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働き方改革法制にどう対応するか(ブックレット54号巻頭言)

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働き方改革法制にどう対応するか(ブックレット54号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2019年2月13日(東京)2月19日(大阪)開催・春季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(22)

 2019年4月から残業時間の上限規制、年5日間の年休取得の義務化、労働時間の把握義務などの働き方改革関連法制が施行される。2020年4月には同一労働同一賃金を促す短時間・有期雇用労働法もスタートする(中小企業は2021年4月から)。
 ここでは、喫緊の課題である残業時間の上限規制、有給取得の義務化について5つの観点で考えてみたい。超人手不足社会のもとで、働く人たちが企業を選べる時代になっていることを意識したうえで、間違いのない手を打っていってもらいたい。

1.法規制への対応・・・残業時間の上限規制、年休取得の義務化とも、詳しく見ていくと、内容は少し複雑である。法律の内容と自社の実情を具体的にチェックし、問題点を洗い出し、必要な対応策を検討することが肝要である。

2.業務内容・配置の見直し・・・5日間の年休取得の義務化は、例えば従業員100人の会社で有給取得が平均3日増えれば、合計300日に及ぶ。残業時間の上限規制は、長時間労働に依存しがちの会社の場合、業務内容や人員配置の見直しが避けられない。
 手間の割に利益にならない仕事の廃棄、過剰仕様の商品・サービスの簡素化、過剰な分業体制の見直し、効率的な外部サービスの活用など、既成概念にとらわれることなく、仕事の進め方に大胆にメスをいれなければならない。

3.コスト吸収策・・・法規制への対応によって生じるコストを把握し、生産性にプラスになるように工夫しなければならない。これまでは有給をあまり取得しなかった従業員も、例えば1日6時間勤務の時給1000円のパートタイマーが5日間の有給を取得すれば一人6000円×5日=3万円の賃金増となる。
 小さなコストといえども、有給の取得が人々の士気向上につながる。何らかの仕掛けが必要であろう。



4.従業員への配慮・・・残業時間の上限規制が従業員の仕事や生活、収入にどのような影響を及ぼすのかを予測し、働き方の質の改善や、余暇の増大、会社全体の生産性向上につなげる施策が必要である。無駄な仕事を排除し、仕事の優先順位づけを行って、成果につながる活動に集中する時間を最大化させなければならない。時間内で目標を達成できない従業員には、目標の見直しなどのケアも必要になる。

 残業時間の減少によって生じる従業員の収入減には特に配慮が必要である。「手取りは減っても、早く家に帰れるようになって良かった」などというとらえ方が許されるのは、ある程度賃金水準の高い会社だけである。
 そうでない中小企業の場合、残業手当の減少は、もともとゆとりのない従業員にとって、打撃以外の何ものでもない。残業時間の規制を乗り越える生産性の向上を労使の知恵でなんとしても実現し、ベースアップや賞与の増額等で従業員に還元する方法を考えてもらいたい。

5.果実を得る・・・働く人たちにワークライフバランスを重視する傾向が広がり、安定志向・大手志向が強まっている。他方では、「意味のある仕事」を通してよりよい社会の実現に貢献したいという志のある若い人たちも確実に増えている。
 法規制を受け身にとらえるのではなく、業務内容や社風、会社の在り方そのものを変えていくチャンスととらえ、従業員満足や企業価値を高める視点を持ってもらいたい。
 中小企業の良さを生かし、伸ばしていくよう、自分たちの働き方や労働環境をよりよいものにしていこうとする働く人たち自身のデザイン力に期待したい。


「プライムブックレット巻頭言」は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介するものです。

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