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Unit 22: 休暇・休業2-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)

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Unit 22: 休暇・休業2-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

前回は、労働法に定められた休暇・休業にはどのようなものがあるかを学習し、特に年次有給休暇(年休)に関する基本について解説しました。
今回は、年休以外の法定内の休暇・休業について学習していきます。労働者の権利として法律で定められていて、対応を誤ると大きな不満につながりかねませんので、改めてしっかりと基本を押さえましょう。

休暇・休業とは

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今回のテーマは、年休以外の「法定内の休暇・休業」ですが、まずは前回のおさらいとして、次の図表で法定内の休暇・休業の種類を確認しておきましょう。※法定外の休暇・休業については企業ごとの個別性が高いので詳細は述べません

法定内の休暇・休業 法定外の休暇・休業
  • 年次有給休暇(年休)
  • 産前産後休業
  • 生理休暇
  • 育児休業
  • 介護休業
  • 子の看護休暇、介護休暇
  • 法定内の年次有給休暇を上回る有給休暇
  • 慶弔休暇
  • 病気休暇
  • リフレッシュ休暇
  • ボランティア休暇など
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今回は年休以外の法定内の休暇・休業について教えていただくわけですね。

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はい。はじめに押さえておきたいポイントですが、年休以外の休暇・休業については、「有給」であることが法律で保障されているわけではないので、休暇・休業日に賃金を支給するかどうかは、各企業が自由にルールを設けることができます。つまり、無給でも構わないということです。

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無給なのですか。産前産後休業などはどうしても休まざるを得ない状況だと思いますが、無給となると本人の生活が苦しくなりそうですね…。

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そのとおりですね。そこで、産前産後・育児・介護休業の3つに関しては、社会保険制度を利用して休業中に給付金を受給できるようになっています。これにより、会社から受け取っている賃金の一部が保障されるため、労働者は安定した生活を送ることができます。ちなみに、これらの給付金は非課税なので、所得税の負担はありません。

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それは心強いですね、安心しました。各休暇・休業についてもう少し詳しく教えてください。

産前産後休業

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産前産後休業(以下、産休)は、労働基準法に定められた休業で、「出産を予定している労働者」であれば誰でも取得可能です。出産予定日6週間前(双子以上は14週)から、出産翌日8週間まで※の期間で取得可能です。※本人が請求し医師が認めた場合は、産後6週間を過ぎた後から就業可

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年休では、「6か月以上継続勤務…」などと制限がありましたが、産休は出産予定者であれば誰でも取得できるのですね。例えば、入社直後の新規学卒者でも取得可能なのですか?

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もちろんです。労働者から請求されれば、会社は拒否することはできません。ただ、繰り返しですが、賃金については無給で構わないとされています。ちなみに、厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、産休中の賃金を有給とする事業所割合は18.5%で、そのうちの63.9%が全期間100%支給としています。

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なるほど。社会保険からの給付金はどの程度支給されるのですか?

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健康保険から「出産手当金」が給付されるのですが、支給額としては休業1日につき、「支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3」が支給されます。

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うーん、もう少し直感的にわかりやすく表現していただけると助かるのですが…。

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簡単に言うと、だいたい「1日あたり給与(月給÷30日)×2/3」の額です。詳細は「全国健康保険協会」またはご加入の健康保険組合の情報をご確認ください。

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よくわかりました。2/3ということは約67%ですね。それだけ支給されれば、生活の安定はなんとか確保できそうですね。次に、生理休暇について教えてください。

生理休暇

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生理休暇も労働基準法に定められた休暇で、「生理日の就業が著しく困難な女性」が請求した場合に取得可能です。期間については特に定められていませんが、労働者からの請求に応じて休暇を与えることになります。丸1日や半日なども可能です。

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生理休暇はあまり利用されていないイメージがありますが、どうなのでしょうか?

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そのとおりです。「平成27年度雇用均等基本調査」によると、女性労働者のうち生理休暇を請求した者の割合は0.9%です。ちなみに、生理休暇を有給としている事業所割合は25.5%で、そのうち70.6%が全期間100%支給としています。

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非常に低い取得率ですね。なぜこのような状況になっているのでしょうか?

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さまざまあるでしょうが、「会社に言いづらい」「無給なので年休を使って有給で休んだほうがよい」等の理由が取得を阻害していると考えられているようですね。

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女性が多い職場などでは言いやすい雰囲気がありそうですが、男性が多い職場などでは確かに言いづらいかもしれませんね。職場環境や組織風土などの影響があるのかもしれません。次に、育児・介護休業について教えてください。

育児・介護休業

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育児・休業は、育児・介護休業法(通称)に定められた休業で、「常用労働者(日々雇用除く)」と次に掲げる「両方の条件を満たす有期契約労働者」が取得可能です。

育児休業を取得できる有期契約労働者

  1. 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
  2. 子が1歳6か月(2歳までの休業の場合は2歳)に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

介護休業を取得できる有期契約労働者

  1. 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
  2. 介護休業開始予定日から93日経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
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一定の条件を満たす有期契約労働者も取得可能なのですね。取得期間はどの程度あるのでしょうか?

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育児休業の取得期間は、原則として子が1歳に達するまでの連続した期間ですが、いわゆるパパ・ママ育休プラスを利用する場合は、1歳2か月に達するまで1年間以内の期間です。また、保育所等にできない待機児童を抱えている場合等は、最長2歳まで延長可能です。介護休業の取得期間は、対象家族1人につき通算93日までです(最大で3回の分割取得可)。

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産休の場合は入社直後でも取得できるとのことですが、育児・介護休業も同様に取得できるのですか?

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育児・介護休業では、労使協定を締結することで次の労働者を取得対象外にすることが可能です。

育児休業の取得対象外にできる労働者

  • 雇用された期間が1年未満の労働者
  • 1年(1歳以降の休業の場合は6か月)以内に雇用関係が終了する労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者

介護休業の取得対象外にできる労働者

  • 雇用された期間が1年未満の労働者
  • 93日以内に雇用関係が終了する労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者
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あらかじめ労使協定を締結することで、雇用期間や週の所定労働日数の制限を設けることができるのですね。育児休業はわが子の育児のための休業だとわかりますが、介護休業の介護の対象はどうなるのですか?

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介護休業の介護対象となるのは一定の家族で、「配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫」と範囲が定められています。

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なるほど。いとこは介護休業の対象とはならないのですね。社会保険からの給付金はどの程度支給されるのですか?

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雇用保険から「育児・介護休業給付金」が支給されるのですが、休業中1か月につき、「休業開始時賃金日額×支給日数の67%※相当額」が支給されます。※育児休業については、休業の開始から6か月経過後は50%

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簡単に言うと、だいたい「1日あたり給与×67%」程度ということですか?

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そうです。詳細については、「ハローワークインターネットサービス」の情報をご確認ください。

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最後に、子の看護休暇・介護休暇について教えてください。

子の看護休暇・介護休暇

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これも育児・介護休業法に定められたもので、子の看護または家族の介護のために一定日数の休暇を取得できる制度です。子の看護休暇は、「小学校就学前の子を有する労働者」が1年度につき5日(子が2人以上の場合は10日)を限度として取得できます。介護休暇は、「要介護状態にある対象家族の介護をする労働者」が1年度につき5日(対象家族が2人以上の場合は10日)を限度として取得できます。

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これらについては、社会保険からの給付はないのですか?

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はい。育児・介護休業と違い、給付金はありません。育児・介護休業もそうですが、これらについても労使協定を締結することで、一定の労働者を対象外にすることができます。

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これらの休暇については、認知度があまり高くなさそうですね。

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はい。ある民間企業の調査によると、「制度自体を知らない」と回答した人も多かったようです。また、労働者全体としての取得率も低いようです。

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なぜ取得が進まないのでしょうか?

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前述の生理休暇もそうですが、年休の消化率が約50%の日本では、無給の休暇を利用するよりも年休取得で対応することが優先されるようです。また、事業主が行う社員への周知徹底も足りていないのかもしれません。

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確かに、急な子どもの病気で年休を取得するママの話はよく聞きますね。ところで最近、「夫が育児休業を取得し、復帰直後に転勤を命じられ退職した」というニュースが話題になっていますね。企業名が特定され得るSNSの投稿から火がつき、対象となった企業の株価は一時下落したようです。

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働き方改革が否応なしに進む中、休暇・休業を含む労働条件に対する企業の姿勢に、かつてないほどの社会的関心が高まっています。原則として休暇・休業は労働者が請求するもので、企業が取得を無理強いするものではありませんが、対応を一歩誤ると、前述のように企業価値を損う事態に発展しかねません。高度情報化社会で事業展開するにあたり、ここに掲げた最低限の内容をしっかりと押さえて労働者からの休暇・休業の請求に正しく対応することは、今日の事業主の責務と言えるでしょう。

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その通りですね。ちょっとした対応一つで人の心は大きく動かされるものです。教授、本日はありがとうございました。

今回の連載内容は、2017年6月22日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「労働条件3」(竹内寿 早稲田大学法学学術院教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。
 

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