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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー6ー

大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり(6)

 皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸です。
 前回、合理的に賃金・処遇を決定するための3つの切り口として、

  • 内部バランス=等級制度
  • 外部とのバランス=世間相場との比較、適正水準の賃金表
  • 個人間のバランス=公正な評価基準

をご紹介しました。

 この3つの中で、最初に検討すべきは内部バランス=等級制度です。
 それは、何を軸に等級を構成するかによって、賃金制度や評価制度など、人事制度全体の性格が決まるからです。
 今回はこの等級制度について、3つの代表的な考え方をご紹介していきたいと思います。

8.従業員を区分する3通りの方法

 等級制度とは社員を何らかの軸に基づいて区分し、管理するものです。
 等級ごとに報酬の範囲を決めたり評価基準を設定するなど、人事制度を考える際の中心となりますし、会社が社員への期待を示すという意味では、人材育成の指針にもなります。

 社員の側からは、等級をキャリアスパスとして捉えることができます。
 自分が自社の階層のどのあたりにいるのか、現在、そして将来の自分には何が求められるのか、また、今後どのようにステップアップしていけるのかについて、会社が発信しているメッセージだと理解できます。

 その等級制度には代表的な3つ区分方法があり、それぞれ(1)能力等級、(2)職務等級、(3)役割等級と呼ばれています。3つの関係をわかりやすく図示すると、次のようになります。

(1)能力等級
 職能資格制度、あるいは職能等級制度とも呼ばれる、日本固有の手法です。
 社員の能力を基準に等級を区分する方法で、かつて、日本中の多くの企業が採用していました。
 等級と役職(ポスト)の対応は緩やかで、ポストが不足していても能力があれば上位等級に格付けられ、高い処遇を得ることができます。

 この制度が広く普及した要因としては、まず、能力アップと等級や処遇を連動させることで、社員の成長意欲を刺激できることが挙げられます。
 また、本人の能力を中心に処遇を決め、職種や役職の処遇への影響をなくす(あるいは小さくする)ことによって、人事異動やジョブローテーションがしやすくなるといった特徴も挙げられます。

 日本では新卒一括採用が主流であり、職種は採用後に決めることが一般的です。
 そういった採用・配置という面でも、能力等級は使いやすかったと考えられます。

 しかし、能力等級を採用している企業は減少傾向にあると言われています。
 低成長・デフレの時代に入り、社員の能力向上がそのまま会社業績の向上につながるわけではなくなったため、能力アップとともに処遇を上げ続ける仕組みを維持できない企業が増えたからです。

 また、個人の能力は目に見えないものが多く判断が難しいため、結果的に年功的な運用に陥り、賃金が高止まりしてしまって制度が維持できなくなった企業も少なくありません。

(2)職務等級
 職務=担当業務の大きさや難易度を基準に等級を区分する制度です。
 日本で採用している企業はごく少数ですが、欧米ではスタンダードな制度です。

 業務の大きさや難易度に応じて処遇を決めるため、考え方としては合理的で公正な仕組であると言えます。
 ただ、職務ごとに処遇を決めるためには、職務ごとの価値を評価して比較・判定する必要があります。

 欧米など、転職が活発な国や地域ではノウハウやデータが共有されているので比較的容易に職務ごとの価値判断ができますが、転職市場の発達が遅れた日本では簡単ではありません。

 また、日本では企業規模や雇用形態が賃金に与える影響が大きいことや、採用後に職種や配置を決定する新卒一括採用との相性が悪いことなどもあり、職務等級を採用する企業は、外資系企業の日本法人や優秀な人材を海外市場にまで求める企業など、一部にとどまっています。

(3)役割等級
 組織上の役割責任段階に応じて等級を区分する制度です。
 ここでいう「役割責任」とは、上図のように仕事と成果に着目したもので、会社が社員に求める「役割を遂行し、(組織的に)成果を上げる責任」のことを言います。

 役割という概念は職務に比べて緩やかで幅の広い考え方ですので、仕事の詳しい評価・比較は必要ありません。
 組織における役割は、時代や業種を超えた普遍性が強いので、環境変化に柔軟に対応しやすいというメリットもあります。

 また、細分化した職務ではなく、会社が求める役割を基準にしているということは、社員が組織の中で役割を与えられ、その責任を果たすことで組織に貢献してキャリアを伸ばすという、キャリアと役割の相互関係に注目した考え方であるとも言えます。

 さらに、役割責任の重い人が高い等級・高い処遇になるので、能力等級が抱えていた年功的な運用による人件費の高騰という問題を解消しやすく、能力等級に代わりこの役割等級を採用する企業が増えてきています。

 以上、3つの等級制度をご紹介しましたが、どの考え方を採用するかによって、賃金制度や評価制度のつくり方も変わってきます。
 制度を構築する際は、どのような考え方が自社のこれからの成長・発展に適しているのかを十分に見極める必要があります。

※本シリーズは、2015年5月19日に開催した当社主催のセミナー内容をもとに執筆しています。

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