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外国人労働者(雇用状況・労務管理・法改正)

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外国人労働者(雇用状況・労務管理・法改正)

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第21回 ホワイト企業人事労務ワンポイント解説   

Q

当社は飲食業を営んでいますが、人手不足のため外国人の採用を考えています。外国人雇用の状況、また採用する際にはどんな点に注意したらよいか教えてください。

A

国内で働く外国人労働者の数は増加の一途をたどっています。一時的な出稼ぎというより、中長期的に日本で働く意図を持っている人が多いようです。
少子高齢化に伴う深刻な労働力人口不足が急速に進展する中で、多くの国内企業にとって外国人材の活用を図っていくことが必須な状況といえます。

外国人労働者の内訳と雇用状況について

 現在、日本では約146万人(2018年10月末)の外国人労働者が働いています。対前年比で18%増、この5年間で倍増しています。
 また、外国人を雇用している事業所数は約20万カ所あり、そのうち30人未満の事業所が全体の57.5%(100人未満で76.1%)と規模の小さい事業所が大半という状況です。
 外国人労働者数の内訳を以下の表で整理してみます。

①「永住者」「日本人の配偶者など」:身分に基づく就労制限のない外国人 50万人弱 33.9%
②「留学」「家族滞在」:原則就労不可だが、「資格外活動許可」を得て働くアルバイト等 34万人強 23.5%
③「技能実習生」:技能実習制度による就労者 31万人弱 21.1%
④「専門的・技術的分野」:高度な専門人材としての在留資格で働く者28万人弱 28万人弱 19%


 最も多いのが就労に制限のない永住者や日本人の配偶者で約50万人いて毎年10%近く増加しています。次に多いのが留学生など本来は就労目的とした滞在ではないものの「資格外活動」として働いている人たちで約34万人います。

 次いで多いのが技能実習制度による技能実習生で約31万人います。本来は開発途上国への技能移転を目的とした制度ですが、実際には単純労働の現場で安価な労働力として利用されている面があり、法令違反や失踪する実習生が多いなど種々の問題が指摘されています。

 最後に、就労を本来の目的とした企業等で働く「専門的・技術的分野」の在留資格を持つ人達が約28万人存在します。

外国人を雇用する際の基本事項

 外国人を採用する場合、応募してきた外国人が、以上の分類のどの在留資格を持つかをまずチェックする必要があります。
 就労制限のない「永住者」や「日本人の配偶者」であれば、雇用することに特段の制限はありません。在留資格カードで「在留資格」や「在留期間」を確認すれば足ります。

 次に、コンビニや飲食店に多い留学生によるアルバイト等を雇用する場合です。在留資格カードを確認して在留資格が「留学」「家族滞在」などの場合は、原則、就労禁止ですから「資格外活動」の許可があるかを確認する必要があります。この許可を得た外国人の場合、週28時間までの就労が可能ですが、それを超えて働くことは認められないので、雇用する場合には週単位で労働時間管理を確実に行うことが求められます。

 国内で就労する労働者(技能実習生含む)は国籍を問わず、労働基準法をはじめとする労働関係法や社会保険法(健康保険、厚生年金など)が適用されます。したがって外国人であっても被保険者の要件に該当する場合は雇用保険、健康保険、厚生年金保険などへの加入が必要になります。

 また、外国人労働者の雇入や離職の際には、雇用保険の被保険者であるか否かを問わず、その氏名、在留資格及び在留期間などをハローワークに届け出ることが法律で義務づけられており、届出を怠ると罰則(30万円以下の罰金)が科されるので注意が必要です(特別永住者や「外交」「公用」の在留資格者を除く)。

 以上のように、外国人であっても日本の法令に従い、職場慣行等を理解して働いてもらう必要があります。雇用する際にはトラブルの未然防止のためにも、労働条件等を明確に記載して文書で通知することが不可欠です。外国語版の労働条件通知書のひな形が労働局のサイトからダウンロードできるようになっているので利用するとよいでしょう。

改正出入国管理法で「特定技能1号」に注目

 新聞・TV報道でも大きく取り上げられた外国人労働者の受入れを拡大する「入管法(出入国管理及び難民法)」の改正があり、4月から在留資格「特定技能」が新設されました。人手不足に悩む業種に今後5年間で約34万人の外国人材の受け入れを見込んでいます。

 ここで対象になるのは「単純労働者」でも「高度人材」でもなく一定の日本語能力と技能を有する「中間的な人材」です。これまでのように、技能習得(技能実習制度)やアルバイト(留学)といった基準ではなく、純粋に外国人材を労働者として受け入れるという考え方である点が注目されます。

 「特定技能1号」は人材不足が深刻な建設、介護、外食など14業種が対象になります(在留可能期間は最長5年)。特定技能と結びつく職種で「技能実習」を3年修了すれば無試験で「特定技能1号」に移行可能なので、技能実習生として来日する場合、技能実習とあわせて最長10年の長期の就労継続が可能になります。

 また、飲食業などで働く留学生のアルバイトは週28時間までの制限があり卒業すれば働けませんが、卒業後に「特定技能1号」を取得すれば短時間労働の制限無く働き続けることが可能になります。能力を身につけた外国人アルバイトを卒業後も採用し続けることができるようになれば店舗によっては大きなメリットになる可能性があります。

 入管法改正によって人手不足に悩む業界では外国人雇用の機会が広がることが期待できます。これまで外国人を採用したことがない企業も、人材獲得の選択肢としてしっかり検討する必要がありそうです。

 外国人との共生社会実現のため、社会全体で考える時といえるでしょう。

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