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心をつなぐ1on1と評価(ブックレット62号巻頭言)

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心をつなぐ1on1と評価(ブックレット62号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2021年11月9日(WEB開催)秋季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(30)

 以前にも紹介したが、インテルの故A・S・グローブ元会長は、マネジャーとは組織のアウトプット(成果)に責任を持つ者のことであり、マネジャーのアウトプットは自分自身が率いる組織、あるいは直接・間接に影響力を行使できる隣接する組織(ときには会社全体に及ぶ)が遂行した成果であると定義した。

 特に複雑・高度な知識労働が主役となる現代の企業経営のもとで、マネジャーの能力と知識は、部下や関係者の自発的な能力を最高度に引き出し、組織の成果に結集しているかどうかが決定的に問われる。
 マネジャーが行うさまざまな活動は、自分自身の成果よりも、組織の成果を高めることにその本質があり、組織の成果に対する影響力―経営的なテコ作用の大小によって活動の優先順位が評価される。
 グローブは、テコ作用(レバレッジ効果)の高いマネジャーの代表的な活動として、伝統的な一対一の話し合いと評価によるフィードバックを挙げたが、遠隔地とのデジタルな仕事のつながりや、リモートワークが広がった現代にも通じる普遍的な説得力がある。

 インテル創業以来の綱領として有名な1on1は、上司と部下の間で相互に教え、情報を交換して、お互いの業績向上に力を合わせるミーティング作法の一つである。
 部下は自分が何をしているのか、何が心配なのかを上司に詳しく伝え、上司はその困りごとに応じてスキルやノウハウを部下に教え、物事にアプローチする方法をコーチする。そのレバレッジ効果は、例えば2週間に1回60分のミーティングで、向こう80時間の部下の仕事の質を高め、成果につながる真の権限委譲を可能にすることである。上司も良い意思決定を行えば、組織全体の成果が高まる。
 次に評価のレバレッジ効果とは、マネジャーが一部の時間を評価基準の設定や評価のフィードバックに費やすことで、多数のメンバーに長期にわたる大きな影響を及ぼすことである。ただし評価が、部下のたゆまない業績向上の動機づけにつながるためには、組織の働きと従業員一人ひとりの行動とのつながりを実感させ、自発的な能力発揮と達成意欲による自己実現を刺激する明快な仕組みが必要となる。

 

 具体的には目標管理(MBO)の枠組みを活用し、(1)自分たちの組織が目的とする成果について共通のビジョンと目標を共有し、(2)上司として部下一人ひとりに何を期待しているのか、具体的な目標を確認する。そのうえで(3)評価基準と業績をモニターできる環境を用意し、(4)期限が来たら部下と一緒に事実関係と業績の成否を振り返り、状況をつかんだうえで上司の気づきをフィードバックする。 

 最後の(4)振り返り面談では、上司は一人のコーチとして部下のレベルまで降りていき、率直に問題点や組織の状況を伝える。組織の成功を自分個人の手柄にせず、相手の話をよく聴き取り、部下の業績向上という最重要の問題意識に全面的に集中していくことにより、メンバーは上司を信頼し、評価も素直に受け入れるのである。
 1on1も評価も、どんな創意工夫や努力または不作為が、どんな将来の成果や機会損失につながるのか、因果関係と業績向上の見通しを率直にコーチし続ければ、部下の成長と活躍を支援する真のマネジャーとして、部下と心がつながるだろう。 

「プライムブックレット巻頭言」は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介するものです。

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