第183回「通常予見することのできない業務量の大幅な増加」とは

中川恒彦の人事労務相談コーナー
今回は、改正後の労働基準法における「時間外労働の限度」と、「その限度を超える時間外労働」についてお伝えします。「通常予見することのできない業務量の大幅な増加」という抽象的な表現の解釈に対して、元滋賀労働基準局長の筆者が鋭く切り込みます。労基法のスペシャリストの見解に、ぜひ触れてみてください。(ホームページ編集部)
Q
今回改正された労働基準法では、月45時間、年360時間という時間外労働の限度時間を超えることができる場合について、「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」といっています。「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等があった場合に限り、月45時間、年360時間を超えることができる」ということだと思いますが、「通常予見することのできない業務量の大幅な増加」とは、どれぐらい増加する場合をいうのでしょうか。また、そのような増加は、1年に何回ぐらい認められるのでしょうか。
A
「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」について、厚生労働省は、
『全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいう』
といっています。
〔解説〕
まず、時間外労働に関するこれまでの規制について簡単に説明し、改正後の労働基準法における時間外労働の限度、その限度を超える時間外労働について説明することとします。