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選択定年制を採る場合の賃金の決め方ー1ー

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選択定年制を採る場合の賃金の決め方ー1ー

賃金制度Q&A-ケース別処遇のポイント(6)

Q

改正高齢法に対応するため、従来どおりの賃金のまま60歳で定年退職するか、処遇条件は下がっても65歳までの就業を希望するかを本人に選択させる方法を検討しています。60歳定年退職者の従来の賃金に対して、65歳までの就業を希望する社員の賃金をどのように決めればよいでしょうか?

A

選択時の年齢に応じて賃金を調整し、60歳で定年退職する従業員とバランスをとる

ポイント⇒65歳までの就業を選択した年齢によって賃金を調整し、60歳定年で退職する社員と総賃金のバランスをとる。ただし55歳以降に選択した場合は、就業できる年限を65歳よりも段階的に短縮する。

 60歳定年後、希望者には65歳まで再雇用または勤務延長を行ういわゆる継続雇用制度が多くの会社に普及しています。ただ、これまでの継続雇用制度はあくまでも定年後の追加措置と位置づけられ、継続雇用制度の適用を条件に定年前の処遇条件が変更されることはほとんどありませんでした。

 これに対して お尋ねの「選択定年制」は、定年前(例えば50歳~55歳など)のある段階で、60歳定年で退職するか、処遇条件は低下しても65歳までの継続雇用を希望するかを本人に選択させる方法です。

 このような選択制が改正法の趣旨に適うかどうかですが、厚生労働省ホームページの「高年齢者雇用安定法Q&A」では、「高年齢者が希望すれば、65歳まで安定した雇用が確保される仕組みであれば、継続雇用制度を導入していると解釈されるので差し支えありません。」(Q1-5)と説明しています。

 同様に、原則として契約が更新されるのであれば、「65歳を上限とする1年更新の有期労働契約」(Q1-6)でもよいと説明しています。

 継続雇用の選択制を導入する場合の賃金の決め方については、次の3点に留意する必要があります。
(1)60歳以降の継続雇用を希望した場合は定年前から賃金を減額し、60歳で定年退職する従業員とバランスをとる。
(2)60歳以降の勤務に対する労働の対価を配慮する。
(3)高年齢雇用継続給付金を折り込んだ設計を行うかどうかを検討する。

 今回は(1)の方法について考えてみましょう。
 ここでは、議論を単純化するために50歳時点での賃金年額(A)を指数100とし、以降の昇給はないものとします。試算のように50歳以降60歳定年退職までの総賃金は100×10年=1000となります。

 今仮に、表の一番下の「定年選択」のように定年までの10年で1000の総賃金を支給する代わりに、65歳までの15年で1000の総賃金を支給することを考えます。

 表の1行目のように「50歳」時点で選択した場合、65歳までの雇用期間は15年ですから、50歳以降の賃金年額(B)を1000÷15年=66.7にすれば15年間の総賃金は1000となります。

 同様に表の2行目のように「51歳」で選択した場合は100×1年+64.3×14年に調整すれば、15年間の総賃金は1000となります。
 以下同じように「52歳」で選択した場合は100×2年+61.5×13年、・・・「55歳」で選択したときは100×5年+50.0×10年というようにB賃金を調整すれば、15年間の総賃金は1000で統一されます。

 なお、選択が「56歳」以降になったときは、B賃金を50.0のまま雇用年限を1歳ずつ減らします。

 これは「56歳」、「57歳」、「58歳」・・・と遅い選択を認めていくと、60歳定年退職者に5年間の継続雇用を認めるのとあまり変わらなくなることと、B賃金が極端に低くなってしまうからです。
(注)このような短縮措置に抵抗がある場合は、55歳までに申し出た者だけに65歳までの継続雇用を認めるといった制限が必要です。

 ところで今回解説した方法では、定年後の継続雇用期間は実質的に「ただ働き」になってしまいます。公的給付のことも度外視しました。

 次回は、(2)60歳以降の勤務に対する労働の対価を配慮するとき、さらに(3)高年齢雇用継続給付金を活用するときのやり方を解説します。

【表 50歳~59歳の総賃金をフラットに支給する選択定年制モデル】

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