第120回 オール歩合制は違法かー1ー

中川恒彦の人事労務相談コーナー
労働基準法は賃金について一定の規制をしていますが、それ以外に賃金制度、賃金の決め方についての規制はなく、労使の自主的な決定に委ねられています。ただし、労働時間に応じた一定額の賃金保障は必要です。
今回は、運送業界などで導入されているオール歩合制について解説しています。(ホームページ編集部)
Q
当社は運送業を経営していますが、ときどきオール歩合制は違法であるということを聞きます。現在オール歩合制を採用してはいませんが、違法であるとすればなぜ違法なのかを説明していただけないでしょうか?
A1
月給、日給といった固定的賃金制度を設けず、売上げ、輸送量等に応じて賃金を支給する歩合給制度のみであっても、必ずしも労働基準法に違反するものではありません。
ただし、労働時間に応じた一定額の賃金保障は必要です。
A2
本体賃金が歩合給だけの場合であっても、労働者が1日8時間、1週40時間等の法定労働時間を超えて労働した場合には、歩合給を基礎賃金として割増賃金を支払わなければなりません。