第94回 労働者に年次有給休暇の取得目的を聴くことはできるか

中川恒彦の人事労務相談コーナー
Q
当社の年次有給休暇届の用紙には、「休暇目的」の欄がありますが、記入しない従業員も結構います。休暇が長期にならない限り、あらためて目的を聴取するようなことはしていませんが、年次有給休暇の目的を聞くのは違法ではないかという者もいます。
常に聴くというつもりもありませんが、会社の業務の都合等によっては聴きたいときもあります。休暇目的の聴取については、どのように考えるべきでしょうか?
A
最高裁は、「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨であると解するのが相当である。」としています。
労働者の年休届のたびごとに休暇理由を記入させたり、聴いたりすることは休暇を抑制する可能性があり、最高裁判決の趣旨にも反すると思われますが、繁忙期に多数の労働者が年次有給休暇の取得を希望してきたときに、必要性の高い者を優先する場合等一定の場合には、休暇理由を聞くこともできると思われます。