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Unit 29: 雇用契約書の締結-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)

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Unit 29: 雇用契約書の締結-駆け出しコンサルタントの学習成長ブログ(労働法編)
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みなさんこんにちは。人事コンサルタント(社会保険労務士・中小企業診断士)の古川賢治です。

今回は、先日私がクライアント企業から実際に受けた、有期契約社員の雇用契約書に関する相談を事例として取り上げながら、雇用契約書に関する大切なポイントについてお伝えしたいと思います。

雇用契約書の締結

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昨年12月、あるクライアント企業から以下のような相談がありました。

Q

契約社員の雇用期間が今月いっぱいで満了するのですが、今頃になって雇用契約書を交わしていなかったことに気づきました。どうすればよいでしょうか?

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私は内心驚きながら、まずは、事実と経緯を把握するために、クライアント企業(以下X社)から当該社員(以下Aさん)との雇用関係に関する情報を聞き出し、整理することにしました。その結果、X社とAさんが次のような状況にあることがわかりました。

  • Aさんは、有期契約社員としてX社に直接雇用された(2019年4月1日付)。その際、賃金等の労働条件は口頭で伝えられていたが雇用契約書は交わされていなかった
  • AさんとX社の間の有期労働契約の契約期間は、8ヶ月間だった(11月末まで)
  • 10月下旬、X社はAさんとの個人面談において、有期労働契約を更新しない旨を伝え、Aさんもこれを受け入れた
  • 同時に、Aさんの転職準備や後任者への引き継ぎ等を考慮し、当初の契約期間を変更し9ヶ月間(12月末まで)とすることに双方が合意した。そのときも、互いに口頭で確認し合っただけで、労働条件の変更を示す書面でのやり取りはなかった
  • 両者の関係は良好であり、事実関係をめぐる意見の相違もなく、現在は退職に向けて着々と準備が進んでいる。ただAさんは、雇用契約書が交わされていないことによって、社会保険の退職手続き等が適切に行われないのではないかと不安を感じているようだ…
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以上が、X社の人事担当者から聞いた情報です。教授のご意見をお伺いしたいのですが、どう思いますか?

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①雇用契約書を交わしていない点、②契約期間の変更があった点に注目すべきでしょうね。

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はい。私もそう考え、X社の人事担当者に次の2つを伝えました。①いますぐに雇用契約書を交わすこと(署名入り)、②契約期間の変更について記載した書面を作成すること(署名入り)。その後X社はこれらの書面を作成し、改めてAさんとの間で事実関係を確認したうえで、二つの書類に署名してもらいました。Aさんは、はじめは少し戸惑っていたそうですが、人事担当者の説明を聞いて頭の中で整理されると、すぐに署名に応じてくれたそうです。それからほどなくして最終勤務日を迎え、最後は、同僚にあたたかく見送られながらAさんは円満退職したそうです。

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X社は無事にAさんの退職手続きを終えることができてよかったですね。

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はい。一時はどうなることかと思いましたが、ほっとしました。ところで、この件に関してX社の問題点などをご指摘いたただけないでしょうか?

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まず、労働条件を書面で明示していなかったこと。これは法令違反であるとともに、労働条件を巡るトラブルの種になります。また、書面で明示する場合は、労働者に署名してもらうことも大切です。

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本来、X社は最初にどのような行動を取るべきだったのでしょうか?

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雇い入れの際、「労働条件通知書・雇用契約書」と題した書面を2部作成し、署名捺印のうえ双方で1部ずつ保持するようにしておくべきでした。労働条件をめぐる言い争いのトラブルを避けるためにも、署名入りで互いに合意したという事実を残すことがポイントです。

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早速、この内容をX社の担当者に助言したいと思います。他にも何か問題点はあったのでしょうか?

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契約期間の変更に関して書面を作成していなかったこと。これも問題点として指摘したいところです。

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そのとき、X社は具体的にどのような行動をとるべきだったのでしょうか?

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「労働条件変更通知書」と題した書面を作成し、Aさん署名捺印のうえ会社で保存しておくべきでした。作成義務はないですが、契約社員を雇用するうえで最も重要な契約期間に関する条件変更ですので、書面で互いに確認し合うべきでしょう。

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なるほど。ビジネスにおける契約書と同じように、事実をしっかりと証明できる書面を残しておくべきなのですね。

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そうです。言うまでもないことですが、労働契約はまぎれもない「契約」なのですよ。はじめて取引する顧客と契約書を交わさずに口頭だけでいきなり大口契約を結ぶ、そんな会社がどこにあるのでしょうか。日本では元来、就職するというより「就社」するという意識が強いせいで、労働契約の締結という大切なプロセスがないがしろにされてきました。

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おっしゃる通りです。その点で、労働契約に関する認識が浅い企業がまだまだ多いのが現状だと感じます。実際、時間外労働や賃金等の法令に関して脇が甘い企業の大半が、入口となる労働契約締結の時点で何らかの問題を抱えているケースが多いように思います。こうした姿勢を見直さないかぎり、売り手優勢のいまの労働市場で人材を確保していくのは難しいのではないでしょうか。

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働き方改革関連法への対応として多くの企業が残業削減等の方法論を熱心に検討していますが、本当の意味で働き方改革を実現するためには、何よりもまず「雇用の入口」から労働のプロセスを見直すことが先決なのかもしれませんね。

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今回は、私のリアルな体験のポイントを中心にお伝えしましたが、実務上、有期契約社員の雇用契約書の記載事項には留意すべき点が多々あります。例えば雇用保険の離職証明書の提出にあたっては、雇用契約書に記載すべき「契約更新の有無」等の情報が大きく関わってきます。雇用の入口から出口までのプロセスを見通しながら適切に人事施策を実践する、それが働き方改革を成功させるカギになるのかもしれません。教授、本日はありがとうございました。

働き方改革に伴う労働契約締結や雇い入れプロセスの見直しは、賃金・人事コンサルティングの専門家集団 プライムコンサルタントにご相談ください!

今回の連載内容は、自身の体験をもとに執筆しましたが、話をわかりやすくするため、一部事実とは異なる描写があります。
 

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