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選択定年制を採る場合の賃金の決め方ー2ー

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選択定年制を採る場合の賃金の決め方ー2ー

賃金制度Q&A-ケース別処遇のポイント(7)

Q

改正高齢法に対応するため、従来どおりの賃金のまま60歳で定年退職するか、処遇条件は下がっても65歳までの就業を希望するかを本人に選択させる方法を検討しています。60歳定年退職者の従来の賃金に対して、65歳までの就業を希望する社員の賃金をどのように決めればよいでしょうか?

A

選択時の年齢に応じて賃金を調整し、60歳以降さらに61%に切り下げる

ポイント⇒65歳までの就業を選択した年齢によって、いったん96~93%程度に賃金を調整し、60歳定年後はその61%の割合で賃金を決めるとよい。ただし55歳以降に選択した場合は、就業できる年限を65歳よりも段階的に短縮する。

 前回は、60歳以降の継続雇用を希望した場合は定年前から賃金を減額し、継続雇用期間までの賃金を平準化する方法を解説しました。賃金の減額率は、60歳で定年退職する従業員と総収入が変わらないように設定しました。
 ただしこの方法では、定年後の継続雇用期間は実質的に「ただ働き」になり、賃金の減額率もかなり大きくなってしまいます。

 今回は、60歳以降は50歳賃金の50%の賃金年額を支給したうえで、前回のように選択時から継続雇用期間終了までの賃金を平準化する方法を考えてみます。

 50歳~65歳までの総賃金は正社員期間が100×10年=1000、継続雇用期間が50×5年=250で、合計1250になります。

 表1のように65歳までの就業を「50歳」時点で選択した場合は 83.3に調整し、同様に「51歳」では82.1、「52歳」80.8、「53歳」79.2、「54歳」77.3、「55歳」75.0にB賃金を調整すれば、15年間の総賃金は1250となります。
「56歳」以降は75.0のまま、選択年齢が遅くなるに伴い1年ずつ継続雇用期間を短縮します。

 賃金の支給率は、前回の方法に比べ16%~25%程度改善されます。
 60歳以降の勤務に対し、ある程度の労働の対価を配慮すべきことが分かります。

 最後に、高年齢雇用継続給付金や在職老齢年金などの公的給付を折り込む方法を考えましょう。
 ご存知の方も多いと思いますが、60歳到達時賃金の61%に設定すると給付金が最大になり、年金の減額調整も最小になることが分かっています。

 表2は、表1の総賃金(1000~1250)を変えずに、「60歳直前のB賃金」に対して「60歳以降の賃金(C)」が61%になるように賃金の割合を加工したものです。

 65歳までの就業を「50歳」時点で選択した場合は95.8、「51歳」95.4、「52歳」95.0・・・というように、定年前の支給率はさらに改善します。「定年後の賃金C」は大きく下がりますが、雇用継続給付金や老齢年金を受給すれば本人の手取り額はかなりカバーされます。

 前回と今回の試算は、分かりやすくするために50歳以降の昇給を無視しましたが、50歳以降昇給が続く場合も考え方は同じです。

 選択制は、転換が早ければ早いほど賃金の減額率は小さくなりますが、子供の学校卒業年齢などを考えると、なるべく選択を遅くしたいという人も多いはずです。生活プランに応じ柔軟な選択ができるような制度設計が望ましいと思います。

 また継続雇用を早くから選択して低い賃金で勤務していた従業員が、健康や家庭の都合などで途中退職せざるを得ない場合などは、不利にならないような配慮も必要でしょう。

※ワンポイント解説
 高年齢雇用継続給付金・・・60歳到達時賃金(60歳直前の半年間の平均賃金で賞与は無関係)に比べて各月の賃金が61%以下に低下した場合はその15%相当額、61%超75%未満に低下した場合は賃金の低下率に応じた15%未満の額が本人に支給されます。(平成24年8月以降、各月の賃金が343,396円を超える場合は支給されない。なお、この金額は毎年見直しされる。)

 併給調整・・・在職老齢年金と高年齢雇用継続給付金を併用する場合は、年金の減額(併給調整)が行われますが、60歳到達時賃金の61%の賃金のときに年金の減額が最小(標準報酬月額の6%)になります。

【表1 50歳~59歳の総賃金プラス継続雇用期間50%の総賃金をフラットに支給する選択定年制モデル】

【表2 50歳~59歳の総賃金プラス継続雇用期間50%の総賃金をもとに、60歳以降61%に賃金を切り下げる選択定年制モデル】

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