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大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくりー8ー

大切な昇給を売り上げアップにつなぐ仕組みづくり(8)

 皆さんこんにちは。コンサルタント・社会保険労務士の津留慶幸です。
 前回は、日本企業の人事制度が、能力主義人事制度、成果主義人事制度の時代を経てきたことを紹介し、今後は「役割貢献人事制度」が求められると述べました。

 役割貢献人事制度は、「さまざまな個性を持つ人たちが仕事を通してお互いに影響を与え、支え合い、ともに学ぶことで組織の内部から成長を促し、組織全体として成果を上げていこう」という考え方です。

 今回は、役割貢献人事制度がなぜこれからの時代に適しているかについて、組織の目的、責任や評価尺度に立ち返って考えてみたいと思います。

10.組織の目的、責任

 組織の目的は何でしょうか? 身近な言い方をすると、わが社の目的は何でしょうか? 
 賃金や評価の具体的な仕組みを考える前に、この点をしっかりと確認しておく必要があります。

 一口に組織といってもいろいろな形態があります。まずは、営利組織である民間企業と非営利組織である病院や学校の3種類の組織について整理してみましょう。

・民間企業(営利組織)・・・顧客に価値をもたらす商品・サービスを提供し、社会の利便性と富の増大に貢献することで収益を実現する
・病院(非営利組織)・・・傷病の早期治療・治癒、QOL・社会復帰を願う患者や健康の増進を求める地域社会のために、先進的な医療・介護サービスを提供する
・学校(非営利組織)・・・すぐれた教育・研究を求める生徒・学生・家庭・企業・社会のために、効果的な教育サービスと研究機能を提供する

 具体的な内容は組織によってさまざまですが、どの組織も、社会に価値のある何か、すなわち成果を提供しようとしている点では一致しています。
 したがって、組織の目的は「社会に成果を提供すること」だと言えるでしょう。

 「社会に成果を提供すること」は、「社会の期待に応えること」と言い替えることができますし、組織には、成果を提供し続ける社会的な機能としての「責任」があります。
 また、組織は社会を構成する人の集まりですから、人の活躍を成果に結びつける「責任」もあます。

 つまり、組織の最大の責任は-
「そこに所属する人が活躍し、『社会に成果を提供する』という社会的機能を持続すること」
と言えるのではないでしょうか。

 このように考えると、多くの組織経営者が目指している、成果の向上や組織の存続は、社会の期待に応え続ける責任と表裏一体であることがわかります。

11.組織経営の評価尺度

 次に、組織経営の評価尺度について考えてみます。
 組織の経営がうまくいっているかどうかは、何によって判断しますか?
 さまざまな観点があると思いますが、絶対に見過ごせないのは、「利益の源泉である成果を増やし続けているかどうか」、平たく言うと、「十分な利益を上げ続けているかどうか」です。

 粗利益によって現在の経費を賄うことができますし、最終利益は将来にわたって社会の期待に応えるための投資の元手となります。もし利益が先細りだと組織の存続、別の見方をすると大事な社会的機能の維持が危ぶまれます。
 これは、民間企業だけでなく非営利組織においても同じです。

 利益があることは組織の目的を実現し、組織の責任も果たし続けることの前提条件なのです。
 したがって、利益の源泉である「成果を増やし続けているかどうか」は、経営に対する最も重要な評価指標なのです。

12.新時代に組織が成果を上げ続けるために

 組織にとって「成果を上げ続けること」が最重要課題であることがわかりました。
 では、新しい時代において持続的に成果を上げるために、経営は何に最も意識を集中していけばよいのでしょうか。
 私たちは、「組織力の向上」だと考えます。

 前回も触れましたが、単に個人の能力を開発するだけでは成果につながるとは限りません。
 また、個々人に自分の成果を上げさせて、その足し算によって組織の成果を高めようとしても限界があります。
 そればかりか、個人成果の追及はさまざまな弊害も引き起こします。

 環境変化が激しさを増し、社会のニーズも多様化した時代には、個人の能力や成果だけに頼っていてはたちうちできません。
 私たちは、能力主義、成果主義の経験を踏まえ、「成果は組織で上げるもの」という原点に立ち返る必要があります。
 組織として成果を上げることに真剣に向き合うと、自ずから、組織力の向上が最も大切だということがわかります。

 次に問題になるのは、組織の力はどのようにして育まれるかということです。
 言うまでもなく、組織力は一人ひとりの影響を受けます。また、組織力を外部の力によって高めることが難しいことも事実です。

 組織の力を育むには、所属している人が自分の持ち味を惜しみなく発揮し、お互いに相乗的に影響し合って、共に成果を創る姿勢が重要です。

 言い換えると、一人ひとりが組織のビジョンを共有し、組織における自分の役割を認識し、お互いに学習・連携して組織に貢献しようという「役割貢献」の姿勢が欠かせません。こういった姿勢が組織の「内部成長」の原動力になり、組織の成果を上げ続けることにつながるのです。

 したがって、これからの人事制度には、役割貢献を承認し、促進することが求められます。
 役割貢献を支える人事制度のポイントの一つは人的投資の最適化です。組織の機能の維持・拡大するには、担い手である人材の成長を支える投資が必要です。

 資金が潤沢にあれば、高い賃金によって外部から優秀人材を採用することも考えられますが、人件費に限りがある場合は(多くの会社が該当しますが)、内部人材への成長投資が現実的な選択肢です。
 このような投資の成功は、組織の内部成長につながりますので、外部人材の招へい以上の意義があります。

 ここで考えねばならないのは、貴重な人件費をどのように配分するかです。
 当然、役割貢献に応じてということになりますので、役割貢献をどのように把握するかという評価基準が重要になってきます。

 もう一つ見過ごせないことは、金銭投資には限界があるという事実です。
 それは資金の限界ではありません。
 「お金だけでは解決できない問題がある」と言われるように、金銭報酬の効力そのものにも限界があるのです。

 例えば、仲間との協働・共創から生まれる喜びや仕事そのものの満足などは、賃金によって与えられるものではありませんが、人が組織に貢献し活躍するためにとても重要な要因です。
 これらは、お互いに学習・連携するチームプレーや、前向きな気づきを生む肯定的なかかわり方など、組織としての支援によって実現されるものです。

 役割貢献人事制度は、人件費の適切な管理・配分と組織的なサポートの両面から役割貢献を促進するものですから、新時代に適うものだと考えています。

※本シリーズは、2015年5月19日に開催した当社主催のセミナー内容をもとに執筆しています。

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