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ワークシェアリング(半日勤務や週3日勤務など)を実施するときの賃金の決め方は

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ワークシェアリング(半日勤務や週3日勤務など)を実施するときの賃金の決め方は

賃金制度Q&A-ケース別処遇のポイント(11)

Q

定年後の継続雇用義務に応えるため再雇用者の半日勤務や週3日勤務などのワークシェアリングを検討しています。フルタイム勤務者とどのように賃金のバランスをとっていけばよいでしょうか?

A

賃金は勤務日数・時間に基づく比例計算または時給制が基本

ポイント⇒高年齢者の能力・適性に合った仕事を用意することが重要。手間はかかるが、勤務場所を配慮したり、勤務時間の変更やワークシェアリングを工夫すると士気も高まり、生産性向上の余地は大きい。

 厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げと、高年齢者雇用安定法改正に伴い、定年後の継続雇用を希望する従業員が今後はハイペースで増加すると思われます。

 労使協定に基づく継続雇用対象者の選別基準を用いてきた企業も、基準の廃止に伴い人件費の増加を覚悟しなければなりません。
 日本経団連では、仮に継続雇用比率が現状の約74%から90%にまで増えると、企業が支払う賃金総額は5年間で約2%増えると予測しています(2013年経営労働政策委員会報告)。

 ただ、法改正に対応して定年後の継続雇用を進めるにしても、希望者を一律的な賃金処遇で受け入れるやり方では限界があります。

 重要なことは、 継続雇用を「社会的要請に基づく雇用保障」と受け身で位置づけるのではなく、可能な限り人材を戦力として活用し、生産性の維持・向上に結びつけることではないでしょうか。

 高年齢者に限らず、一律・機械的な仕事の与え方や処遇方法では、働く人々の貢献意欲を引きだすことなどできません。
 可能な限り再雇用者一人ひとりの能力・意欲・適性を見極め、有用な人材として活用できる仕事を与え、貢献にふさわしい賃金処遇を行う必要があります(第8~10回参照)。

 高年齢者の能力・体力・意欲は個人差が大きく、生活面でも扶養家族や要介護者を抱えていたり、自身が単身世帯化したり、人によって事情が大きく異なります。

 従来の延長線上あるいは会社の都合だけで仕事を決めるのでなく、(1)本人の能力・適性に合った仕事を用意する、(2)勤務場所を配慮する、(3)勤務時間の変更やワークシェアリングを工夫するなど、できるだけ個人の事情を考慮した取り組みが必要になってきます。

 手間はかかりますが、行き届いた配慮は高年齢者のモチベーションを高め、組織全体の生産性も大きく向上するはずです。

 (1)の仕事の内容については、人一倍優れた能力を持つ従業員には、現場や開発プロセスを総括的に技術指導させたり、組織横断的なプロジェクトを支援させたり、経営者の補佐役に登用したりして、その専門スキルやノウハウ、人脈を組織的に伝承する役割を与えるとよいでしょう。

 現場で引き続き勤務する従業員についても、いままでの仕事を漫然と続けさせるのではなく、第一線で忙しい従業員には普段手が出しにくい、時間のかかる仕事を任せてはいかがでしょう。

 これまでの経験を活かした高齢者市場の掘り起こしや、社内外の人脈形成、業務のマニュアル化・システム化を担当させることも考えられます。

 また能力・体力・意欲や生活面でハンディを抱えている従業員であっても、業務の負担を軽減したり、他の従業員の負担軽減につながる周辺・支援業務を任せたりして、個人の特性を踏まえた前向きな人材活用を図るべきでしょう。

 (2)の勤務場所については、クラウドシステムや電子メール、テレビ会議などを活用したテレワークが便利に行えるようになりました。
 家族介護が行える勤務地への転勤を認めたり、介護先や自宅での在宅勤務を認めたり、業務請負型の就労形態に切り替えたりする方法を考えてもよいでしょう。

 (3)勤務時間については、ご質問のような半日勤務や週3日勤務などのパートタイム労働を認めたり、複数の従業員がお互いに勤務時間を融通し合うワークシェアリングを進めたりすることで、より多くの高年齢者に就労機会を提供できるようになります。

 勤務時間の弾力的な管理方法としては、次のようなパターンが考えられます。

 一つは単純に定年後再雇用者にパートタイム勤務を認め、個人的に勤務日数・時間を調整するものです。
 この場合は、一人ひとりの希望と業務量の見積りを事前にすり合わせ、基本となる勤務形態のパターンを決めておきます。

 賃金については、フルタイム勤務の再雇用賃金を確認したうえで、勤務日数・時間に応じた比例計算とします。
 例えばフルタイム勤務が週5日の場合、週3日勤務なら賃金は5分の3で支給します。
 賞与を支給する場合も考え方は同じです。

 もう一つは職場単位でワークシェアリング的にパートタイム勤務を進め、シフトを管理する方法です。
 賃金は時給制を採用し、一般パートタイマーの時給も考慮しながら、本人の経験や実力を反映して決めるとよいでしょう。

 一つの例ですが、百貨店のT社では、再雇用コースの中の一つにワークシェアを取り入れ、1日7時間×週3日勤務か1日4.5時間×週5日勤務のどれかを担当業務によって決めています。

 2人分で社員約1人分の労働時間となり、厚生年金・社会保険が非適用になるので、年金の減額や支給停止等の対象にはなりません。
 賃金は、勤務する店舗のパート社員の時給を基準に、経験年数を加味して決めています。

 最後に、ワークシェアを活用して現場の流動的な状況に対応する方法があります。
 例えば受注型の製造業や、介護施設、輸送業、宿泊業、農林水産業などでは、高年齢者のパートタイマーを上手に活用すれば需要の変動に柔軟に対応でき、人件費の変動費化にもつながります。

 この場合は、勤務形態のパターンやシフトを決めるような緻密な管理はなじみません。
 むしろ現場の高齢者が相互に協力・調整しながら自主的に現場を回していけるように、ある程度勤務時間の裁量を認めるほうが生産的に動けるようです。

 何度もいうように高齢者の能力・体力・気力には個人差が大きく、全員一括りの時給では不満の原因になることが多いようです。

 やはり経験・能力に応じて各人別に時給単価を決めるほうがよいでしょう。
 賞与は、半年ごとの企業業績に連動して原資を決め、各人の総時給額と成績評価に連動して配分する方法が考えられます。

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