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新型コロナ特例措置の「雇用調整助成金」 

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新型コロナ特例措置の「雇用調整助成金」 

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第33回 ホワイト企業人事労務ワンポイント解説   

Q

当社では、新型コロナ感染拡大の影響で売上げが激減しています。社員の雇用を守るため「雇用調整助成金」を活用したいと思います。緊急対応の特例措置を含め、助成金申請方法について教えてください。

A

「雇用調整助成金」は景気の悪化などで従業員を一時的に休ませ休業手当を支給した企業に休業手当の一部を補助する助成金です。解雇を防ぎ、雇用を維持することが狙いです。今回、新型コロナの感染拡大を受けて、国は緊急対応期間(4/1~6/30)を設定、この期間中は特例措置を実施するなど企業への支援策を急ピッチで拡充しました。

緊急対応期間(4/1~6/30)の特例措置

 今回の特例措置の重要な柱の一つは新型コロナ感染の影響を受ける企業への助成金支給要件について売上高(又は生産量)に関する基準を通常の「最近3カ月で前年比10%以上減」から「最近1カ月で前年同月比5%以上減少」に短縮して要件を緩和した点です。
 この要件に合致する企業が休業(又は教育訓練)を実施する場合、本助成金の請求が可能です。対象となる労働者についても、通常は雇用保険に6カ月以上加入していることが条件ですが、新入社員などすべての被保険者に拡大、さらに週20時間未満の雇用保険被保険者でないパート、アルバイト等も対象になります。
 助成率については、解雇等を行わない中小企業の場合は9/10(通常は2/3)、大企業でも3/4(通常は1/2)と引き上げられています(解雇等を行った場合は、中小企業4/5、大企業3/4)。

特例措置の主な内容(4/1~6/30)

  通常時 コロナ特例
支給要件(売上高等) 最近3カ月で10%以上減少 最近1カ月で5%以上減少
助成率 中小2/3。大企業1/2 中小9/10。大企業3/4(解雇等を行った場合は、中小企業4/5、大企業3/4)
対象労働者 雇用保険6月以上 新人、パート(雇用保険未加入)も対象

  申請手続きに関しても、通常は休業の計画を事前に提出することが必要ですが、事後提出(先に休業等を実施して後日計画届提出)も認められるなど大幅に簡略化されました。この他に、通常時は助成金の対象外である「事業所設置1年未満の企業」、「直近3カ月で雇用者数が一定以上増加している企業」、「過去1年以内に当該助成金の受給歴がある企業」も特例措置により支給の対象になります。
 さらに、通常時は「残業」があるとその分の支払いが減額されていましたが、特例措置では残業時間との相殺もされません。

 雇用調整助成金の支給までの流れ

 本助成金の手続きの通常の流れは図(①~⑤)のようになります。

 

 注目されるのは、③の初回の計画届は④休業実施の後でも可能という点です。計画届を4月に出す場合は3月、5月に出す場合は4月の売上げ高(又は生産量)が対前年同月比5%以上減少していれば、支給要件を満たします。
 4月に休業を実施する場合、助成金支給の申請は給与支払後の5月になりますが、従来は支給までに約2カ月程度を要し、支払われるのは7月になっていました。資金繰りが厳しい企業を支援するため国はこれを1カ月程度に短縮し6月支給を目指すとしています。

 これまで、計画届から助成金支給申請までには提出書類が多く会社の手間が大変という声がありましたが、特例措置では実施計画届の事後提出が認められただけでなく、支給申請書に自動計算機能が組み込まれ、記載事項が大幅に(約5割)削減されています。
 また、添付書類の労働保険料に関する書類が不要となったり、休業・教育訓練の実績に関する添付書類として手書きのシフト表や給与明細の写しでもOKとされたりするなど、手続きが簡素化されているのが注目されます。

助成金額の計算と目安について 

 雇用調整助成金を受けようとする企業は、従業員代表者との労使協定を締結します。この際、休業の時期、対象者に加え休業日に支給する休業手当の支給率(各社員の日給額に対し、何%分を保障するか)を60%(労基法の最低保障)~100%の範囲で決める必要があります。
 助成金の額は、直近の労働保険料の申告(雇用保険の保険料算定基礎となる賃金)で使われた雇用保険被保険者全員の平均給与額(通勤費、賞与などを含む)によって計算され決定される仕組みです。
 例えば、全社員の月平均給与額が30万円で1カ月の労働日が22日の中小企業を考えてみましょう。電卓をたたけば、日給の平均額は13,636円となります。休業日の休業手当の支給(保障)率を70%にした場合、この会社の助成金額は、以下の計算から1日あたり上限額の8,330円となることがわかります。

助成金額=13,636円×70%(支給率)×9/10(解雇しない場合=8,590円 → 8,330円(助成金の上限額)

 休業手当の支給率にもよりますが、この計算から、通常は多くの企業で1日・1人あたりの休業について助成金の額は8,330円(上限額)になる場合が多いと考えられます。注意したいのは、各社員の給与額の多寡には関係なく、管理職でも新人でも1日の休業について、同額が支払われる点です。

 さて、今回の特例措置では雇用保険未加入者も対象とする点が注目されますが、未加入者の助成金額の算定方式は上記とは異なります。前年の労働保険料の申告とは無関係に、実際に支払った休業手当の総額の9/10(中小企業で解雇がない場合)に相当する額が支給金額となります。 

助成金額(雇用保険未加入者の場合)=実際に対象労働者に支払った休業手当総額×9/10(解雇しない場合)※但し、対象労働者1人あたり8,330円が上限

教育訓練給付(雇用調整助成金)

 従業員を休業で休ませる代わりに職業に関する知識・技術を習得させ、又は向上させる教育訓練にも特例措置が適用されます(勤務日になるので、通常の給与支払いが必要)。今回は、自宅などで教育訓練(e-ラーニングも可)を行った場合の助成率も休業の場合と同率まで引き上げられ(上限額は8,330円/日)、さらに、通常時は1,200円の加算額が中小企業は2,400円大企業で1,800円へと引き上げられています。
 教育訓練は職業、職務の種類を問わず、一定の知識・ノウハウを身に付けるもの(接遇・マナー、パワハラ・セクハラ、メンタルヘルス)も対象とされます。訓練方法も、一定程度の技能、実務経験、経歴のある者が講師として行う場合は、自宅等でインターネット等を用いた片方向・双方向で実施する訓練も対象とされます。
 以上、企業には雇用調整助成金の特例措置を活用して、今回の危機を乗り越え、社員の皆様の雇用を守っていただきたいと考えます。

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