります。(民事執行法第152条)例えば、賃金月額が40万円とすると、40万円の4分の3すなわち30万円が差押え禁止となりますから、差押えができるのは10万円までということになります。賃金月額が60万円とすると、差押え禁止額は33万円ですから、60万円-33万円=27万円まで差押えが可能です。
2 賃金支払いの際、会社製品購入額を控除するには賃金控除協定が必要ですが、労働基準法上は控除額についての限度はありません。しかし、控除が相殺に該当する場合は、民法上、上記の差押え限度額を超える相殺はできません。(民法第510条)

 

〔解説〕


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