第129回 退職時に年次有給休暇の買上げはできるか

中川恒彦の人事労務相談コーナー
年次有給休暇を買い上げることで、従業員が本来、請求できる日数を減らすことは労働基準法違反です。ただし、どのような場合でも買い上げができないというわけではなく、時効や退職時等、いくつかのケースでは違反にはなりません。
今回は関連する通達を紹介しながら、年次有給休暇の買い上げについて解説します。(ホームページ編集部)
Q
この度、退職予定の従業員が残余の年次有給休暇を買い上げてくれないかといってきました。
当社としては、退職日を延ばされてその間年次有給休暇を取得された場合も賃金を支払うわけで、どちらにしてもそれほど金銭的な違いはないので、応じてもいいと考えています。
ただ、年次有給休暇の買上げは違法であるとされているようですので、退職予定の従業員から申出があった場合も違法であるのかについて説明いただければ幸いです。
A
年次有給休暇を買い上げることにより、請求できる年次有給休暇を減らしたり、請求された日数を与えないことは労働基準法違反になりますが、時効の成立、退職等によって請求することのできなくなった年次有給休暇日数に応じて金銭を支払うことは、事前の買上げと異なり、違反にはなりません。