1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. WEB連載記事
  4. 強い組織を作る!人材活用・評価・報酬の勘どころ
  5. 中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方
  6. 中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー14ー

プライムCメディア

中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー14ー

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー14ー

第14回 『マネジャーに必要な素養とは?』(5)

 こんにちは。人事コンサルタント・CDA・中小企業診断士の渡辺俊です。
 前回は「目標管理の技法」を考える前段として、「目標管理の本質」について考察しました。そして、目標管理はそもそも「個人の評価」を前提としたものではないこと、目標を直接的な評価対象にしないという考え方もあることをご紹介しました。
 とはいえ、目標管理を行っている企業の大半は、評価制度として導入しているのが実態です。そこで今回からは、「目標管理を個人の評価に使う」ことを前提に、話を進めていきましょう。

1.目標管理の技法とは?

 「管理者に必要な5つの技法」を提唱している現代マネジメント研究会・菅野篤二氏は、「評価の技法」についても長年の経験をもとに理論と実務的な手法を提示しています。
 ここからは、「目標管理を個人の評価に使う」という前提に立ちますので、「評価の技法」も含め、下記のように「目標管理の技法」をとらえ直してみたいと思います。

 目標管理の技法には、その進捗ステップから考えると、
1.適切な目標を立てさせる技法
2.目標を達成させる技法
3.目標に取り組んだ結果を適正に評価する技法
の3つがあります。そして、そのいずれにも通底する基盤となる技法が
4.面談の技法
です。これは、各ステップにおける面談での部下とのかかわり方と言ってもよいでしょう。

 今回はまず、「適切な目標を立てさせる技法」について考えていきましょう。

2.適切な目標とは? その1「自ら取り組みたくなる目標」

 つい先日、目標管理を評価制度として導入したクライアント企業で、管理職研修を実施しました。この会社は、7月に管理職研修第一弾として「目標設定研修」を実施し、10月からの新制度トライアル運用を開始するために、9月頃から目標設定に取り組んでいました。

 初めての目標設定は試行錯誤の連続でしたが、ようやく一段落したので、今回は、管理職研修第二弾として「評価研修」を実施。来年4月に予定しているトライアル評価に備え、ケースを使った振り返り面談のロールプレイや評価の演習を行いました。

 体験学習を進める中で、受講者が口々に気づきとして述べたのが、「目標設定がすべて。適切な目標を立てないと評価はできない」ということでした。
 では「適切な目標」とは何なのでしょうか。また、どうしたら「適切な目標」を立てることができるのでしょうか。

 「適切な目標」には、2つの意味があると思われます。
 一つは、本人にとって「自分が取り組むに値する」と感じられ、自ら取り組みたくなる目標という意味です。そのような目標とするには、2つの条件があります。

 第一の条件は、目標を、組織の方針・目標や、組織の役割・機能・成果とのつながりがわかるものにすることです。

 その目標が、組織の業務から独立して存在しているのではなく、組織全体のやるべきこととのつながりを実感できるものにするのです。自分が目標に取り組むことが、組織的に意義のあることだと思えれば、貢献意欲も湧いてきます。

 サッカーのゲームに例えると、刻刻と変化する試合展開の中でどのようなフォーメーションを組み、各人のパスをどのようにつなげてゴール(得点)へのシュートを決めるのかという戦略が見通せることです。

 各部門の仕事もこれと同じで、メンバーの仕事への取り組み(個人目標)が、どのような成果のつながりを生み、最終的に所属部門そして会社全体のゴール(組織目標)につながるのかという、「戦略ストーリー」を共有することが大事です。それができれば、全員の方向性が一致し、組織の集中力が増し、メンバーの参加意欲も格段に増すことでしょう。

 第二の条件は、精一杯努力し、ある程度背伸びをすれば達成できると思えるところに、目標の到達点(ゴール)を設定することです。

 元メジャーリーガーの松井秀喜選手を育てた星稜高校の山下監督は、1年生のときには石川県でNO.1のホームランバッターになれ、2年生のときには北信越でNO.1になれ、3年生のときに初めて全国でNO.1になれと言ったそうです(松井秀喜著「不動心」より)。

 地域でのトップを極めないうちに、日本一や世界一を目標においても現実味がなく、努力の原動力にはなりにくい。達成可能なところを目標化して、一つずつ着実に達成させていくことが、将来の思いもしなかったゴールへの到達につながることを、優秀人材を育てている指導者はよく知っているのです。

 この2つの条件を満たすことで、目標は、上から降ってくるノルマではなく、自ら進んで取り組みたいものになるでしょう。自分の成長につながるという実感も持てるはずです。

3.適切な目標とは? その2「適正に評価できる目標」

 さて、「適切な目標」のもう一つの意味は、適正に評価できる目標ということです。
 そのような目標とするには、やはり2つの条件があります。

 第一の条件は、本人の役割やポジションにふさわしい目標にするということです。
 菅野氏は、職場における仕事の基準や期待度の考え方には、「上司の期待基準」、「組織の定めた基準」、「本人の満足基準」の3つがあると言っています。そして、評価はあくまでも「組織の定めた基準」によって行われるべきものだと言っています。

 たとえばある人が「リーダー」というポジションに就いているのなら、組織としてそのポジションに期待する役割・成果・行動などがありますので、一般メンバーと同じレベルの目標に取り組んでしまっては、適正な評価はできません。

 したがって、適正に評価できる目標とするには、目標を設定する段階で、上司と本人で「組織の定めた基準」を共有し、丁寧にお互いの基準のすり合わせをすることが不可欠です。
 第二の条件は、目標の到達点(ゴール)が明確になっているということです。

 先日の研修で一番多かった声が、「ゴールがあいまいだと評価ができない」というものでした。目標管理を評価に使っている多くの会社は、目標の記述があいまいになりがちという問題を抱えています。

 その意味を探っていくと、「目標の到達点を数値で記述できない」と言っているケースが大半のように思われます。その裏には、「数値で記述できない=あいまい」という思い込みがあるのではないでしょうか。

 先日の研修でも、「あまりにも抽象的な漠然とした目標を設定してきた場合、どう対応すればよいのか」という質問が出ました。これに対して私たちは、

1.「何を、どこまで、どのように、どうする」という基本文型を指導する
2.上司が問いかけをすることで、本人が「何を、どこまで、どうしようとしているのか」を語ってもらい、語った内容をまとめさせる

などの手法をお伝えしました。到達点は、必ずしも数値で設定しなければならないわけではありません。「期待する成果」、「実現したいレベル」、「最終ゴールのイメージ」、「期待する完成イメージ」などを、上司と部下が言葉で共有できればよいのです。そのためには、継続的な指導や丁寧な対話が大切です。

 この2つの条件を満たせば、目標は、適正な評価につながる有力な基準になり得るでしょう。ただし、この2つの条件を満たすには、目標設定のプロセスに必要な「作法」を習得し、それなりの手間や時間をかけなければなりません。

 それにもかかわらず、評価のことだけを考えて、なるべく手間を省こうといった安直な動機が頭をもたげてきて、目標項目を職群や階層で統一したり、何が何でも数値で目標を立てさせようとするような、本質を見失った使い方に陥ることがあるのです。

 このことは、第13回でも述べましたね。しかしそのような使い方をしてしまうと、当然、前段で述べた「自ら取り組みたくなる目標」からはほど遠いものになるでしょう。

 目標管理を効果が上がる形で個人の評価に使うには、ここまで述べてきたポイントを熟知し、まずは目標設定の段階で、きちんと手間と時間をかけていく覚悟=経営としての意思決定が必要になります。その覚悟こそが、目標管理が評価制度として定着する鍵ではないかと、私は思っています。

 もし、あなたの会社で目標管理が評価制度としてうまく機能していないと感じるようでしたら、この点を今一度、振り返ってみてください。

プライムコンサルタントの
コンサルティング

コンサルティング会社と聞くと、「敷居が高い」「中小企業の当社には関係ない」といった考えをお持ちではありませんか?

当社のクライアントの大半は、従業員数が30~300名ほどの中堅・中小のお客様です。
これらのお客様からは「中小企業の実情を理解したうえで的確なアドバイスをくれる」「話をしっかり受け止めようとしてくれる」「いい意味でコンサル会社っぽくなく、何でも相談できる」といった声を多くいただきます。
担当コンサルタントの「親しみやすさ」も、当社の特長の一つです。

会社の規模に関わらず、一社一社のお客様と親身に対話をすることが当社の基本方針。
人事のご相談はもちろん、それに関連する専門知識を持ったコンサルタントがお客様の悩みをしっかり受け止め、人事にまつわるさまざまな課題を解決に導いてまいります。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ