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Unit 25: 労働契約の基本的枠組み-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)

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Unit 25: 労働契約の基本的枠組み-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

前回は、労災補償と民事損害賠償請求の関係について学習しました。今回は、労働契約の基本的枠組みについて学習します。

労働契約の基本的枠組み

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これまで、Unit 14からUnit 22にわたって、労働時間や賃金など主な労働条件について学習しました。このような労働条件を労働者に実際に適用していくためには、使用者と労働者の間で労働契約を締結する必要があります。今回は、この労働契約の基本的枠組みについて学習します。

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労働契約を締結することによって、どのような労働条件で雇用する(働く)かが約束されることになるのですね。ところで、労働契約とはどのようなものを言うのですか?

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労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する、とされています(労働契約法)。つまり、労働契約があるからこそ、使用者は労働者に働いてもらうことができ、労働者は働くことで使用者から賃金を受けることができるのです。

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なるほど。では、労働契約を締結する際は、どのようにして具体的な労働条件を決定していくのですか?

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一般に、いわゆる正社員※に関しては、労働契約の内容となる労働条件は、就業規則をもとに決定されることが多いです(労働組合がある事業場を除く)。これにより、就業規則に記載された労働条件が、多数の労働者に同じように適用されることになります。※無期雇用、フルタイム、職務非限定などの条件で働く従業員を指す

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就業規則は会社が定めたルールブックなので、会社があらかじめ用意した労働条件を多数の労働者に適用していくことになるのですね。就業規則以外にも労働条件を決定する方法はあるのですか?

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はい。前述の正社員に該当しないような労働者を雇用する場合に、個別労働契約で特別な労働条件を決定することがあります。例えば、ある会社で新規事業創造のために、高度専門知識を持つ経営コンサルタントを1年の期限付きで雇用することになったとします。そのような場合には、個別労働契約で他の通常の労働者とは異なる、特別な労働条件を決定することがあります。

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なぜ、個別契約なのでしょうか、就業規則ではダメなのですか?

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絶対にダメというわけではないのですが…例えば、この例で雇用しようとしているコンサルタントに年収2000万円の賃金を支払うという内容で双方合意したとします。しかし、この会社で定めている就業規則の賃金の条件が、それほどまでの高水準を想定していない場合、就業規則によって「年収2000万円を支払う」という労働条件を実現することはできません。そこで、個別労働契約によってこのコンサルタントにだけ特別な労働条件を設定するのです。ここで述べたことはあくまで一例ですが…。

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なるほど。そういえば、Unit 15で学習したように、個別労働契約では就業規則を上回る労働条件を設定することができたのでしたね。

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はい、労働条件を決定する4つの法規範があり、効力の相互関係は以下のようになっています。右側にある規範は左側にある規範を下回ってはなりませんが、上回ることはよいのです。

法律>労働協約>就業規則>労働契約

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就業規則で労働条件が決定されることが多いとのことですが、就業規則に記載されていないことは、労働契約の内容にはならないのでしょうか?例えば、ある企業では、法定の年次有給休暇とは別に、「1年に一回、地域の夏祭りに参加するために特別有給休暇を取得することができる」という社内ルールがあるのですが、これは就業規則のどこにも記載がないのです。さらに先日、使用者が「今年からこのルールを破棄する」と労働者に一方的に伝えたらしいのですが、これは問題ないのでしょうか?

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そうとは限りません。就業規則に記載されていなくとも、相当長期間、反復継続的に行われている等の労使慣行があれば、「事実たる慣習」として労働契約の内容になると考えられています。そのような場合には、使用者から一方的に労働契約の内容を不利益に変更することはできません。

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そうなのですか。このようにすでに慣習化してしまっているケースでは、しっかりと就業規則に明文化したほうがよさそうですね。ところで、労働契約はいつどのようにして締結(成立)されるのでしょうか?

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鋭い質問ですね。一般的に、企業が従業員を雇い入れるまでには次のようなプロセスを経ることが多いと思います。ここで逆に質問ですが、どの段階で労働契約が成立したと言えると思いますか?

求人→採用申込み→面接→内定→雇い入れ(出社)

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実際に働き始めるのは雇い入れ(出社)以降なので、このタイミングで労働契約が成立するのだと思います。

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そのような気がしますよね。ただ、法的には、内定のタイミングで労働契約が成立すると解釈されることが多いのですよ。細かい話なので覚える必要はありませんが、内定時に成立するものを、「始期付解約権留保付労働契約」と言います。入社までに一定期間があるため「始期付」、内定取り消しの可能性があるため「解約権留保付」とあるのですが、簡単に言うと、一部条件付きの労働契約だということです。

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言葉自体は難しく聞こえますが、内容はよくイメージできました。

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以上、今回は労働契約の基本的枠組みについて解説しました。次回は、従業員数50人の企業の例を挙げて、企業における労働契約の実務をお伝えする予定です。

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次回も楽しみにしています。教授、本日はありがとうございました。

今回の連載内容は、2017年6月6日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「労働契約1」(水町勇一郎 東京大学社会科学研究所教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。
 

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