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Unit 23: 労災補償と労働安全衛生1-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)

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Unit 23: 労災補償と労働安全衛生1-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

前回と前々回は、年次有給休暇や産前産後休業等の法定内の休暇・休業について学習しました。
今回は、「労災補償と労働安全衛生」と題し、特に労災補償のシステムについて学習していきます。改めて労災補償に関する基本をしっかりと押さえましょう。

労災補償のシステム(労災保険)

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今回は、労災補償と労働安全衛生について学習します。突然ですが、わが国ではどのようにして労災補償が行われているかご存知ですか?

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労災保険というシステムがあり、実際に労働災害(以下、労災)が発生した場合にはそこから様々な補償がされると聞いています。

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そうですね。労働者災害補償保険法(労災保険法)という法律によって、様々な補償のルールが定められており、労災等の被害にあわれた方を保護しています。

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労災によるケガなどで働けなくなった場合、収入が途絶えてしまいますので、なんらかの補償があるのはありがたいですね。ところで、なぜ「保険」というシステムを採用しているのでしょうか?

労災補償の歴史

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いい質問ですね。それに答えるには、まず労災補償の歴史について触れる必要があります。今でこそ、労災保険は先進諸国に見られる共通のシステムとなっていますが、かつてはそうではありませんでした。そのような時代、労災にあった労働者やその遺族は、使用者に対し直接的に損害賠償請求を行っていました。しかし、この労働者からの損害賠償請求のプロセスがうまく進まないことが、歴史上各国で問題となっていたのです。

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なぜ、使用者への損害賠償請求がうまくいかなかったのでしょうか?

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それは、使用者の過失を立証する責任が、労働者側にあるからです。しかし、使用者の注意義務違反や事故と損害との相当因果関係を労働者が立証するのは簡単ではなく、また仮に立証できたとしても相当の時間と労力を要することになります。労災によってダメージを受けた労働者やその遺族にとって、使用者の過失を立証するのはハードルが高く、実際には実を結ばないことが多かったようです。

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なるほど。労災によって働くことができなくなると、金銭的にも精神的にも不安定になり、使用者を相手取って争うのは困難を極めそうですね。そのような背景から、労災保険というシステムが生まれたのでしょうか?

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はい。システム設計のポイントは、「使用者が無過失であっても被災した労働者やその遺族を救済する仕組み」を構築することでした。それを形にしたのが、労災保険というシステムです。日本では、1947年に前述の労災保険法が制定されました。

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損害賠償請求とは異なる労災保険には、どのような特徴があるのですか?

労災保険の仕組み

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労災保険の仕組みの特徴は、大きく2つです。①保険料徴収や保険給付を国が管轄し、全労働者を保護していること。②無過失責任主義であること。

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①について詳しく教えてください。

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国が直接保険料を徴収して一元的に管理することで、被災労働者等に迅速な災害補償ができるようになります。また、事業を適用対象にすることによって、間接的にすべての労働者を保護の対象に含めることができます。

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次に②について詳しく教えてください。

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無過失責任主義とは、簡単に言うと、「使用者の過失があろうとなかろうと、労災等に対して補償する」ということです。事故などの状況を踏まえ、いったん労災等に認定されれば、国がすぐさま補償してくれるのです。これにより、前述の過失責任の有無の問題が解消されます。

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労災保険の仕組みに関する特徴がわかりました。ところで、労災保険からの補償には、どのようなものが用意されているのですか?

労災保険給付

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労災保険の補償(保険給付)には様々な種類があり、同じ保険給付でも被災労働者等の状況に応じて内容が異なるなど、細かなルールがあるのですが、ここでは主に保険給付の種類と支給事由を述べるにとどめますね。下表を見てみましょう。

保険給付の種類 支給事由(概要)
療養給付療
養補償給付
業務災害又は通勤災害による傷病により療養するとき
休業給付
休業補償給付
業務災害又は通勤災害による傷病の療養のため労働することができず、賃金を受けられないとき
障害給付
障害補償給付
業務災害又は通勤災害による傷病が治った後に障害が残ったとき(障害等級が1級~7級は年金、8級~14級は一時金)
遺族給付
遺族補償給付
業務災害又は通勤災害により死亡したとき(年金と一時金の2通り)
葬祭給付
葬祭料
業務災害又は通勤災害により死亡した方の葬祭を行うとき
傷病年金傷
病補償年金
業務災害又は通勤災害による傷病が療養開始後1年6か月を経過しても治っていないとき
介護給付
介護補償給付
障害(補償)年金又は傷病(補償)年金受給者のうち第1級の者又は第2級の者であって、現に介護を受けているとき
二次健康診断等給付 定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目について異常の所見があるとき

※保険給付の種類欄の上段は業務災害、下段は通勤災害にかかるもの
※支給事由に関する細かな要件、給付額等については厚労省の情報をご確認ください

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実に様々な種類の保険給付があるのですね。また、業務災害だけでなく、通勤災害に対しても保険給付がなされるのですね。ケガや病気に対する補償以外にも、葬祭を行う際の費用まで面倒を見てくれるとは知りませんでした。このような保険給付を受けるには、どのような手続きが必要なのでしょうか?

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保険給付は、被災労働者またはその遺族が、直接国に請求することにより行われます。具体的には、事業所管轄の労基署に請求し、労働基準監督署長が労災か否かの認定をしたうえで保険給付の支給または不支給を決定します。

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労災と認定されず、不支給となる場合もあるのですか?

業務起因性と業務遂行性

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はい。例えば職場で何か事故が起きたとしても、それが労働者同士の私的なけんかによるケガだったとしたら、公的な労災保険による補償が必要だと思いますか?

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いいえ。そのような、仕事と関係のないケガについては、補償する必要がないと思います。

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そうですよね。業務災害にかかる保険給付については、その事故などが業務上発生したかどうかを判断して適切に労災認定する必要があります。そして、その業務災害の認定を行う際の判断基準として、「業務起因性」と「業務遂行性」が示されています。下表を見てみましょう。

業務起因性 業務遂行性
業務に内在している危険が現実化したと経験法則上認められることを言う 労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態を言う
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労働災害にあたるかどうかは、業務起因性と業務遂行性の観点から判断されるのですね。

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はい。労災に認定されるか否かは、実際にはケースバイケースで判断されますので、ここでは具体的なケース等は述べません。本日は労災保険のシステムについて学習しましたが、次回は、労災保険と民事損害賠償請求の関係についてお伝えします。

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労災補償のシステムについて概要を掴むことができました。次回の講義も楽しみにしています。教授、本日はありがとうございました。

今回の連載内容は、2017年6月29日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「労働条件4」(小畑史子 京都大学大学院人間・環境学研究科教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。
 

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