第167回 副業・兼業ガイドラインと就業規則改正の必要性 ー2ー
中川恒彦の人事労務相談コーナー
前回は、厚生労働省に設けられた「柔軟な働き方に関する検討会」の報告で表明された、 「副業・兼業を促進することが重要」との見解について検討しました。
今回は、同検討会が示した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」中の企業の対応に 関するコメントについてお伝えしていきます。また、ガイドラインが紹介している副業・ 兼業に関する裁判例についても解説します。解雇が無効または有効とされた裁判例を参考に、 自社の対応について考える機会にしてみてください。(ホームページ編集部)
Q
厚生労働省の委員会が従業員の副業・兼業を推進するという報告書(ガイドライン)を出したようです。
当社就業規則では、社員(パート・アルバイトを除く)の副業・兼業は原則として禁止しており、会社業務と競合しない従業員の個人営業等を除き、他社への二重就職は認めておりませんが、ガイドラインの内容はどのようなものでしょうか?
また、ガイドラインはどの程度の強制力を持つのかについてもご教示ください。
A
厚生労働省に設けられた「柔軟な働き方に関する検討会」が示した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」においては、「裁判例を踏まえれば、企業は原則、労働者の副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。」とし、厚生労働省作成の「モデル就業規則」は、労務提供上の支障がある場合等、就業規則に定めた一定のケースを除き「労働者は、勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる。」という規定例を示していますが、あくまで行政上の方針、規定例を示したものであり、法的な規制ではありません。
理由もなく副業・兼業禁止をするべきではありませんが、事業の存立・維持、正常、正当、円滑な運営上必要であれば、副業・兼業の申し出を拒否することは可能です。