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Unit 24: 労災補償と労働安全衛生2-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)

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Unit 24: 労災補償と労働安全衛生2-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

前回は、「労災補償と労働安全衛生」と題し、主に労災補償のシステムについて学習しました。
今回は、労災補償と民事損害賠償請求の関係について学習します。

労災補償と民事損害賠償請求

労災保険給付と損害賠償の関係

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今回は、労災補償と民事損害賠償請求の関係について学習します。突然ですが、前回学習した労災保険が生まれた背景を覚えていますか?

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労働者に過失立証責任があるなど、使用者への直接的な損害賠償請求が実を結ばないケースが多かったから、だと記憶しています。

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そうですね。そこから、「無過失責任」の労災保険制度が発達していきました。

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労災保険のおかげで、被災労働者等を迅速に保護することが可能になるのでしたね。先進諸国で見られるこのような優れたシステムがあれば、労働者自身が使用者を直接相手取る損害賠償はもう必要ありませんね。

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そのように考えたくなる気持ちもわかりますが、実はそうではないのです。確かに、一部の先進諸国では労災保険制度が用意されていることを根拠に、民事損害賠償請求を認めずに排除しているところもあります。しかし、日本では、労災保険給付の請求と損害賠償請求を同時に行える、「併存主義」をとっています。

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両者が併存しているとなると、被災労働者等への補償面で複雑になる気がしますが、なぜ併存しているのですか?

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その主な理由は、「労災保険給付が、労働災害により被災労働者等が被った損害を完全に補填するものではないから」です。

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えっ、そうなのですか。前回、様々な種類の労災保険給付について学び、補償内容は充実していると思っていたのですが…。

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確かに、労災保険給付による補償の範囲は広く、充実しています。しかし、①精神的損害を補填するものではないこと、②休業給付でカバーできるのはもとの賃金の最大8割までであることなどから、損害を完全に填補しないものと考えられています。

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なるほど。労災保険は完全無欠のシステムではない、ということなのですね。ですが、労災保険給付と損賠賠償請求が併存しているとなると、二重補填等の問題が生じるのではないのですか?

労災保険給付と損害賠償の調整

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鋭い質問ですね。単純に両者が併存しているだけでは、被災労働者等の損害を二重に回復することとなってしまいます。そこで、使用者は労災保険給付の範囲で損害賠償責任を免れる、という一定の調整が行われます。

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つまり、労災保険から給付金が支給されると、その分については損害賠償請求ができないということでしょうか?

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そのとおりです。言い換えると、労災保険給付を超える損害については、被災労働者等は使用者に対して損害賠償請求ができるということです。

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重大な労働災害によって障害が残ってしまった時など、労災保険給付の請求に加えて損害賠償請求を行う場合があるのでしょうね。

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はい。「労災が起きてしまっても労災保険が面倒を見てくれるから、損害賠償問題には発展しない」と思い込んでしまっている使用者もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。あってはならないことですが、被災労働者が死亡してしまった場合等には、賠償金額が数千万円など高額になることがあります。

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過去の判例によると、若年の労働者が死亡した場合には、1億円前後の賠償金支払いが命じられた事例もあるようですね。

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そうですね。もしそのような事故が発生し巨額の賠償義務を負った場合には、資金力に乏しい中小企業にとっては会社存亡の危機に直面することになります。

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まったくその通りだと思います。そうならないためにも、企業はどのような対策をとればよいのでしょうか?

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まずは、「労災を起こさない」という意識で労働安全の確保を徹底することが何よりも大切です。そのために必要なことは、職場の安全衛生の確保や従業員の健康管理等です。具体的には、労働災害を未然に防ぐことを目的としている労働安全衛生法を順守していくことが求められるでしょう。

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なるほど。しかし、事業内容によっては、危険がつきものの仕事で事故ゼロ達成が非常に難しい、というような企業もあるかと思います。そのような場合にはどうすればよいのでしょうか?

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そうですね。そのような場合には、政府管掌の労災保険に加えて、民間の労災上乗せ保険に加入しておく、というのも一つの手かもしれませんね。詳細についてはここでは述べませんので、興味があればご自身で調べてみてください。いずれにしても、「安全はタダではない」のですから、積極的に費用をかけて職場環境を整備することで働きやすい魅力ある会社にし、従業員を惹きつけるという意識で臨む必要があるのかもしれません。

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労働問題に注目が集まる昨今、安全衛生の確保は使用者の当然の義務と考えている労働者も多いように思います。働き方改革が進む中、働きやすい職場環境を整備することが、効果的な取り組みとの一つして考えられるようになっています。それぞれの企業で、改めて労働安全衛生について考えてみるのもよいでしょう。教授、本日はありがとうございました。

今回の連載内容は、2017年6月29日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「労働条件4」(小畑史子 京都大学大学院人間・環境学研究科教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。
 

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