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中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー15ー

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中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー15ー

第15回 『マネジャーに必要な素養とは?』(6)

 こんにちは。人事コンサルタント・CDA・中小企業診断士の渡辺俊です。
 これまで、プライムコンサルタントのパートナーである現代マネジメント研究会主宰・菅野篤二氏が提唱する「管理者に必要な5つの技法」の中から、「リーダーシップの技法」と「目標管理の技法」について考えてきました。
 続いて今度は、5つの技法の中でもっとも身近なテーマである「コミュニケーションの技法」について考えてみたいと思います。

1.職場で何が起きているのか?

 職場で起きている問題というと、多くの企業で決まって取り上げられるのが、「コミュニケーションがうまくいっていない」ということです。
 と言っても、そこには、いろいろな意味での「うまくいっていない」があります。下記は、私が最近耳にした、職場コミュニケーションに関するトラブルの事例です。

【事例1】 営業担当者のミスが原因で顧客の要望と違うものを納品してしまったが、上司である自分がそのことを知らなかった。顧客に会った時に嫌味を言われ、恥をかいた。なんでこんな大事なことを報告しないのか!
【事例2】 見積書の間違いを指摘すると、「この時は、AさんからもBさんからも急ぎの見積書を頼まれたのでチェックする時間がなかったんです。もっと余裕をもって依頼してくれればできるのに」と即座に言い訳で返してくる。再発防止のために必要だと思って言っているのにいつもこの調子なので、だんだん指摘する気が失せてきた。
【事例3】 後輩が新規イベントの企画に悩んでいた。過去の企画書を見せながら自分の経験からアドバイスしてみたが、うるさそうな様子でまともに聞こうとしない。「だったら勝手にしたら・・・」という気持ちになってしまった。
【事例4】 仕様変更の連絡が、次工程を担う部署に伝わっていなかった。その結果、出荷できない製品を山ほど作ってしまった。新たな取引先からようやく受注できた大事な仕事だったのに、相手の信用を失ったばかりか、売上に見合わないコストがかかってしまった。
【事例5】 事業統合をしたのは3年も前のことなのに、いまだに「旧O社さんの人は~だよね。旧P社は・・・だけど」といった会話が飛び交う。会社全体で一つの方向に向かおうとする気風や一体感が生まれない。

 どれをとっても、皆さんの周囲でも「あるある」と感じるようなケースではないでしょうか。

2.職場コミュニケーションの問題点

 この手の事例は、挙げたらきりがありませんが、俯瞰するといくつかの共通する問題点があるように思います。
 第一の問題点は、必要な情報を、必要な相手に伝えていないということです。つまり、報告・連絡の不備不足です。

 【事例1】は、報告すべきことをしていなかった事例です。「褒められたことは言わずとも、叱られたことは必ず上に報告せよ」とか、「良い報告はあとでもよいが、悪い報告はすぐにせよ」などは、社会人1年生の時から耳タコになるほど教えられることです。にもかかわらず、ベテランになってもついやってしまいがちな事例ではないでしょうか。

 【事例4】は、情報の伝達範囲を誤った事例です。
 どの部署の誰にどんな情報を周知すればよいのかは、こと細かにルールとして定めきれるものではありません。私の周りでも、「え、そうなの? 知らなかった」「あ、そういえば、○○さんは外出していたから伝わってなかったね」というようなやりとりが、日常的に起きています。

 些細なことのようですが、この事例のように、ちょっとしたヌケ・モレが会社の信頼や業績・利益に深刻な影響を及ぼすこともあります。

 先日も、ある病院で、看護師の間での申し送りがされていなかったために、難病の患者さんがトイレに放置されて亡くなられたという報道がありました。連絡の不行き届きは、最悪の場合、人の命にも関わることなのだと思い知らされました。

 第二の問題点は、自分とは異なる経験や視点を、外から取り入れないことです。つまり、相談や、アドバイスの受け入れの不足です。

 【事例2】は、他者の考えや見方を取り入れる機会を自らシャットアウトしている事例です。トラブルの原因を他責化してしまうので、真の問題解決や仕事の質の向上、自身の成長にはつながりません。

 【事例3】は、何でも一人で悩み、一人で解決しようとする事例です。見方によっては主体的、自律的だと言えるかもしれませんが、一歩間違えば、自己満足に陥って独善的な仕事をしてしまう恐れがあります。

 自分の仕事の先には、次工程、顧客、社会など、必ずその成果を受け取る「相手」がいます。仕事の目的は、その相手によりよい価値を届けることなのです。他者の経験や視点は、自分の知らない、気づいていない方向に視座を転換する貴重なきっかけとなり、ヒントになります。

 大切なのは、自分の仕事を受け取る相手のために、他者の経験や視点を取り込みながら、自分の考えややり方を再構築・再生成し、よりよいものに高め続けることです。
 このような目的意識をしっかりと持っていないと、事例のように、独りよがりのコミュニケーションになってしまうのではないでしょうか。

 そして第三の問題点は、コミュニケーションを促進する関係や風土を創っていないことです。これはすべての事例に共通しています。

 【事例1】は報告をしない部下、【事例2】はアドバイスを聞こうとしない部下、【事例3】は相談しない後輩に、一見、問題があるように見えますが、その背景には、報告や相談をしたくない、アドバイスを聞きたくないと思わせる何かが、上司・先輩自身、もしくは、組織全体の空気にあるのかもしれません。

 また【事例4】は、自分の領域・専門分野には一生懸命になるけれどそれ以外には関心がない、いわゆる「三遊間やレフトセンター間を自分の責任範囲だととらえられない」「自分の成績だけが気になりチームとしての勝利に意識が向かない」というような組織に根づいている考え方、ものの見方が元となっているように思います。

 さらに【事例5】の場合、統合前の2社の組織風土・文化が交わらない状態を「あえて放置している」ように見受けられます。それぞれの得意分野で顧客からの支持を得ていた会社ですから、そのままでもこれまでと同様のサービス提供はできるのでしょう。しかしそれでは、統合の効果は、せいぜい管理部門の一体化による効率化やコストダウン程度にしかなりません。両社の強みや組織能力のシナジーを創出したいのであれば、意図的に、努力して、人と組織の融合を図ることが必要です。

 このように、コミュニケーションの問題は、おおむねこの3点に集約できるように思います。

3.コミュニケーションにおける管理者の役割

 さて、このような問題を解消していくには、職場において、誰が、何をしていけばよいのでしょうか。

 菅野氏は、「コミュニケーションは、仕事を円滑に進めるための『潤滑油』であり、良いチームワークを形成するための『接着剤』である」と言っています。そして、その役割の主たる担い手は、「組織の中で『コミュニケーションセンターの位置にいる』管理者だ」と言っています。

 コミュニケーションそのものは仕事の対象や目的ではありませんが、仕事をうまく進め、組織が成果を上げるために欠かせない大切な機能です。組織運営の最も重要な道具だと言っても過言ではないでしょう。ならば、その一番の担い手が管理者だというのは納得のいくところです。

 ただその管理者が、「何をすればよいのか」となると、一言では言い尽くせません。なぜなら、コミュニケーションは、組織運営のあらゆる局面で発生するわけで、時々に応じた最善のやりとりが期待されるからです。この場合はこうといった画一的なノウハウがあるわけではないので、都度、その場に応じて対応しなければならないのです。相手と向き合い、声を聴き、状況や情報を統合した上で、頭と心を場に集中して、言葉を選び、即時的に繰り出していく・・・。

 私には、そのシーンがスポーツの試合本番のように思えます。管理者は、一投、一打、一蹴、一走、一技に集中するスポーツ選手のように、コミュニケーションを行う必要があるように思うのです。

 だからこそ管理者は、何のためにコミュニケーションを行うのか、コミュニケーションの目的を深く考え、自身が組織における主たる担い手であることを常に意識して、局面に応じた適切な判断が、都度、とっさにできるように、日ごろから鍛錬していなければならないのです。

 では、何をどのように鍛錬し、何を習得・習熟していけばよいのでしょうか? 次回は、その辺りを掘り下げて考えていきたいと思います。

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