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法定休日とは何か? 時間外労働・休日労働とは?

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法定休日とは何か? 時間外労働・休日労働とは?

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第51回 ホワイト企業人事労務ワンポイント解説   

Q

当社は従業員数約50名のソフトウェア開発会社です。完全週休二日制としていますが、休日出勤する社員も多く、残業が多い状況が続いています。「時間外労働の上限規制」や、「月60時間超の50%割増賃金(2023年4月から中小企業にも適用)」を見据えて、残業時間の削減、就業規則の見直しを検討しています。その際、休日労働と時間外労働の違いが良く理解できていないので、ご教示ください。

A

休日は、労働契約上、労働者が労働義務を負わない日のことです。現在では、週休二日制の会社が増えていて1週間5日労働が原則のようにみえますが、労基法では「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。」と定めていて、週一日の休日付与しか義務づけていません。法律で定められた、1週間1日の休日のことを法定休日と呼び、それを超える休日は法定外休日とされます。同じ休日でも法的には扱いが異なるので、以下、解説していきます。

 

法定休日と休日労働命令

 土曜日と日曜日が休日の場合、どちらか1日が法定休日となります。この場合、法定休日を特定すれば(例えば、「日曜日を法定休日とする。」と就業規則で定める、等)その日が法定休日となりますが、特定しないことも可能で、その場合、その週にフルに出勤した社員は、週の最後の休日(定めがない場合は土曜日)が法定休日の扱いになります。

 会社は、(法定)休日を与える義務はありますが、その日に労働させることができないわけではありません。過半数労働者代表と三六協定を締結して労基署に届け出た上で、通常の賃金の35%以上の割増賃金を支払うことで法定休日に労働させることが可能です。
 但し、これは法律上の話で、更に会社は就業規則等に休日労働を命ずる場合があることを定める必要があり、その規定について合理性があれば、原則として従業員は、会社の休日労働命令に従う義務があることになります。 

時間外労働時間と休日労働時間の区別 

 さて、法定休日労働について理解する上で、時間外労働時間と休日労働時間の違いを知っておく必要があります。「時間外労働」とは、法定労働時間(原則として1日8時間、及び1週40時間)を超えて労働した時間を指します。その意味では、法定休日の労働も、法定労働時間を超えた場合には時間外労働になりますが、通常の時間外労働(例:1日8時間を超えて働いた労働)とは法定の割増賃金率が異なるので、(法定)休日に働いた時間(=休日労働時間)と通常の日の時間外労働時間とは労務管理上、区別して扱う必要があるのです。
 例えば、土日が休日の会社で、土日共に働いた場合、いずれか1日の労働が休日労働時間になり、他の(法定外)休日の労働は休日労働時間ではなく(法定)時間外労働時間の扱いになります(下表)。 

「時間外労働の上限規制」における労働時間の扱い 

 このような区別が必要なのは、割増賃金率が異なるからだけではありません。働き方改革で導入された「時間外労働の上限規制」においても、規制される時間数が上記で述べた時間外労働時間だけなのか、時間外労働時間と休日労働時間を合計した時間なのか、扱いがそれぞれ異なるからです。以下、表にまとめてみましょう。 

 このように、法律の規制はややこしい内容になっています。①の1カ月の時間外労働100時間未満や②の複数月平均80時間以下(過去の2,3,4,5,6カ月のいずれの平均時間外労働も80時間以内でなければならない)は、過労死等の労災リスクが高まる労災認定基準との関係で時間外労働時間と休日労働時間を合算して規制しているのに対し、③の原則月45時間まで(及び年間360時間まで)と④の特別条項(臨時的な特別な事情があって労使合意する場合)における年720時間以内等の規制は時間外労働時間だけを対象にしていて、休日労働時間を除外しています。

割増賃金率と法定休日の特定

 大企業には2010年から適用された月60時間超の時間外労働に対する50%割増賃金の支払義務が2023年(令和5年)4月からは中小企業にも適用されることになります。この場合の時間外労働の時間数には法定休日に働いた休日労働時間は含まれません。割増賃金率を整理すると、2023年4月からは企業規模を問わず、以下のようになります。 

 以上説明したように、会社実務では、法定休日と法定外休日は明確に区別して管理する必要があります。相談会社の場合、長時間労働の是正が課題となっており、就業規則の見直しを行う際には、法定休日を週の特定日(日曜日、等)と定めるのが労務管理上も好ましいと考えられます。
 そして、法定休日は労働者の生活時間を保証し精神的なゆとりを守るための休養日ですから、勤務を控える日と位置づけます。このような取り組みを通じて、長時間労働の是正、ワークライフバランスの改善に繋げていくことが会社として望ましい対応と言えるでしょう。

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