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社会保険料の基本事項について

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社会保険料の基本事項について

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第2回 ホワイト企業の人事労務ワンポイント解説

Q

私は最近、総務部に配属されましたが、社員の方から給与明細にある社会保険料の控除額について質問を受け、戸惑うことが時々あります。社会保険料の基本事項について整理して教えてください。

A

会社員の給与から天引きされる社会保険料(雇用保険、健康保険、介護保険、厚生年金保険)は改定時期が異なり、また保険料率や計算方法が異なるので、社員の方が疑問を抱くことも多いと思います。社員にとって大切な給与からの天引きですから計算は正確に、また質問を受けた際には正しく応対する必要があります。今年(平成29年度)は平成16年の年金法改正で導入された、「保険料水準固定方式(後述)」の上限に到達する年度でもあるので、その点も含め、社会保険料の基本事項について以下、再確認してみましょう。

社会保険の種類と事業主の納付義務

 会社員が加入する社会保険は狭義には下表のように労働保険と社会保険に分けられます。 

 上記のうち労災保険については全額会社負担ですから、社員の給与からの天引きはありません。
 それ以外は原則として労使折半(ただし雇用保険の雇用保険二事業に係る部分は全額会社負担)となり、社員負担分の保険料の給与天引きを行ったうえで最終的には会社(事業主)が責任をもって保険料を納めることになります。

(1)労働保険料の申告と納付
 労災保険と雇用保険に係る労働保険料については、労働保険徴収法の定めに従い、事業主は「年度更新」という手続きを通じて毎年6月1日から40日以内に申告・納付します。
 労働保険料は、「その年度に対象労働者に支払った賃金総額」に「(労災及び雇用)保険料率」を乗じて計算されます。

 

(2)社会保険料の計算と納付
 健康保険(及び介護保険)と厚生年金保険に係る社会保険料については、労働保険とは異なり、各社員(被保険者)の標準報酬月額(定時には4月、5月、6月に支払われた報酬額に基づき毎年9月に改定)、標準賞与額に保険料率(健康保険、介護保険、厚生年金保険)を乗じて計算されます。
 事業主は全被保険者分の毎月の保険料(労使合計)を翌月末日までに納付します。

社員給与からの天引きについて

(1)雇用保険料
 社員が負担するのは失業等給付にかかる保険料で、料率は、一般の事業の場合は0.3%です(平成29年度)。
 毎月の給与支給額(及び賞与支給額)に保険料率を乗じて算出し給与から控除するので、残業手当などで変動がある場合には保険料もその都度増減します。

 保険料率の改定時期は毎年4月です。なお、4月1日時点で満64歳以上の雇用保険被保険者は保険料が免除されています(平成31年度末まで)。

(2)健康保険料
 中小企業の多くが利用する協会けんぽ(正式名称は「全国健康保険協会管掌健康保険」)の保険料は労使折半で、料率は都道府県で異なります(平成29年度の全国平均は10.0%。被保険者はその半分を負担)。一方、健康保険組合の保険料率はそれぞれの健保組合毎に異なります。

 保険料は標準報酬月額(&標準賞与額)に保険料率を乗じて計算されるので、毎月の給与の増減では変動しません(前月分の保険料を当月給与から天引きします)。
 保険料率の改定は3月(保険料徴収は4月~)となります。健康保険料は75歳まで負担。

(3)介護保険料
 40歳以上65歳未満(介護保険第2号被保険者)の健康保険の被保険者が負担します。保険料(健康保険料と併せて計算)は労使折半で標準報酬月額(&標準賞与額)に保険料率を乗じて計算されます(注:65歳以上の介護保険第1号被保険者の保険料は市町村が原則として年金から天引きして徴収)。
 協会けんぽの介護保険料率は全国一律(平成29年度1.65%)、健康保険組合の場合はそれぞれ異なります。

(4)厚生年金保険料
 保険料は労使折半で、標準報酬月額(&標準賞与額)に保険料率を乗じて計算され、平成29年9月からの保険料率は18.3%で以後固定されます。厚生年金保険は70歳まで加入となります。

(補足)保険料水準固定方式とは?
 平成16年の年金法改正で導入。厚生年金保険料を毎年0.354%ずつ引き上げ平成29年9月に18.3%にアップして固定するもので、今年が最終年度となります。この方式により際限のない保険料上昇は無くなりますが、保険料収入の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(「マクロ経済スライド」)となるので高齢者が増えて若い人が少なくなれば、年金給付額は目減りすることが避けられません。

計算事例 40歳の東京在勤会社員(協会けんぽ加入)

標準報酬月額36万円  当月の給与総額359,300円
(1)雇用保険料......359,300円×0.3%=1,078円
(2)健康保険料(介護保険料含む)......360,000円×11.56%÷2=20,808円
(3)厚生年金保険料......360,000円×18.3%÷2=32,940円
上記合計((1)+(2)+(3)):54,826円
注:被保険者負担分の保険料に端数がでる場合、50銭以下切捨て50銭超は切り上げ

 以上の計算結果から分かるように、通常の会社員は総報酬額の約15%程度の社会保険料を負担する(給与や賞与から天引きされる)と覚えておくとよいでしょう。

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