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Unit 18: 弾力的労働時間制(変形労働・フレックスタイム・みなし労働・裁量労働)2-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)

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Unit 18: 弾力的労働時間制(変形労働・フレックスタイム・みなし労働・裁量労働)2-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

前回は、弾力的労働時間制の概況や各制度の概要をお伝えし、特に変形労働時間制の対象労働者、労働時間の取り扱い、手続きについて学習しました。
今回は、前回の続きとして「弾力的労働時間制(変形労働・フレックスタイム・みなし労働・裁量労働)2」と題し、フレックスタイム、みなし労働、裁量労働制の各対象労働者、労働時間の取り扱い、手続きについてお伝えします。正しい制度適用のためにも、基本的な法的要件をしっかりと押さえましょう。

フレックスタイム制の概要

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今回は、前回からお伝えしている弾力的労働時間制の続きです。

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フレックスタイム制についてもう少し詳しく教えてください。

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フレックスタイム制の最大のポイントは、「労働者自身が各日の始業・終業の時刻を決定できる」ことです。フレックスタイム制のもとでは、労働者は1か月以内※の一定期間(清算期間)に定められた総労働時間に到達しさえすればよく、1日あたり何時間働くかまでは問われないのです。

※法改正により2019年4月以降は3か月以内に拡充される

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労働者が始業・終業を自ら決められるということは、何時に出勤して何時に退勤しても構わない、ということですか?

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基本的にはそのとおりです。例えば、月曜日は9時に出勤して17時に退勤、火曜日は10時に出勤して18時に退勤などというように、出退勤の時間を労働者自身で決めることができます。

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通常の労働時間制のもとで始業が9時と定められている会社では、10時に出勤したとすると、1時間の遅刻となるのが一般的だと思いますが、フレックスタイム制の場合はどうなるのですか?

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フレックスタイム制の場合、始業時刻はあらかじめ決められていないのですから、そもそも「遅刻という概念がない」のです。

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そうなのですか!遅刻の概念がないということには驚きました。園児の送り迎えがあるパパ・ママなどにとっても働きやすそうな制度ですね。ただ、何時に出勤してもよいとなると、極端な話、中には午後に出勤する人が出てくるなど、職場規律が保ちにくくなってしまうのではないでしょうか?

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いま指摘いただいた職場規律の話は、フレックスタイム制の導入を検討する際によく聞く声の一つです。そのようなことが懸念される場合、「コアタイム」を定めるとよいでしょう。コアタイムというのは、「1日の中で○時~○時の間は必ず勤務してほしい」と会社が定める時間帯のことです。これに対し、出退勤の自由がある時間帯のことを「フレキシブルタイム」と言います。

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フレックスタイム制を取っている会社の求人などを見ていると、コアタイムは11時~16時、フレキシブルタイムは始業8時~11時、終業16時~19時などと定められていますね。ところで、フレックスタイム制を適用するうえで何か制限等はあるのでしょうか?

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フレックスタイム制を適用できる対象者には、特に制限がありません。対象となる労働者の範囲は自由に設定可能ですので、例えば職種別に使い分けるということもできます。また、労働時間の取り扱いは次のとおりです。

1か月以内※の一定期間(清算期間)・総労働時間(所定勤務時間)を定めたうえで、清算期間における実際の労働時間が所定勤務時間を超えていれば、その部分は時間外労働となる。

※法改正により2019年4月以降は3か月以内に拡充される

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なるほど。清算期間の所定勤務時間と実勤務時間を比較するのですね。

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また、フレックスタイム制を適用するために必要な主な手続きは、次のとおりです。

① 就業規則に、フレックスタイム制を導入する旨を規定
② 労使協定を締結(届出は不要)

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労使協定の締結は必要だけれども、届出までは不要なのですね。

労使協定の具体的な締結事項については、別記事『フレックスタイム制の導入について 』に詳しく記載されています。

事業場外みなし制の概要

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次に、事業場外みなし制についてお伝えします。この制度の最大のポイントは、「労働時間の把握が難しい事業場外の勤務については、実際の勤務時間にかかわらず、一定時間働いたとみなす」ことです。例えば、「直行直帰をする営業職の労働時間の把握が難しいので、その日は所定労働時間働いたこととする」などの取り扱いが可能です。

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確かに、直行直帰の営業職で複数の客先移動等があると、「A社への営業提案で○時間、B社への新規訪問で○時間働いた」などと会社が正確に把握するのは難しいですね。

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そうなのです。対象者は「事業場外で勤務する労働時間の把握が難しい労働者」となります。ただ最近は、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレット等)の普及により、事業場外の勤務であっても労働時間を把握できるケースが増えてきています。そのような場合は、実際の労働時間にかかわらず一定時間働いたとみなすことはできません。

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スマートフォンを使って社外から勤怠を報告させるなどにより、事業場外での勤務時間を把握している会社も少なくないと思います。そうした会社には事業場外みなし制は適用できないということですね。ところで、「事業場外」という言葉がついていますが、事業場内での勤務の場合はどうなるのですか?

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よい質問ですね。一定時間働いたとみなすことができるのは事業場外での労働だけなので、事業場内での労働については実際の労働時間をもって労働時間とします。みなし労働時間の取り扱いについては次の2通りがあります。

① 原則として所定労働時間労働したものとみなす
② 当該業務を遂行するために、通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には、当該業務の遂行に通常必要な時間労働したものとみなす

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①についてはわかりますが、②についてはどういう意味合いなのかいまひとつわかりません。

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それについては、別記事『事業場外みなし労働時間制について-2-』 に詳しく記載されていますので、そちらを参照してください。なお、事業場外みなし制を適用するにあたっては、みなし時間が法定労働時間(1日8時間)を超える場合は労使協定の締結・届出が必要です。これに対し、みなし時間が法定労働時間を超えない場合は労使協定は不要です。

裁量労働制の概要

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次に、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制についてお伝えします。両制度に共通する最大のポイントは、「仕事のやり方や時間配分等を労働者の裁量にゆだねる場合、実際の勤務時間にかかわらず、労使協定で定める時間働いたとみなす」ことです。

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先ほどの事業場外みなし制と同じように、実勤務時間にかかわらず、一定時間勤務したものとみなすのですね。専門業務型と企画業務型と2種類あるようですが、両者の違いは何ですか?

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両制度は、「一定時間働いたとみなす」ことができるという点では共通していますが、制度を適用できる対象者や手続きの方法が大きく異なります。専門業務型裁量労働制の対象となる労働者は、省令および大臣告示によって、次の専門性が高い19業務に従事する者と具体的に定められています。

1.新商品・技術の研究開発、2.情報システムの分析または設計の業務、3.新聞・出版・放送番組等の取材・編集の業務、4.新たなデザイン考案の業務、5.放送番組・映画プロデューサーまたはディレクターの業務、6.いわゆるコピーライターの業務、7.いわゆるシステムコンサルタントの業務、8.いわゆるインテリアコーディネーターの業務、9.ゲーム用ソフトウェアの創作の業務、10.いわゆる証券アナリストの業務、11.金融商品開発の業務、12.大学教授の業務、13.公認会計士の業務、14.弁護士の業務、15.建築士の業務、16.不動産鑑定士の業務、17.弁理士の業務、18.税理士の業務、19.中小企業診断士の業務

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一方、企画業務型裁量労働制の対象となる労働者は、「事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析の業務」に従事する者です。事業戦略を立案するような、いわゆる経営企画の業務などがこれに該当します。

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両制度とも、労働者の裁量が大きく、使用者の指揮命令がなじまないようなタイプの業務が対象なのですね。

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裁量労働制を適用する労働者に対しては、仕事のやり方や時間配分等について使用者から具体的な指示をしないこととし、その裁量を労働者本人に大幅にゆだねなければなりません。 また、裁量労働制の導入手続きについては、専門業務型では労使協定の締結・届出が、企画業務型では労使委員会による決議とその届出が必要となります。

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労使委員会とは一体何なのでしょうか?労使協定とは異なるのですか?

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労使委員会とは、賃金・労働時間等の労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を述べる委員会で、使用者およびその事業場の労働者を代表する者が構成員となっているものです。企画業務型裁量労働制の手続きにおいては、この労使委員会の5分の4以上の議決が必要であるなど、労使協定締結よりも手続きが複雑で導入のハードルが高くなっています。

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前回見た、企画業務型裁量労働制の適用を受ける労働者数の割合が0.3%と極端に低かったのも、それを聞いて理解できました。

弾力的労働時間制のまとめ

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最後に、今日お伝えした各制度の要点を次の図表にまとめますので、あらためて確認してみてください。

      
図表 フレックスタイム・みなし労働・裁量労働制の要点
制度 対象 労働時間の取り扱い 手続き
フレックスタイム制 制限なし     清算期間における実際の労働時間が所定勤務時間を超えていれば、その部分は時間外労働となる     就業規則の定めと労使協定の締結(届出は不要)
事業場外みなし制 事業場外で労働する外回りの営業職等     ① 原則として所定労働時間労働したものとみなす
② 通常所定労働時間を超えて労働することが必要な場合、当該業務の遂行に通常必要な時間労働したものとみなす    
左記①の場合は労使協定が不要だが、②の場合は労使協定の締結・届出が必要
専門業務型裁量労働制 新商品・技術の研究開発、コピーライター、証券アナリスト等の業務に従事する者     労使協定で定めた時間労働したものとみなす     労使協定の締結・届出
企画業務型裁量労働制 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務に従事する者     労使委員会の決議で定めた時間労働したものとみなす     労使委員会を設置したうえで5分の4以上の多数決議とその届出
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前回から弾力的労働時間制について学習してきましたが、各制度で労働時間の取り扱い方が異なり、一部は適用できる対象者に制限があるため、制度を利用する場合は慎重に検討する必要があると感じました。自社の業務がどのようなものであるか踏まえたうえで、制度の趣旨に沿った運用をしないと、導入の効果がうまく得られないかもしれません。教授、本日はありがとうございました。

今回の連載内容は、2017年6月13日の講義を参考に執筆しました。
東京労働大学講座「労働条件」(中窪裕也 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)

※東京労働大学講座は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年度開催している、労働問題に関する知識の普及や理解の促進を目的とした講座です。今年度で66回目を数え、これまでの修了者は27,000人を超える歴史と伝統を誇る講座です(2018年1月時点)。
 

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