大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー5ー

大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり(5)
皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸です。
前回、「地位報酬」「習熟報酬」「成果報酬」「功労報酬」という賃金報酬の4つの分類について、それぞれの意味や決定基準をご紹介しました。
賃金制度を考えるうえで、従業員のどういった要素(地位、習熟、成果、功労)に対して賃金を支払うかは重要なポイントの1つです。
その考え方が整理できたら、次に重要になるのが賃金・処遇の「バランス」です。
今回はこの「バランス」について話しをしていきたいと思います。
7.合理的に賃金・処遇を決定するための3つの切り口
賃金・処遇のバランスと聞いて、皆さんはどのようなことを連想しましたか。
実は、このバランスには「内部バランス」「外部とのバランス」「個人間のバランス」という3つの種類があります。
上図は3つの「バランス」の関係をイメージで表したものです。それぞれについて、これからご紹介していきましょう。
(1)内部バランス
内部バランスとは、一言でいうと等級制度のことです。
等級制度とは社員を何らかの「基準」に基づいてグルーピングすることを言い、等級の構造が、報酬制度や評価制度、組織のマネジメント等にも大きな影響を与えます。
どのような基準があるかについては次回に詳しく触れますが、一般的に、組織が必要とする仕事や能力などを基準にグループを作ります。
(2)外部とのバランス
外部とのバランスとは、世間相場に対して自社の賃金水準がどんな位置にあるかを意味しています。
世間相場と比べて賃金水準が高いほど募集の際に人が集まりやすく、優秀な人材も採用しやすくなります。
逆に、世間相場と比べ賃金水準が低すぎると、社員の不満や離職を招く一因になります。
そこで私たちは、人材を獲得・定着させやすくするために、世間相場にあった適正水準の賃金表を作ることを推奨しています。
ただ、それが会社の身の丈に合わないくらい高い水準であったり、将来、想定以上に人件費が膨らむようなものであってはいけません。
そのようなことが無いように、人件費を適正にコントロールできるルールも併せて導入にすることをお奨めします。
また、賃金表を作る際には、(1)内部バランスで定めた等級も考慮して設定します。
通常は上図のように、高い等級ほど賃金も高くなる(高くなりやすい)ように設定しますが、等級間にどの程度の格差を設けるかはいろんな影響を考慮して検討することが大切です。
例えば、どの等級ならどの程度の賃金水準になるかということは、社員自身の将来設計にも関わることであり、この会社で働き続けてよいのか、昇格して重責を担うだけの価値があるのかという判断にも影響を与えるからです。
(3)個人間のバランス
等級間の差が適切に設定でき、世間相場とのバランスも取れたら、残る課題は個人の具体的な賃金の決め方です。
全員同じ賃金額という会社はまずないでしょうから、個人間の差を、何に基づき、どのようにして、どの程度つけていくのかということが重要になります。
ここでポイントになるのが評価制度です。
仕事への意欲を引き出し、優秀な人材を惹きつけるためには、説明可能な評価制度が欠かせません。
評価制度については、今後、紹介していきたいと思います。
以上、3つのバランスについて解説しましたが、上図を見てもわかるように、それぞれが独立して存在しているわけではありません。
どこか1つのバランスを動かそうとすれば、残り2つのバランスも連動して動きます。そこが賃金(制度)を考えるうえで難しいところです。
連動していることに気づかずに制度を作ったり変更したりすると、思いもよらぬ影響が出る可能性があります。
一方、連動していることに気づいている人は、色々なことが気になって身動きがとれなくなっているかもしれません。
必要以上に恐れたり、難しく考える必要はありませんが、賃金の問題は社員に与えるインパクトが大きいため、制度を新設したり改定する際には、その影響をよく検討し、適切な手順を踏んで行う必要があります。
今回紹介した3つのバランスの中で最初に検討すべきは(1)内部バランス、すなわち、等級制度です。
等級制度が何を基準に作られているかによって、賃金制度や評価制度の性格が決まるからです。
次回は、この等級制度について、3つの代表的な考え方をご紹介したいと思います。
※本シリーズは、2015年5月19日に開催した当社主催のセミナー内容をもとに執筆しています。
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