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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー11ー

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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー11ー

大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり(11)

 皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸です。
 前回は、賃金制度の中核となる月例賃金の構成についてご紹介しました。
 今回は、賃金制度を構築する際の出発点となる、社員区分について解説していきます。

17.社員を役割で区分する

(1)社員区分とは
 賃金制度を実際に作るときに、最初に行うのが社員区分の構築・整理です。
 社員区分とは、社員を何らかのルール(基軸)によってグルーピングして層別管理することです。

 一般的に、等級制度やグレード制度と呼ばれ、第5回でご紹介した「合理的に賃金・処遇を決定するための3つの切り口」の「内部バランス」に相当するものです。

 代表的な区分の軸としては、第6回でご紹介したように、「職能」「職務」「役割」の3つがあります。
 報酬制度や評価制度はこの社員区分に従って作ります。

 能力を軸にした社員区分の会社は、原則として、能力が高い人が高く評価され、高い報酬を得ます。
 役割を軸にした社員区分の会社は、担っている役割と、役割に対する貢献が高い人が高く評価され、高い報酬を得ます。

 社員区分を作らず、最初から個人ごとに報酬額や評価基準を決めようとすると、何を比較対象として、どのようにバランスをとればよいのかわかりにくく大変な作業になるので、まずは、社員区分ごとに大まかな報酬水準や評価基準を決め、その後で個別の判断をします。

(2)役割区分の考え方
 次の図は、当社が推奨する役割による社員区分(役割区分)の例を図示したものです。

 当社が推奨する役割区分は、

  • 等級(図の縦軸・R1~EX)
  • 職群(図の横軸・職群A~D、ライン/マネジメント、スタッフ/専門職)

の2つの軸で構成されています。

 まず、等級は、組織上の役割やキャリアの段階に応じて区分します。
 図の例では下から、R1(一般職)、R2(担当職)、R3(指導職)、L/S(推進職/専門職)、M(業務管理職)、EX(経営管理職)の6段階に区分し、M等級とEX等級を管理職(労働基準法上の管理監督者)としています。

 R1~R3の「R」は「rep.(担当者)」、L/Sは「リーダー/スペシャリスト」、Mは「マネジャー」、EXは「エグゼクティブ」という意味です。

 何段階に分けるかは会社の規模等によって異なりますが、通常、新卒社員を一番下の等級に置き、そこから業務上最小の組織責任者(一般的に課長)に育成・登用するまでに何区分のキャリア段階が必要かを考えて決めます。

 ここまで決まったら、最小の組織責任者を統括する責任者(一般的に部長)を上位に置きます。
 当社の支援実績等を踏まえると、中小企業の場合、管理職と非管理職を合わせて5段階か6段階の等級区分が適していると思います。

 次に、職群について考えます。
 当社ではこれまでも役割に基づく等級区分を推奨し、等級ごとに役割を設定するお手伝いをしてきましたが、上図の例では、横方向に職群の軸を加えることで「役割」の概念を拡張しています。

 職群とは、自社にある職種を大まかに分けたもので

  • 自社の業績はどのような業務によって直接的、間接的に支えられているか
  • その業務はどのような職種の社員が担っているのか
  • その社員が担当する業務範囲の中で、どのような知識やスキル・専門性を深めてキャリアを伸ばしていくのか

といったことを踏まえて分類します。

 従来の等級にこの職群という考え方が加わることで、等級だけのときと比べて個々の社員に求める知識や経験、スキル等の専門性をわかりやすく示すことができ、キャリアの道筋が伝わりやすくなります。
 社員の組織人、職業人としての成長ステップがよりわかりやすくなることで、成長を後押しし、定着率の改善も見込めます。

 また、図の例では、非管理職を職群A~Dに分け、職群ごとに等級の適用範囲を分けていますが、これは、比較的軽易な業務のみを行う職群は下位等級のみを適用し、逆に、高難度の業務しか行わない職群には下位等級は適用しないという場合を想定して作ったものです。会社によっては全ての職群に全ての等級を適用する形もあります。

 管理職については、部下を指導・評価する「ライン/マネジメント職群」と、部下はいないが高度な専門性を有しており、部下のいる管理職と同等の扱いを受ける「スタッフ/専門職群」とに分けています。

 こちらも、「スタッフ/専門職群」は設けず、「ライン/マネジメント職群」のみとする会社も数多くあります。
 それぞれ、どのように区分するかは会社の実態・目指すべき方向性を見ながら判断してください。

 このように、等級と職群を区分し、それぞれの関係を整理して自社の役割区分を構築したら、最後に、それぞれにどのような役割を期待するのかを明文化します(下図の例参照)。

 ここまでできれば、役割区分の枠組みは完成です。

 次のステップとして、配置されている職群での役職やキャリア段階に応じて、社員一人ひとりの役割区分を決めていくことになります。

 社員個々の役割区分の判断方法については、各社の状況や考え方によって異なりますので本シリーズでは詳しくは触れませんが、役割区分を設けるのですから、その人の年齢や今の肩書ではなく、しっかりと「役割」に着目するようにしてください。

 最後に、繰り返しになりますが、社員区分は報酬制度や評価制度を作る際の中心になる非常に重要なものです。
 役割を軸に構築するということは、社員が組織の中で与えられた役割を果たすことで組織に貢献し、キャリアを伸ばすということにもつながります。

 社員が自身のキャリアを見据え、自身の内発的な動機に基づいて行動して会社に貢献するようになれば、組織力も高まり、きっとこれからの環境変化にも適応できる強い組織づくりにつながるでしょう。

※本シリーズは、2015年5月19日に開催した当社主催のセミナー内容をもとに執筆しています。

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