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Unit 27: 就業規則の効力-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)

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Unit 27: 就業規則の効力-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

前回は、事例を用いながら労働契約の実務について学習しました。今回は、就業規則の効力について学習します。

就業規則の効力

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今回は、就業規則の効力について学習します。突然ですが、就業規則が何なのかはご存知ですか?

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はい。就業規則は、会社と多数労働者の間の労働条件を決定するもので、ルールブックのようなものです。

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そうですね。一般に日本企業では、一人ひとりの労働者と個別労働契約を交わすことは少なく、就業規則に記載しているルールを多数労働者に統一的に適用することで、労働条件を集合的に処理していくことが多いです。

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会社が定めた基準を労働者にまとめて適用するわけですね。前回、労働契約の実務例の表で、正社員には正社員就業規則、嘱託社員には嘱託社員就業規則などとありましたが、雇用区分に応じて就業規則をまとめて適用していたのですね。

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はい。こうしたルールブックがあるおかげで、会社は一人ひとりの労働者と労働条件に関する交渉をする必要がありません。

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そう聞くと、会社が一方的に決めたルールを労働者に押し付けているようにも感じます。

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就業規則の本質は、実際にその通りだと思います。したがって、就業規則が何なのかと問われたら、「会社が定めた統一的な労働条件を多数労働者との間で集合的に処理するもの」と私はこたえます。

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労働条件の決定に関しては、会社に広く裁量が認められているのですね。そうすると、会社はどのような労働条件を定めてもいいのですか?

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ご質問のとおり、会社に広く裁量が認められているとすると、就業規則の中にどのような労働条件を定めるかが重要なポイントになってきますよね。そこで、法律では次のように定めています。難しいと感じた場合は、アンダーラインの部分だけ見てみましょう。

『労働契約法 第7条』
 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。
 ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

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なるほど。なんでもいいわけではなく、合理的な労働条件でなければいけないのですね。

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そうです。①合理的な労働条件を定めることに加えてさらに、②労働者に周知させることも必要なのです。そうすることで初めて、会社は就業規則を労働者に適用することができます。ちなみに、上記規定の2段落目ただし書き以降については、もうすでに学習していることですよ。

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え、まったく分かりませんでした。第十二条の内容も把握していませんし…。

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Unit25で述べた、年収2000万円のコンサルタントとの個別労働契約のことを指しているのですよ。就業規則に定めた労働条件と異なる内容については、そちらが優先されるということです。第十二条については宿題としますので、時間のある時にご自身で確認してみてください。

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そういうことだったのですね、よくわかりました。ところで、話は戻りますが、「①合理的な労働条件」といっても、何をもって合理的というのでしょうか?

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そうですね、少しだけ例を挙げましょう。採用している企業も少なくない「固定残業代」※に関してですが、この仕組みを設計する際に、その金額をどの程度にするかというポイントがあります。そして、過去に争われた裁判では、「月間80時間分相当の残業に対する固定残業代は、無効である」と判断されたことがあります。

※実際の残業の有無に関わらず、毎月一定額の残業代を支払う仕組み。ただし、実際の残業時間に基づく残業代が一定額を超過する場合、もちろんその超過分の金額を支給しなければならない。

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月間80時間の残業というと、国が定めている過労死ラインに達するほどのものです。実際にそこまで残業させるかどうかに関わらず、固定残業代を労働者の健康を損なう危険のある水準にするとは、ルールの設計ミスと言わざるを得ません。

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まったくその通りですね。実際にこの裁判の判決文でも、そのようなことが述べられていました。一方で、世の中には、「より広く仕事の裁量を与え労働生産性を高めることを目的に、月間30時間分の残業に相当する固定残業代を支給する」などと定めている会社もあります。このようなものについては、①労基法に定められた時間外労働の上限規制に触れないこと、②固定残業代制度を採用している趣旨などを考慮すると、合理的な労働条件と言えるのではないかと思います。

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なるほど。合理的な労働条件であるかどうかはそれぞれの会社が自身で考えながら、一つひとつの労働条件を丁寧に決定していかなければならないのですね。

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そうです。また、先ほど例を挙げましたが、合理的な労働条件であるかどうかについては、最終的には司法の判断となります。過去の裁判例などを参考にしたり、専門家にアドバイスを求めたりするのがよいでしょう。本日の講義はここまでとして、次回は、就業規則を適用するうえでのもう一つの要件である「周知」について学習する予定です。

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就業規則によって会社は一方的に労働条件を決定できるという話を聞いて、労働条件の決定に関しては、もしかすると個別労働契約以上に丁寧さや慎重さが要求されるのかもしれない、と感じました。教授、本日はありがとうございました。

固定残業代など賃金に関する労働条件の整理・変更に関しては、 賃金・人事コンサルティングの専門家集団 プライムコンサルタントにご相談ください!

今回の連載内容は、2017年6月12日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「労働契約3」(土田道夫 同志社大学法学部・法学研究科教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。
 

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