第90回 法定内の所定時間外労働に対してはいくらの賃金を支払うべきかー1ー

中川恒彦の人事労務相談コーナー
Q
当社の所定労働時間は1日7時間30分(週37.5時間)で、所定労働時間を超えた最初の30分については労働基準法の定める8時間を超えませんので、割増賃金率を掛ける前の時間当たり賃金の半額を支払っています。
ところで、このような法定内の所定時間外労働に対して就業規則に定めがある場合には、その就業規則で定められた賃金を支払えばよいという通達があると聞きましたが、どのような内容なのでしょうか?
現在のところ、当社の支払方法を変更するつもりはありませんが、法的な限界点を知っておきたいと思います。
A
「所定労働時間が7時間の場合、所定労働時間外の1時間については別段の定めがない場合には、原則として通常の労働時間の賃金を支払わなければならない。
ただし、労働協約、就業規則等によって別に定められた賃金額がある場合にはその額で差し支えない。」とする行政通達があります。
しかし、裁判例等を考えた場合、少なくとも通常の時間当たり賃金(質問の場合はその半額)を支払うこととするのが妥当と考えられます。