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パートタイマーの就業規則ー2ー

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パートタイマーの就業規則ー2ー

著者・米田徹氏のプロフィールはこちら

賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(41)

Q

さて、正社員用の就業規則と比べパートタイマー用の就業規則の規定では、具体的にはどんな点が異なるのでしょうか?

A

パートタイマーや非正規社員と呼ばれる社員の場合、正社員とは人材活用の仕組みが違うと言えるでしょう。

 つまり、正社員の場合、職種変更や転勤等の配転や出向、また昇進や昇格の規定が設けられているはずです。
 正社員には労働契約期間に定めがなく雇用保障がされていることとの見返りで、使用者側に「職種変更や転勤、出向等」の労働条件の変更権限が許容されているといえます。

 もちろん、パートタイマーであっても具体的な担当職務については変更が必要な 場合もありますので、限定的な担当職務変更があること等については定めておいてかまいません。

Q

たしかにパートタイマーは地域限定採用が普通ですから遠地への転勤命令等はほとんどありえないですね。 それでは、残業などの労働時間についてはいかがでしょうか?

A

パートタイマーは、通常は短時間勤務が労働契約の内容になっていると考えられますから、決められた所定労働時間を順守すべき勤務形態といえると考えます。

 したがって、パートタイマーに対しては正社員のような時間外労働や休日労働について使用者の強い命令権は存在せず、労働者の同意を得て行うのを基本に運用するのが適当でしょう。そのような場合、就業規則では以下のように規定することになります。

(時間外労働)
第○条 会社は、業務の都合上やむを得ない場合は、所定労働時間外に勤務をさせることがある。この場合には、原則として本人の同意を得るものとする。

Q

当社の場合、パートタイマーの採用でも、ある程度、長期間の雇用を予定する場合が多いので、現場から「試用期間」を設けたいという希望がでたことがありますが、その点はいかがでしょうか?

A

有期雇用を前提にしたパートタイマーの就業規則に正社員と同じように「試用期間」を設けている就業規則が散見されます。

 しかし、試用期間というのは長期の雇用契約を前提とし、その最初の数ヶ月の期間に関し「試用期間」を設定し、その間は使用者側に解約権を留保するという意味です。
 長期にわたる雇用保障のない有期雇用者に試用期間を設けるのは適当とはいえません。

 むしろ、初回の契約期間は3ヶ月とか半年にし、その契約期間満了時にそのパートタイマーの適性を判断して更新の有無を決めるといった代替方法をとるのが良いのではないでしょうか。

Q

わかりました。ところでパートタイマー契約をする際の労働条件の明示については以前(第六回「労働条件の明示」)にも説明がありましたね。正社員以上に明示項目が多いというお話でした。

A

はい。短時間勤務のパートタイム労働者等に対しては、通常の明示事項である、「雇用期間、就業場所や従事する職務内容、始業・終業時間、休日・休暇、賃金の決定・計算の方法、退職に関する事項、等々」といった事項に加えて、以下の3つの事項について明示することがパートタイム労働法で義務付けられています。

1)昇給の有無
2)退職手当の有無
3)賞与の有無

 それから、労働基準法施行規則が改正され、平成25年4月1日以降は、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項を明示しなければなりません。

 具体的には、「更新の有無、更新がある場合の更新の判断基準」です。
 就業規則の中では、以上のような項目について契約締結の際、労働条件通知書等を公布して明示する旨を規定しておきましょう。

Q

年次有給休暇については以前にも説明がありましたが、パートタイマーといえども6ヶ月以上勤務し出勤率が8割を超えれば所定の年休を付与しなければならないわけですね。

A

もちろん、そうなります。一週間の勤務日数が4日以下のパートタイマーについては比例付与の方法によって、年休付与日数を計算するということも第二十二回(年次有給休暇ー3ー)でお話ししました。

 そのような労働条件で働くパートタイマーがいる場合には、その点についてもきちんと規定しておきましょう。

Q

定期健康診断の規定はどうすべきでしょうか?パートタイマーに対しても必ず実施する必要があるのでしょうか?

A

パートタイマーに定期健康診断を行う義務があるかについてですが、契約の更新等により1年以上雇用される労働者であって、週の所定労働時間が同一の事業場の通常の労働者の4分の3以上である者に対しては会社は定期健康診断を実施する義務があります。

 もちろん、それより週の労働時間数が短いパートタイマーに対して定期健康診断を行っても構いません。

 パートタイマー就業規則では、様々な勤務形態のパートタイマーがいることを想定して、「会社の行う健康診断を命じられた者は、これを受診しなければならない。」といった規定にしたらいかがでしょうか。

Q

次に懲戒規定ですが、正社員の規定と同じでよいでしょうか?

A

正社員については基本的に長期雇用保障や重い責任を前提に会社は懲戒権を保有していると考えられます。

 一方、パートタイマーや契約社員は長期雇用が前提になっていませんし責任の度合いも正社員とは異なると思います。
 したがって、パートタイマー就業規則の懲戒規定について正社員の規定を同様に適用するのは少し違和感が生じるかもしれません。

 しかし企業の社会的責任を考えれば、たとえパートタイマーであっても企業秩序に違反するような行為を許すことはできないともいえますので、正社員の懲戒規定内容をベースに必要と判断される懲戒規定はパートタイマー就業規則にも明記して良いと考えます。

 以上、パートタイマー就業規則についてはこれまで述べたようなポイントに留意しつつ正社員との労働条件の違いを中心に見直しして規定化するようにしてください。

 なお、パートタイマー就業規則の制定や改定にあたっては、正社員の就業規則と同様に過半数労働者を代表する者の意見聴取が必要ですが、パートタイム労働法では、あわせてパートタイマーの過半数を代表する者の意見聴取が努力義務規定として課されているのでその点にも留意してください。

 さて、一昨年の8月から連載させていただきました、本シリーズも今回をもって終了とさせていただくことになりました。
 就業規則は問題社員から会社を守るというリスク回避の側面と、社員に納得と安心感を与え、モチベーションアップにつなげるといった両側面があると考えます。

 市販のひな形就業規則をそのまま使用するというようなことは愚の骨頂といえます。
 企業理念に基づいた皆様の職場ならではの「賢い会社の就業規則」をぜひ作ってみてください。
 そのことが会社の永続的な発展と社員の幸せにつながるものと確信しています。

 今回のシリーズでは、普段法律知識にあまりなじみのない中小企業・中堅企業の社長さんや総務部門の方々を主たる対象読者に想定し、細かい法律論はさておき「読みやすさ・分かりやすさ・考え方」を優先して執筆いたしました。

 実際の就業規則の作成・改定にあたってはより詳しい法律論や例外事項の知識が必要になる場合も多く、最新の法律に基づく専門書を熟読したり我々社会保険労務士など専門家に相談されることをお勧めいたします。

 これまで、お読みいただきました皆様に感謝しつつ筆をおきたいと存じます。ありがとうございました。(米田 徹)

今回のポイント

  • パートタイマーは正社員とは人材活用の仕組みが異なるため、職種変更や転勤、また時間外労働の命令権は制限される。
  • パートタイマーに試用期間を設けるのは適切でない。
  • 有期契約のパートタイマーの労働契約に際しては、通常の文書明示事項に加えて追加して明示しなければならない事項があるので留意する(賞与や退職金の有無、更新の有無、等々)。
  • 一年以上雇用されるパートタイマーで勤務時間が通常の労働者の4分の3以上の場合、定期健康診断の実施が必要である。
  • 懲戒規定等は長期雇用前提の正社員とまったく同一とするのは違和感が生じる。パートタイマー就業規則では正社員との労働条件の違いを中心に見直しして規定化する。
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