第93回 従業員にアルバイトを禁止することができるかー2ー

中川恒彦の人事労務相談コーナー
Q
当社の就業規則では、「会社の許可なく、他社において就労し、または、自己の事業を営んではならない」という規定がありますが、先日、ある従業員から、「会社に迷惑を掛けない場合でも、許可なくアルバイトをしてはいけないという根拠はあるのか」と聴かれました。
本人が実際にアルバイトをしようとしているかどうかはわかりませんが、いくら会社に迷惑を掛けないとはいっても、やはり当社への労務提供に何らかの影響が生じることは考えられますし、このような規定を置いている会社も多いと思われますが、法的にはどう考えるべきでしょうか?
A
一般企業におけるアルバイト禁止に関し法律の定めはありませんが、裁判例からすれば、社員(とくに正社員)が行うアルバイトについて、会社の許可または承諾を条件とすることは可能と思われます。
ただ、社員が許可を求めてきた場合は、本人の自社に対する労働の提供への影響、職場秩序への影響等を考慮して、許可、不許可等の判断をすべきで、そのような検討をすることなく、一律に不許可とすることは困難ではないかと思われます。
許可申請の段階では業務への影響が判然としない場合も考えられますが、とりあえず一定期間暫定的に許可するという方法も考えられます。