1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. わが社の組織・人材戦略を解き明かす~クライアント企業様の事例紹介~
  4. 役割等級制度で透明な人事運営と成長軌道へ ―多様化する事業を束ね、未来を見据えた改革に挑む― ミウラ 1⃣

メディア記事

役割等級制度で透明な人事運営と成長軌道へ ―多様化する事業を束ね、未来を見据えた改革に挑む― ミウラ 1⃣

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
役割等級制度で透明な人事運営と成長軌道へ ―多様化する事業を束ね、未来を見据えた改革に挑む― ミウラ 1⃣

 

―停滞する組織と第1次役割等級制度の独自導入―

株式会社ミウラ紹介

1953年広島市に青写真工業の個人企業として創業(1957年法人化、1979年ミウラに社名変更)。日本鋼管(現JFEスチール。以下「JFE」)福山製鉄所の建設に伴い、同製鉄所構内に青写真の事業所を設営し、篤い信頼を得て製鉄所の電算業務にも携わり、その後も事業領域を拡げてきた。現在の営業種目は、システム開発、システム販売、マルチメディア、IPS(コピー・プリントサービス)、設計・機器製造、医療情報支援 など。資本金9000万円、従業員数450名(24年10月31日現在)、年商55.8億円(2024年10月期)。会社HP:https://kkmiura.com/

 ミウラロゴ

 

創業から事業の多角化へ

ミウラは1953年に広島市で製図用の青写真工業を手がける個人企業として創業しました。1964年、JFE福山製鉄所内に事業所を開設し、製図など同製鉄所の建設支援事業に携わったことを機に、大型コンピュータの入出力支援やプログラム作成などIT分野へと業務領域を拡大。その後も時代のニーズに応じて事業の多角化を進め、現在ではシステム開発から機械設計・製造まで、幅広い分野で顧客価値を提供する企業へと成長しています。

ミウラの事業概要ミウラの事業概要

 

事業拡大と組織・人事制度の変遷

ミウラは70年にわたる歩みのなかで、事業展開に合わせて組織構造と人事制度の見直しを繰り返してきました。大まかな変遷は以下のとおりです。

• 1950〜70年代:創業・拡大期
製図用の青写真工業で創業し、JFEとの取引を通じてIT分野に進出。
人事制度では、能力開発を重視する「職能資格制度」を導入。

• 1980〜2000年代:全国展開期
東京・名古屋・大阪など主要都市に営業拠点を設置し、地域別事業部制で事業を拡大。
人事制度は、部分的な改定を重ねながら職能資格制度の運用を継続。

• 2010年代:組織再編・挑戦期
事業領域ごとに分割し自立を目指して業種別のカンパニー制を導入。
あわせて、年功的な人事慣行を打破するために、独力で“第1次”役割等級制度を構築・導入

• 2020年代:再成長・改革期
DX推進や新規事業開拓を進める一方、カンパニー制による事業分割を見直し、事業間のシナジー創出を重視した機構改革を実施し組織体制を再編。
人事制度については、第1次役割等級制度の課題を踏まえ、プライムコンサルタントの支援のもと“第2次”役割等級制度へ刷新。 

同族経営から新たな経営体制へ

ミウラはもともと、同族会社として発展してきました。しかし、3代目社長の三浦信夫氏は1999年、「次の経営は同族に引き継がない」と宣言。その方針のもと、2012年に非同族出身者にバトンが渡されました。現社長の上野弘幸氏(5代目)は、管理本部長を経て2009年に取締役、2015年に副社長、2017年に代表取締役副社長に就任し、2019年12月から代表取締役社長を務めています。

上野社長が痛感した人事課題

上野社長は、社長就任時に強い危機感を抱いたと振り返ります。

「当時、私は2つの問題を痛感していました。ひとつは経営幹部層の育成不足です。経営計画を立案しても、現場に落とし込めるリーダー人材が育っておらず、環境変化に柔軟に対応できずに計画倒れが多発していました。もうひとつは人材投資の軽視です。社員育成はOJTが中心で、体系的な教育プログラムが整備されていませんでした。優良顧客に恵まれていたために顧客の要望に応えることが最優先となり、その結果、現場には『受け身の文化』が根付いてしまったのです。ITやデジタル分野での本格的な人材育成も遅れ、イノベーションが生まれにくい状況に陥っていました。」。

株式会社ミウラ 代表取締役社長 上野 弘幸氏株式会社ミウラ 代表取締役社長 上野 弘幸氏

年功的運用の限界と抜本改革の断行

これらの人材面の問題の背景には、従来の人事制度にも原因がありました。ミウラでは長年、職能資格制度のもと年功序列的な運用が続き、徐々に組織の硬直化が進行していました。2000年代には、管理職に成果主義を導入したり、当時流行したコンピテンシー評価の導入を検討したりしましたが、根本的な解決には至りませんでした。上野社長は当時を振り返り、「全体を再設計しなければ、当社の人事制度は立ち行かない」という強い危機感を抱いたといいます。

折しも、2008年のリーマンショックの直撃を受けたミウラは、「長年続いた年功的な人事運用が、人と組織の停滞を招いていた」という現実と、否応なく向き合うことになりました。この現実を前に、ミウラは年功主義から脱却を決断し、自社独力で新たな人事制度の構築に乗り出します。

改革の矢面に立ち、自ら制度設計を主導したのは、当時管理本部長だった上野氏です。上野氏は各社の人事制度に関する情報収集やセミナー受講を重ねる中で、当社(プライムコンサルタント)が提唱する「役割等級制度」(当時は「責任等級制度」)に出会い、その考え方に強く共感します。そして、自社の実情にあわせて等級・賃金・賞与制度を独自に設計。2011年、“第1次”役割等級制度として導入しました。

従来の職能資格制度の問題点

上野氏が職能資格制度からの転換を決断した背景には、旧制度の不透明・不公平さへの強い問題意識がありました。具体的には、次の3点が挙げられます。

• 賃金体系のブラックボックス化
初任給こそ明示されていましたが、その後の昇給ルールや給与水準が社員からは見えづらく、辻褄合わせのための諸手当も次第に増えていました。

• 賞与決定方式に対する不公平感
賞与額は「基本給×評価に応じた月数」で決めていましたが、基本給自体が年功的に決まるため、多少評価が低くても賞与には大きな差が出ませんでした。限られた原資のなかで、特に優秀な若手に十分に報いることが難しい仕組みでした。

• 評価基準のあいまいさ
「職能等級」と称しながら、実際の評価基準はあいまいでした。そのため、評価は人と人を比べる相対評価に陥りやすく、評価者の好き嫌いや年功バイアスが少なからず介在していました。

役割等級制度のコンセプト

これに対し、役割等級制度は「職務上の役割と貢献度に応じて処遇を決定する」という、従来の職能資格制度とは正反対のアプローチを採っていました。上野氏は振り返ります。「職能資格制度では、一度身につけた能力は低下せず蓄積される前提なので、賃金は上がる一方でした。一方、役割等級制度は現時点での役割と貢献度に応じて賃金を決める仕組みであり、非常に肚落ちしました。賃金テーブルはガラス張りで、方程式によって決まり、賞与は基本給に関係なくポイントで自動的に算出される。この透明性には衝撃を受け、納得できました」。

また、当時管理本部の部長で、上野氏とともに制度構築を担った森脇宏公氏(現取締役)もこう語ります。「それまで当社の人事制度は、優良顧客企業の制度の“受け売り”でした。しかし、当社と優良企業とでは、業績規模も成長スピードも異なります。だからこそ、当社の“身の丈”に合った制度を作らなければと考えました」。

第1次役割等級制度の成果と限界、そして再挑戦へ

第1次役割等級制度は、年功的な処遇慣行からの脱却に向けた確かな一歩となりました。等級は役割責任を軸に刷新され、基本給や賞与も役割と貢献度に基づいて決定する仕組に転換しました。

しかし、手当や評価基準の一部に従来の職能資格的要素が残り、幹部層の意識転換も十分に進まず、改革は「道半ば」にとどまりました。枠組みは新しくなったものの、細部の設計や運用面には課題が残った形です。さらに、導入当時は業績が低迷していたため、賃金テーブルは抑制水準で設定せざるを得ず、一部の優秀人材の流出という副作用も生じました。

しかし、ミウラは歩みを止めません。2019年、ミウラは第3次中期経営計画の遂行期間中でしたが、上野氏の社長就任を機に一時中断。経営体制の変更に伴う諸課題の解決と人事制度の再構築に注力する決断を下します。組織活性化に向けた人事制度改革プロジェクトが、いよいよ本格的に動き出すのです。

プライムコンサルタントの
コンサルティング

コンサルティング会社と聞くと、「敷居が高い」「中小企業の当社には関係ない」といった考えをお持ちではありませんか?

当社のクライアントの大半は、従業員数が30~300名ほどの中堅・中小のお客様です。
これらのお客様からは「中小企業の実情を理解したうえで的確なアドバイスをくれる」「話をしっかり受け止めようとしてくれる」「いい意味でコンサル会社っぽくなく、何でも相談できる」といった声を多くいただきます。
担当コンサルタントの「親しみやすさ」も、当社の特長の一つです。

会社の規模に関わらず、一社一社のお客様と親身に対話をすることが当社の基本方針。
人事のご相談はもちろん、それに関連する専門知識を持ったコンサルタントがお客様の悩みをしっかり受け止め、人事にまつわるさまざまな課題を解決に導いてまいります。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

おすすめ記事

    カテゴリ