1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. WEB連載記事
  4. ホワイト企業の人事労務ワンポイント解説
  5. 年金生活者支援給付金。請求を忘れずに!

プライムCメディア

年金生活者支援給付金。請求を忘れずに!

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
年金生活者支援給付金。請求を忘れずに!

米田徹先生のプロフィールはこちら

第26回 ホワイト企業人事労務ワンポイント解説   

Q

私の母親(78歳)に日本年金機構から「年金生活者支援給付金」の請求手続きの書類が届きました。母は老齢基礎年金と亡くなった父の遺族厚生年金で併せて月額17万円程度の年金を受けていますが、このような支援給付金も併せていただけるのでしょうか?

A

10月から年金制度とは別の福祉的政策として、「年金生活者支援給付金」の制度がスタートしました。この制度自体は2012年(平成24年)に創設され、消費税を10%に引き上げたときにその財源を基に支給するとされたため、2度の増税延期によって実施が延びていたものです。
通常のサラリーマン世帯には直接関係ありませんが、支給対象者は約970万人と想定されています。年金生活者支援給付金は原則、上限が月額5000円程度ですが、消費税増税時のポイント還元のような一回限りの措置ではなく、恒久的な制度なので、内容をしっかり理解した上で対象者は請求を忘れずに行う必要があります。

年金生活者支援給付金の種類と支給要件

 支援給付金には受けている年金の種類により3つの種別があります(いずれも非課税収入の扱い)。
 65歳以上で老齢基礎年金を受給している人が対象になる(1)老齢年金生活者支援給付金。障害年金受給者が対象になる(2)障害年金生活者支援給付金。そして遺族(基礎)年金を受けている人への(3)遺族年金生活者支援給付金です。支給要件を順に見ていきましょう。

 支援給付金で最も多いのが、この高齢者向けの給付金です。65歳以上で老齢基礎年金を受給している人が対象になります。②世帯全員が非課税の要件は、前年(1~7月は前々年)の所得で判断します。同一世帯に1人でも課税者がいると支給対象になりません。
 ③の公的年金等収入額には国民年金、厚生年金、企業年金(基金・DB・DC)等を含みますが、障害給付や遺族給付は除きます。また、「その他の所得」には、給与・事業・不動産などの所得を含みます。



 障害(基礎)年金、遺族基礎年金を受給している人の支援給付金の場合には年齢や世帯全員が非課税等の要件はありませんが、本人の前年所得額に一定の制限があります。扶養者無しの会社員なら給与所得が462.1万円(年収ベースで約645万円)以下であることが要件になります。
 なお、遺族年金生活者支援給付金は配偶者が死亡した、子(原則18歳未満)を持つ親又は子(遺族基礎年金受給者)のための支援給付金です。

年金生活者支援給付の支給金額は?

 65歳以上が対象になる「老齢年金生活者支援給付金」の支給額は以下となります。



 40年間保険料を納め続けた人の支給額は月額5000円で納付期間が短い人ほど少なくなります。なお、国民年金保険料の免除制度を利用した期間がある人は、基礎年金額が少ないことを考慮して、支援金を増額する仕組みがあります。
 また、所得の逆転を生じさせないように、年金収入及びその他の所得金額が約78万円~87万9300円以下の場合には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます(下イメージ図)
(2)の障害年金生活者支援給付金は障害等級2級の場合の支給額は月額5000円、障害等級1級の場合は月額6250円となります。また、(3)の遺族年金生活者支援給付金の支給額は月額5000円となります。


支援給付金を受けるには請求手続きが必要

 日本年金機構は9月から順次、薄い黄緑色の封書を対象者に送っていて、中には制度の案内と給付金の見込み額が記載された請求書が入っています。「年金」とは異なり受給権の発生したとき、あるいは時効消滅になる5年前の分まで遡って支給するといった救済制度はなく、原則、請求した翌月からの支給となるので、名前などを記入して早めに返送してください。
 給付金制度は今年10月から始まり、年金と一緒に偶数月に支給されます(通帳には年金・支援金と段を分けて記載されます)。初回については、10月18日までに日本年金機構に請求書が届いた場合には12月の年金支給日に支給されますが、請求書が年内に届かない場合には、過去の給付金は受け取れなくなり、返送翌月分からの支給になります。

 給付金を請求して受け取れるようになれば引き続き支給要件を満たしている場合、翌年以降の手続きは原則不要です。ただし、支給要件を満たさなくなったことにより、一度給付金を受け取れなくなった場合には、その後、再度支給要件を満たして給付金を受けようとする場合は、改めて請求手続きが必要です。

 さて、冒頭の質問者の母親(78歳)は年金(老齢・遺族を受給)を月額約17万円受給していて低年金者とはいえませんが、公的年金等収入には遺族年金(非課税)は対象にならないため、同一世帯に市町村民税の課税者がいない等の要件を満たせば、「老齢年金生活者支援給付金」(注:遺族年金生活者支援給付金ではない)として月額5000円(保険料40年納付の場合)程度が終身で受けとれることになります。

プライムコンサルタントでは、本記事のようにWEB会員限定サービスをご提供しています。
「WEB会員」サービスはどなたでも無料でご利用いただけます。
今すぐご登録ください(入会金・会費など一切無料です。また、ご不要であればいつでも退会できます)。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ