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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー16ー

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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー16ー

大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり(16) 

 皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸です。
 これまで15回にわたって「大切な昇給を売上アップにつなぐ仕組み作り」について解説してきました。
 今回は、その締めくくりとして、賞与配分の考え方についてご紹介していきたいと思います。

23.賃金比例によらない賞与の配分方法

 みなさんの会社では、社員一人ひとりの賞与をどのように決めていらっしゃいますか。
 最低賃金や時間外手当、深夜手当、毎月払いの原則等、法律による一定の制限を受ける月例賃金に比べ、賞与は会社側の裁量が大きく、会社によっては賞与という仕組みをもたないところもあります。
 そのため、賞与は、月例賃金以上に会社の報酬に対するポリシーが表れる部分でもあります。

 第4回でも述べたように、私たちは賞与は「成果報酬」であると考えています。もう少し説明すると、会社が実現した期間業績(利益)の一部を、社員の貢献度に応じて還元するとの位置づけです。

 そのため、月給(基本給)は、社員の生活の安定のために中長期的な視点で継続性を重視した運用を行いますが、賞与については、一定期間(通常半年)で実現した利益と社員の貢献(評価)に応じて短期間で決済し、毎回ゼロリセットすることをお奨めしています。

 ところで、賞与の決め方として古くから採用されている賃金比例による配分方法(例えば、「基本給×基準月数(○カ月)×評価係数」など)は、半年間の社員の貢献を十分に反映していることになるでしょうか。

 評価係数によって貢献の違いを反映していますが、賃金が関係しているために、場合によっては評価と賞与額が逆転することがあります。
 例えば、評価が高くても基本給が低ければ賞与額が小さくなるために、評価が低くて基本給が高い人の賞与額の方が大きくなることが起こり得ます。

 これでは、期間業績への貢献に応じた還元という意味合いが薄くなり、中長期的な運用を行う基本給の延長線になりかねません。
 また、一般的に若い社員は基本給が低いので、どんなに頑張って貢献しても、賞与がそれほど大きくならないために、優秀な若手社員が不満を抱きやすくなるという懸念もあります。

 そこで、私たちは、「賃金比例方式」ではなく、役割と貢献に応じた賞与額がシンプルに決められる「配分点数表方式」をお奨めしています(図1)。

図1 配分点数表を用いた賞与配分

 配分点数表方式では、いきなり一人ひとりの賞与額を決めるのではなく、まず、それぞれの等級と評価に応じた配分点数を付与します。
 図1の例の場合、R1等級でB評価をとった社員には「100点」が、A評価の社員には「110点」が与えられます。同様に、R2等級でB評価をとった社員には「120点」、A評価の社員には「135点」が与えられます。

 このようにして与えられた配分点数と1点単価をかけることで、社員一人ひとりの賞与額を決定します。
 1点単価はどのようにして決めるかというと、会社業績に連動して予め決定しておいた賞与原資を、全員に付与したの配分点数の合計で割り算して算出します。

 図1の「計算例」をご覧ください。
 今、賞与原資6,000万円を用意している100人の会社があります。社員全員に等級と評価に基づいて配分点数を付与したところ、その合計が15,000点になりました。すると、1点単価は、6,000万円を15,000点で割って、4,000円になります。

 では、各人の賞与額はどうなるでしょうか。
 R1等級でA評価の人の場合、配分点数が「120点」ですので、4,000円に120点をかけて、賞与額は480,000円になります。他の等級、評価の場合も同じようにして簡単に計算できます。

 この方法を使えば、賃金の高さではなく、等級と評価、すなわち期間中の貢献度の高さに応じて賞与額を決定することができます。

 また、配分点数表方式のもう一つの特徴として、賞与額の合計は、予め用意した賞与原資内におさまることが挙げられます。その理由は、賞与原資を出発点に1点単価を計算してるからです。
 これは、賞与決定の実務のうえでも大きなメリットです。

 賃金比例方式の場合、評価が出揃うまで全体の賞与額がどれくらいになるのかわかりません。高評価の人が多いと賞与総額が膨らみ、用意できる原資を超えそうになることがあります。
 また、高い評価が賃金の高い人に集中する場合とその逆とでは賞与総額が変動します。

 賞与総額を予定原資内に収める方法としては、基準月数を変更したり、評価を調整をすることが考えらます。
 しかし、このような対処は、非常に手間がかかるばかりでなく、賞与の決め方や評価に対する信頼性や納得度に悪影響を及ぼしかねません。配分点数表方式では、そのような手間や懸念はありませんので安心です。
 これが配分点数表を用いた賞与決定の基本的な考え方です。

 ところで、毎回この連載をお読み頂いている方はお気づきかもしれませんが、配分点数表の等級と評価の関係は、第13回の図2でご紹介した基本給の「号俸改定の例」と対応しており、報酬制度全体の整合性がとれるようになっています。

 また、この配分点数表の点数をどのように設定するかによって、賞与の格差をコントロールできます。
 図1の例では、R1等級のB評価は「100点」、A評価は「110点」とその差は1.1倍です。つまり、賞与額も1.1倍の差がつくわけですが、A評価の点数を120点にすれば格差は1.2倍となります。

 役割と評価による配分格差をどの程度にするかについても、各社の報酬ポリシーが表れるところです。 

 今回を含めて全16回にわたる「大切な昇給を売上アップにつなぐ仕組み作り」について解説してきました。毎回、ご愛読いただき本当にありがとうございました。

 企業を取り巻く環境は非常に速く、激しく変化しており、その中で生き残っていくために社員一人ひとりの成長が一層求められる時代です。
 社員の生活を支え、成長に向けて集中力を発揮してもらうためには、会社が賃金に込めたメッセージや期待を社員にきちんと伝え、限られた・大切な人件費原資を有効に活用する仕組みが必要です。

 本シリーズでご紹介した考え方や制度が、皆さんの会社のより良い人事管理のお役に立ちましたら幸いです。

 ※本シリーズは、2015年5月19日に開催した当社主催のセミナー内容をもとに執筆しています。

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