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定年再雇用者の業務内容や貢献度に応じて処遇を決定する方法はー3ー

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定年再雇用者の業務内容や貢献度に応じて処遇を決定する方法はー3ー

賃金制度Q&A-ケース別処遇のポイント(10)

Q

従業員200人の製造業です。定年後再雇用者を業務内容や貢献度に応じて処遇する分かりやすい方法があったら教えてください。

A

短期決済型の賃金の決定基準を個別に適用する「賃金表方式」

ポイント⇒正社員の「等級別賃金表」のゾーン別上限額(S)~(E)を使って継続雇用賃金表を作成。仕事の内容によって適用号俸を決め、毎年の貢献度評価によりプラス1号~マイナス2号の範囲で号俸を調整する。

 今回は、賃金表を使って継続雇用時の業務内容や貢献度に応じた基本給を決める方法を紹介します。

 表1は、定年前の正社員に適用する「等級別賃金表」※を用いて、継続雇用賃金表を作成した例 です。
(注)※菊谷寛之著『実力主義の賃金・賞与・評価の決め方』の92ページをご覧ください。

【表1 継続雇用賃金表の例】
(注)勤務延長制度・定年後再雇用制度のいずれにも共通に適用する。

 賃金表の作り方はいたって簡単です。
 まず、等級別に1号~10号まで空欄の表を作成します。表の下部では(S)を10号とし、(A)を9号、(B)を8号・・・、(E)を5号として、「等級別賃金表」の(S)~(E)のゾーン別上限額をそのまま転記します。

 表の上部では、(E)または(D)の金額から等級の下に表示した号差金額を順番に引き算して、1号まで等間隔で金額を展開します。号差金額は各等級の(S)~(E)のゾーン間隔と同じ金額にします。

 例えばⅠ等級の場合は、5号・(E)198,800円から15,600円ずつ順に引いて、4号183,200円、3号167,600円、2号152,000円、1号136,400円となります。
 Ⅰ~Ⅵ等級でこの作業を行えば完成です。

 ちなみに、各等級の8号・(B)の金額を100として、賃金表を指数化すると、各等級とも、最低額は(B)の金額の55~60%程度に設定されています。

 表2は、継続雇用賃金表の号俸運用基準をまとめたものです。

【表2 継続雇用賃金表の号俸運用基準】

 基本的な使い方は前回ご紹介した「支給率方式」と同じです。
 定年時の賃金に基づいて、人材の需給関係と仕事の質的変化に応じて継続雇用の賃金を設定します。

 違いは、支給率の代わりに、賃金表の等級と号俸を使って「基本給」を決めるという点です。
 そのため管理職手当や家族手当等の支給基準が別途必要です(後述)。

 はじめに、定年後に与える仕事の内容によって、定年到達時の賃金X円に対する基準号俸Yを定め、「継続雇用賃金=基準号俸○等級Y号=○円」を個別に設定します。

 例えば、定年到達時にⅣ等級・係長級で基本給が40万円の社員の基準号俸は次の要領で設定します。
 表2の「①同じ仕事を継続」する場合は、仕事の内容がabcのどれに該当するかを評価し、基準号俸の「±0」~「-3」を判定します。
 「±0」を適用するときは、40万円の直近下位であるⅣ等級7号388,200円を基準号俸とします。

 ただし実際の支給額は調整手当を講じて40万円(100%)とします。
 「-1」を適用するときは40万円の「直近下位-1号」にあたる6号365,700円の基準号俸を支給額とします(40万円の91.4%)。
 「-2」は「直近下位-2号」の5号343,200円(同85.8%)を、「-3」は「直近下位-3号」の4号320,700円(同80.2%)をそれぞれ基準号俸とします。

 次に、表の「②類似業務」を適用する場合の号俸は、いったんⅣ等級で「-4」ないし「-3」の号俸に仮置きします。
 ただし表に「1等級下位を適用」とあるとおり、Ⅲ等級の賃金表で直近下位の号俸に読み替えます。
 「-4」でⅣ等級4号298,200円に仮置きの場合はⅢ等級5号293,200円(同73.3%)に、「-3」でⅣ等級4号320,700円に仮置きの場合はⅢ等級6号313,200円(同78.3%)が基準号俸となります。

 表の「③職種変更」を適用する場合も、いったんⅣ等級で「-5」ないし「-4」の号俸に仮置きしてから、その金額を実際の等級で直近下位の号俸に読み替えます。

 例えばⅡ等級に格付けるとしたとき、「-5」でⅣ等級2号275,700円に仮置きの場合はⅡ等級6号258,400円(同64.6%)に、「-4」でⅣ等級3号298,200円に仮置きの場合はⅡ等級8号293,600円(同73.4%)が基準号俸となります。
 カッコ内の支給率はあくまで参考例の40万円の場合ですが、前回紹介した支給率とほぼ近い関係にあります。

 以上の基準号俸の設定は、Ⅰ等級~Ⅳ等級では1号俸を最低額、Ⅴ等級・Ⅵ等級では4号俸を最低額とし、それ以下の運用は行いません。上限額は10号です。

 毎年の契約更新あるいは給与改定のときは、各人の期待度に対する貢献度の評価を行い、基準号俸Y号の号俸調整を行います。
 「A期待以上」の働きと評価したときは最初の基準号俸に1号俸プラスします。

 ほぼ「B期待通り」なら号俸は変わりません。「Cやや力不足」と評価したときは1号俸マイナスします。
 「D期待外れ」と評価したときは2号俸マイナスしますが、この際、下位等級の直近下位の金額に降格する運用も可能です。

 上記のⅣ等級の例では、「A期待以上」であれば1号俸=22,500円のプラス、「B期待通り」なら同額を維持、「Cやや力不足」なら1号俸=22,500円のマイナスとなります。
 「D期待外れ」のときは2号俸=45,000円のマイナスになります。

 号俸の調整は、前年の支給額に対して行うのではなく、最初に設定した基準号俸に対して行います。
 号俸のプラス・マイナスを毎年累積させず、「洗い替え方式」で運用することに留意してください。

 以上はフルタイム勤務を前提に解説しましたが、週4日勤務や1日6時間勤務などの短時間勤務に切り替える場合は、その労働日数や労働時間に応じた減額率を適用して差し支えありません。

 賃金表方式の場合、諸手当の基準を考えておく必要があります。

 まずⅠ~Ⅳ等級は非管理職なので、超過勤務を行った場合は時間外・休日勤務手当等を別途支給する必要があります。
 Ⅴ等級・課長級とⅥ等級・部長級については、適当額の管理職手当を支給する必要があります。
 例えば、正規の管理職手当に対して5割~8割程度の金額を設定する方法も考えられます。

 管理職といっても、継続雇用者には定時勤務ないし短時間勤務を基本とする勤務形態もあり得ます。このような場合は、管理職手当は支給する必要はありません。
 家族手当等の生活補助的な手当は各社の考え方次第ですが、配偶者が無年金の場合は配偶者のみ家族手当を適用するという方法も考えられます。

 賃金表方式の利点は、役割責任(等級)が明確になり、昇給・降給の基準もはっきりするので、継続雇用者のモチベーションが高まる可能性が増すことです。

 また定年前社員のゾーン別の上限額との関係とともに、各人別の賃金実態が把握しやすいことです。
 人数が少ない会社は支給率方式でも十分運用可能ですが、人数が多い会社では賃金表方式が便利でしょう。

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