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未体験ゾーンの人手不足経済にどう対処するか(ブックレット44号巻頭言)

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未体験ゾーンの人手不足経済にどう対処するか(ブックレット44号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2015年11月11日開催・秋季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(12)

 高齢化・人口減少のスピードが速まり、いよいよ人手不足経済が未体験ゾーンに入ってきた。厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率(パートを含む季節調整値)は1.24倍に上昇し、バブル景気後半の1992年2月以来、23年8か月ぶりの高水準となった。

 バブル期のピークだった1990年9月・10月の1.58倍には到底及ばないが、リーマンショック前の最高である2006年12月の1.12倍を上回る。

 リクルートワークス研究所によると、来春3月卒業予定の大卒求人倍率も1.73倍と、前年の1.61倍より0.12ポイント上昇した。 リーマンショック前までの景気回復期よりも、今回の人手不足はより切実だ。

事態A:企業にとって一番困るのは、収益が見込める仕事の機会が目の前にあっても、人手が足りないために機会損失になることであろう。他社が稼いでいるのに、自社は人手不足のために仕事をとりに行くことができない。せっかく注文や引き合いを貰っても断らざるを得ない。これは悔しい。

事態B:次の問題は、将来の成長に欠かせない設備投資や研究開発に投資できないことである。いま投資しておけば業績が伸びる確率が高いのに、人がいなくて後回しになってしまう。Aほどは目立たないが、時間差の違いだけで、論理的にはAに近い。分かっている人にはやはり非常に悔しい。

事態C:若手が採用できず、組織の新陳代謝が遅れ、やがて成長が止まって競争力がゆっくりと低下する。AやBほどは切迫感がないかもしれないが、事業後継者不足の問題を含め、非常に多くの企業でこれが起きている。

事態D:決して儲かっているわけではないのに、仕事を山ほど抱え、むやみに忙しいという状況である。特にエース級の人材がこれに巻き込まれると、業績は低下する。上記ABCの原因にもなり、非常に厄介だ。また長時間労働が慢性化し、超過勤務手当が膨らむ。払いきれないと労務トラブルや大きな法的リスクに発展する。

事態E:従業員の退職や、病欠、育児・介護等で欠員が発生したとき、職場に余裕がなく(大抵はそうなのだが)、人員補充がうまくいかないと、ほかの人に厳しいしわ寄せがくる。人的トラブルを招き、上記Dの引き金になることが多い。 

 

 人的資源の供給制約のために、これらの事態が複合的に起きるのが人手不足である。しかしよく考えてみると、実は企業自身がリストラをして海外移転を進めたり、正社員の採用を絞り込んだり、賃金を抑制したために、社会の人材供給力を弱めてしまったという側面も否定できない。つまり原因の一部は企業自身にもある。

 需要サイドからの対策としては、企業自身が顧客を創造し、長期雇用の需要を増やし賃金を上げることが基本になる。供給サイドの制約を克服するには、女性や高年齢者、外国人、障害者を含め、幅広い人材の多様な働き方を支援する社会的ノウハウを拡げる必要があろう。柔軟な雇用・人事の仕組みを整えることも急務である。

 経営者も管理職も従業員も、仕事のムリ・ムラ・ムダをなくすために知恵を絞ることはもちろん、お互いに進んで多様性を受け入れ、貴重な人材を最大限に活かす柔軟な働き方を実践していけば、問題解決の道筋も見えてくるのではないだろうか。

 

「プライムブックレット巻頭言」は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介するものです。

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