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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー15ー

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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー15ー

大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり(15) 

 皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸です。
 前回前々回と2回にわたり、「ランク型賃金表®」と「段階接近法®」を使った号俸改定(基本給改定)の基本的な考え方を、演習を交えて解説しました。

 今回は、その応用例として、昇格した場合の考え方、世間相場との比較方法、継続雇用者用の賃金表の考え方を紹介したいと思います。

20.役割等級が変わると評価レートも変わる

 まず、前々回ご紹介した、号俸改定の基本的な考え方を振り返っておきましょう。
 図1は号俸改定基準のR1等級部分を抜粋したものです。

 R1等級の社員の基本給が2ランクの高さにあり、評価がA評価(評価レート4点)の場合、「2両者の交点をたどると「+3号」と書いてあります。
 これが改定号数であり、この社員は、現在の基本給の位置(号数・金額)から3号分昇給できるということを意味していました。

図1 号俸改定基準の例(抜粋)

 では、この社員の役割等級が上がる(昇格する)とどうなるでしょうか。
 役割等級が上がるということは、仕事の責任や難易度も上がります。
 仕事が大変になったのに、報酬に関するメリットが何もないと社員は不満を感じるでしょう。

 「ランク型賃金表®」と「段階接近法®」を使った号俸改定では、昇格すると昇格前に比べて適用する評価レートが高くなります。
 例えば、R1等級の社員がR2等級になった場合、R1等級の評価レートは1~5点だったのに対し、R2等級は3~7点とその範囲が上に広がります(図2)。

 例えば、ランク(基本給の高さを表す)が2ランクでA評価を取った場合、R1等級では4点で改定額は+3号分(図2の青い実線)ですが、R2等級のA評価は6点となりので改定額は+5号分(図2の赤い実線)となってR1等級のときより改定額が大きくなります。

 また、昇格するとより高い賃金まで昇給することができるようになります。
 例えば、A評価の場合、R1等級は4Tで頭打ち(図2の青い点線)になりますが、R2等級になると6Tまで昇給することができます(図2の赤い点線)。

 図3の賃金表の場合、R1等級は237,700円(4T)までしか昇給できませんが、R2等級では289,440(6T)まで昇給できることになります。

図2 号俸改定基準の例(抜粋)2

図3 ランク型賃金表の例

21.賃金の世間相場とランク型賃金表のモデル昇給カーブとの比較

 前々回からここまでご紹介してきたように、「ランク型賃金表®」と「段階接近法®」を使うと、どの評価を取ればどれくらい基本給があがるのかを簡単に導くことができるため、昇給のモデルカーブを描くことも容易です。
 賃金制度を作る際、自社の賃金水準が世間と比べて高いのか低いのかは気になるところだと思います。

 そのようなときは、モデルカーブと世間相場のデータを比較してみると良いでしょう。
 世間相場と言っても様々なデータがありますが、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の役職別集計は誰でも手軽に入手でき、使いやすいデータだと思います。

 図4はモデル昇給カーブと「賃金構造基本統計調査(平成24年)」の役職別集計を比較した例です。
 黒い線がモデル昇給カーブ、色の付いた線が厚生労働省のデータを表しています。
 このように比較することで、自社がどの程度の賃金水準なのかがわかりますし、どの程度の水準を目指すのかの参考にもなります。

 また、この図4を見ると、モデル昇給カーブ(黒い線)はいずれも一定のところまで上昇し、最後は横ばい(頭打ち)になっていることがわかると思います。

 これが「段階接近法®」の効果です。等級と評価に見合った適切な賃金水準まで段階的に近づいていき、そこに到達するとそれ以上は昇給しないという上限規制がしっかりと働いていることがお分かりいただけると思います。

図4 モデル昇給カーブと「賃金構造基本統計調査(平成24年)」の比較

22.ランク型賃金表と整合性のとれた継続雇用賃金表

 次に、「ランク型賃金表®」を定年後の継続雇用者用に応用した例をご紹介します。
 継続雇用後の賃金を定年時から引き下げ、以降は評価や賃金改定を行わない会社もあると思います。
 しかし、60歳~65歳までの5年間にわたって働いてもらうわけですから、会社に貢献した社員には一定程度報いる仕組みがないとモチベーションもあがりません。

 そこで、私たちは継続雇用者にも評価に応じた賃金改定を行うことをお奨めしており、そのために「ランク型賃金表®」を活用することができます。

 ただ、もともとの「ランク型賃金表®」は「段階接近法®」を使って等級と評価に見合った適切な水準に時間をかけて緩やかに近づけていくものでした。
 5年間しか勤務期間がない継続雇用社員に、通常の社員と同じように時間をかけて緩やかに変化させることは馴染みません。

 そこで、継続雇用者用賃金表は正社員の「ランク型賃金表®」からランクの最低額を書き出し、金額の刻みを大きくした形で作ります(図5)。

 継続雇用者は、原則として1年ごとの有期雇用とし、このランク別の賃金額を「基本給」として適用し、毎年の更新時にランクの見直しを行います。
 なお、短時間勤務の継続雇用者には、時給換算した金額を適用することもできます。

図5 ランク型賃金表を活用した継続雇用者用賃金表

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