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中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー16ー

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中堅・中小企業におけるこれからの管理職のあり方ー16ー

第16回 『マネジャーに必要な素養とは?』(7)

 こんにちは。人事コンサルタント・CDA・中小企業診断士の渡辺俊です。
 前回は「管理者に必要な5つの技法」の中から、「コミュニケーションの技法」を取り上げ、組織運営上のコミュニケーションにおける管理者の役割についてお話ししました。
 では管理者は、その役割を果たすために、何を習得・習熟していけばよいのでしょうか。今回は、それを考えていきたいと思います。

1.コミュニケーションのスタートは、「認める」こと

 菅野氏は、管理者として身に着けるべきコミュニケーションの技法を、次の3つに区分しています。
(1)部下に対して認めていることを認知させるスキル
(2)話を聴き出すスキル
(3)話を伝えるスキル

 「話を聴き出すスキル」、「話を伝えるスキル」は、コミュニケーションスキルとして、広く知られたおなじみのものです。

 しかし菅野氏は、あえて第一に、「部下に対して認めていることを認知させるスキル」を置いています。「部下として認めているよ」という上司の思いが、しっかり部下に伝わっていないと、上司と部下とのコミュニケーションは始まらないということを、言っているのだと思います。

 お互いが、相手に対して心を開いていなければ、本音のコミュニケーションは成立しません。ところが上司と部下とのコミュニケーションの場合、そもそも組織内での立場に上下の関係があるため、部下が上司に心を開くのは、そう簡単なことではありません。上司の側も、部下の心の内を思うと変に身構えてしまい、あたりさわりのない表面的なコミュニケーションに陥ることにもなりがちです。

 親密な交流によるコミュニケーションが成立するには、部下が、「この上司となら安心してコミュニケーションをとってもいい」という気持ちになることが大前提です。「私はあなたを認めています」というメッセージが、上司から部下に伝わってはじめて、部下はそういう気持ちになれるのではないでしょうか。

 それでは、部下に「認めている」ことを伝えるには、上司は何をすればよいのでしょうか。
 菅野氏は、そのスキルを下表のようにまとめています。

 ①「言葉および言葉以外の行動」に示されているプラス行動は、基本的な信頼関係を結び合うための、極めて基礎的な行動です。マイナス行動は、これをしてしまうと基本的な信頼関係を損ねることになりかねない、好ましくない行動です。

 そして①によって基本的な関係性の基盤が成立した上で、さらに必要になるのが②「日常の業務の中での行動」ということになりましょう。

 どれもシンプルかつ具体的で、誰もが、身近なこと、当たり前のこととして理解できる内容です。「なんだ、そんなことか」と思われた方も多いことでしょう。 些細なことのように思えますが、実はこのような行動の積み重ねが、関係性を決める重要なファクターであり、「コミュニケーションに必要な関係や風土を創る」ことになるのです。

2.次に、「話を聴き出す」こと

 菅野氏は、第二に「話を聴き出すスキル」を挙げています。このスキルのベースは、カウンセリングの権威、「クライアント中心療法」で知られるカール・ロジャースが提唱する「積極的傾聴法だ」と言っています。

 積極的傾聴法は、相手をあるがままに受け留め(受容)、心からの理解を示し(共感)、深く聴いていく(傾聴)ことにより、相手の本当の考え、思いを引き出していくという手法です。単なる方法論ではなく、聴き手側の心構えやスタンスといった相手との向き合い方を表していると言えます。これを具体的に行動に置き換えると、下表のようになります。

 さらに、以下のポイントに心を配っていくことで、受容・共感・傾聴というあり方がはっきりと伝わり、相手が心を開き、安心して話せる環境が整うことでしょう。

  • 二人きりで落ち着いて話せる場所や時間帯を選ぶこと
  • からだを相手に向けて座り、アイコンタクトに努めること
  • 相手の話を自分の価値観に照らし合わせて評価し理解するのではなく、相手の立場で考えること
  • 聴きたいことを聴くのではなく、話したいことを話させることに留意すること
  • 自分が理解したことが間違っていないか、あいまいな点は相手に確認すること

 そうは言っても、なかなか簡単にはできそうもないという方は、まずは、下記のような具体的な手順・型を参考にする、または真似してみるのもよいかもしれません。その経験を重ねていけば、徐々に自分なりの積極的傾聴スタイルを創り出していくことができるはずです。

3.最後に、「話を伝える」こと

 コミュニケーションと言えば、伝達の技術だと思われていたのは、今や昔。ここまで見てきたように、まずは、相手を認め、相手のすべてを聴くことこそが先決だということがおわかりいただけたでしょうか。それによってはじめて、こちらの伝えたいことが伝わる土壌ができるのです。

 ではその上で、どうしたら伝えたいことを的確に伝えることができるのか。菅野氏は、4つの原則を示しています。

 そしてこの4つの原則を具体化するために、10の方法を示しています。

 「認める」「聴く」のスキルに比較すると、非常に合理的・客観的なものに思えますね。仕事を進める上での基本原則、基本的な方法としても身につけたい内容です。これだったらできるし得意だという管理職の方も、多いのではないでしょうか。

 であればなおのこと、「認める」「聴く」の大切さが身に沁みます。これがうまくいきさえすれば、仕事はスムーズに進むはずなのですから・・・。

 冒頭で取り上げた「認める」を伝えるための「プラス行動」「マイナス行動」を、今一度思い返してみてください。頭ではわかっているはずなのに、それでもやらない「プラス行動」であり、ついついやってしまう「マイナス行動」ではないでしょうか。積極的傾聴法として例示した、「避けるべき行動」「行うべき行動」も同様です。

 私は、この点に着目したいのです。

 私たちは、このような行動の積み重ねが、信頼関係を決定づける重要なファクターであることを頭ではわかっています。にもかかわらず、日常のさまざまな場面で、これらの行動をほぼ無意識にやったり、やらなかったりしてしまう・・・。信頼関係を創っていくはずの、小さいけれど大切な機会を、おおかたの人は、ついつい、見逃し、おろそかにしてしまうのです。

 普通の人間がとりがちな振る舞いはそういうものであるということを、私たちは、あらためて認識しなければなりません。
 ここに私たちが管理者として鍛錬すべき「何か」がある、と私は思うのです。キーワードは「日常」です。
 次回は、その「何か」に迫っていきたいと思います。

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