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賃金コンサルタントとしての歩みと私たちの基本スタンスー4ー

賃金コンサルタントとしての歩みと私たちの基本スタンス(4)

 皆さんこんにちは。プライムコンサルタント代表の菊谷寛之です。
 この連載も最終回になりました。今回は、私たちが仕事をさせてもらうときに、どんなことに気をつけてコンサルティングに取り組んでいるのか、私たちの基本的なスタンスをご紹介します。

賃金・評価制度のコンサルティングに臨む私たちの基本姿勢

 ここでは、一般的なコンサル業務の流れに沿って、それぞれのステップで気をつけていることについてまとめてみます。

【コンサル業務の流れ】
1.クライアントの相談を受ける
  ↓
2.クライアントの問題・症状について調べる
  ↓
3.クライアントのジレンマを知る
  ↓
4.クライアントの真のニーズを掴み、提供できる効用・価値を確認する
  ↓
5.良い関係を作る
  ↓
6.クライアントを支援する
  ↓
7.クライアントとともに成長する

1.クライアントの相談を受ける
 そもそも経営者の皆さんがコンサルタントに相談されるのはなぜでしょうか?
 相談の内容や背景は個々に違いますが、「問題を抱えて困っているので手助けしてほしい」ということは多くの相談に共通しているように思います。

 例えばどんな問題を抱えていらっしゃるのか・・・思いつくままに列挙してみましょう。

1) 事業がうまくいっていない※
2) 会社の将来が見通せない
3) 経営の現状と課題が見えなくなっている
4) 経営目標を正しく設定できない
5) 権限移譲や人事評価ができない
6) 人件費に余裕がない
7) 給料やボーナスの基準がない
8) 社員のモチベーションが低下している
9) 自分たちだけでは問題を解決できない
   etc.・・・

(※いまの事業がうまくいっていて、さらなる成功を目指してコンサルを依頼するというケースももちろんありますが、ここでは話を分かりやすくするために、「問題」を抱えたケースに絞りたいと思います。)

 当然ながらコンサルタントにはこれらの問題を解決するための専門能力が備わっていなければなりません。
 相談を受けたときは、まず、クライアントの業態や経営状況、組織の実態、賃金・評価制度の悩みごとについて簡単な問診を行います。

 そして、そもそもクライアントが訴えられている問題や症状について、一緒に考える力が自分たちにあるかどうかを見極めます。

2.クライアントの問題・症状について調べる
 クライアントの相談内容がよく理解でき、具体的な解決策があると思われるときは、一歩踏み込んだ診断を行い、現状の問題・症状について調べていきます。
 具体的には給与規程や組織の実態、各人別の支給実態、評価制度の帳票・マニュアルなどを提供してもらい、詳しくヒアリングしていきます。

3.クライアントのジレンマを知る
 従来は、診断を行ったあと、ほぼストレートに新しい賃金・評価制度の導入を提案したり、仕組みや運用方法の問題を見つけ、改善策を提案したりしていました。

 しかし今では、前にも書きましたが、このような「システム」を作って納品したり、「対症療法」的な問題解決を進めたりする局所的なアプローチでは、うまくいかないケースが多いことが分かっています。

 表面的には賃金・評価制度そのものが機能していなかったり、組織のニーズに合わない制度を使い続けていたり、運用方法に問題があるように見えたとしても、その裏には、より根本的な、次元の異なる原因が隠れていることが多いものです。

 私たちは、ゴールドラットの思考プロセスを使ったりしながら、いわゆる「なぜなぜ問答」の考え方を使って、その問題・症状を引き起こしている「根本原因」を探求し、裏付けをとるように務めています。
 お聞きした問題をランダムに書き出し、問題相互の因果関係を図でつないでいくと、次第にクライアントの組織が抱えている全体的な問題の構造が理解できるようになります。

 そもそも業態が陳腐化して事業の運営が限界にきていたり、事業の後継者が育たず将来が見通せない閉塞感があったり、事業の生産性が低いために低賃金と長時間労働という構造的な問題が起きていたり、経営者が主観的・裁量的な賃金・評価を続けてきたために社員の不信感を招いていたり、過去の労務トラブルが原因で経営者の人材観が「性悪説」に傾いていたり・・・様々なジレンマが問題の根本原因として浮かび上がってきます。

4.クライアントの真のニーズを知り、提供できる効用・価値を確認する
 形だけ新しい賃金・評価制度を導入し、緻密な運用ルールを作って社員研修を行ったり、立派な運用マニュアルを作ったりしても、根本的な問題が置き去りにされたままでは、結局のところ改善効果は限られます。

 では、クライアントの真のニーズとはなんでしょうか。
 例えば、ジレンマを抱えていた会社が、次のような「よりよい変化」を実現できたとしたらどうでしょうか?

1) 業態が陳腐化して事業の運営が限界にきていた
  →経営者が自ら商品開発に取り組む目標を掲げ、業態革新に経営資源を投入するようになった。

2) 事業の後継者が育たず、将来が見通せない閉塞感があった
  →事業の将来ビジョンを描き、次世代の幹部育成と事業承継に本気に取り組むようになった。

3) 事業の生産性が低いために低賃金と長時間労働という構造的な問題が起きていた
  →ムダな仕事を切り捨て、労働集約的な作業にはパートタイマーを活用して生産性を改善することができた。

4) 経営者が主観的・裁量的な賃金・評価を続けてきたために、社員の不信感を招いていた
  →組織のビジョンを共有し、賃金・評価の基準を明確化して、役割分担を決めて評価制度を運用できるようになって、組織の風通しがよくなった。

5)過去の労務トラブルが原因で経営者の人材観が「性悪説」に傾いていた
 →組織学習の手法を導入し、社員を信頼し個性を尊重することで、社員が人間的に成長する組織文化が根づきはじめた。

 実際にこのような変化が起きたとすれば、コンサルティングに対するクライアントの満足度は一挙に高まります。
 賃金・評価制度の導入・改善作業に終わっただけでは、このような価値は感じてもらえません。

 私たちはコンサルタントの真のミッションを次のように考えます。
 クライアントの依頼の裏側に隠れている真のニーズに目を向け、その解決に多少なりとも役立つように、専門的なノウハウを駆使して問題や課題を整理し、その課題解決をサポートすることで、クライアントの自己決定・自己変革を支援すること・・・。

 実際にそのようなコンサルティングの効用とクライアントの満足を実現できたとき、私たちも職業的な大きな喜びと満足感を得ることができるのです。

5.よい関係を作る
 コンサルティングは、もちろん知力・体力を使いますし、さまざまな感情的な場面に出会うことが多く、人間的にもかなりハードな仕事です。

 一方、経営者の皆さんにとっても、会社の身の丈に合った賃金・評価制度を作り、使いやすい仕組みに改変していく作業は簡単ではありません。
 「あちらを立てればこちらが立たず」。さまざまな費用や時間、マンパワーの限界の中で、シビアーな意思決定をしていかねばなりません。

 複雑な事実関係を整理しながら、組織のありのままの姿を直視し、本音の議論を重ねるのはやはり大変です。
 会社のジレンマに対し、自らの態度を明らかにしていく時には、人一倍のタフネスが要求されます。
 それだけに、仕事を進めていくにはお互いによい信頼関係を築く必要があります。

 コンサルティングを進めていくと、なかなか議論は理屈どおりに進みません。
 経営者の皆さんには、事業の成長に対する見通しやコストに対する不安、組織や人材に対する期待と不満、自負や反省などが錯綜するようで、回を重ねるたびに議論が変遷したり、話が詰めの段階にきてようやく大事な意見が出てきたりすることも珍しくありません。

 このような障害を乗り越えつつ、整合性のとれた意思決定をしていくためには、「クライアント対コンサルタント」という構え方ではうまくいかないように思います。
 「良い会社をつくるにはどうしたらいいのか」という前向きな観点でお互いに協力し、どのような選択肢があるのか、何が正しい選択なのかを真摯に判断していく協働作業が大事になります。

6.クライアントを支援する
 当たり前のことですが、コンサルタントがクライアントになり代わることは絶対できません。
 会社を経営し、賃金・評価制度を運用するのはクライアントの皆さんです。
 最後はコンサルタントに頼ることなく、自分たちで人材の配置・育成・評価・処遇を進め、社員のモチベーションを引き出せるようになっていただかねばなりません。

 コンサルタントには、相談内容についての経験や専門知識ももちろん必要ですが、クライアントがご自分たちで問題を考え、人材マネジメントのコツを掴み、判断・意思決定できるように支援する、よきガイド、コーチ、相談相手としての役割が求められます。

 そのために私たちが一番重視しているのは、クライアントの問題意識に寄り添いつつ、外部の第三者ならではの客観的な視点を積極的に持ち込み、個別の状況に合わせて適切な思考のヒントやナビゲーションをしながら、一緒に考える支援的な態度です。

 それには、何と言っても「傾聴力」が基本です。
 口でいうほど簡単ではありませんが、常日頃、五感をフル動員して「話の全体」を聴くように務めています。

 腑に落ちないことがあっても、いきなり評価したり判断したりせず、真意を確かめ、クライアントの皆さんが自己決定できるように質問するように気をつけています。

7.クライアントとともに成長する
 世界はどんどん複雑化し、変化しています。
 どのような事業も、商品・サービスもこれで終わり、完成ということがないのです。
 だとすれば、どのような組織も、私たちの誰もが、新たな未来に向かって学習し、複雑な現実に適応するべく自己変革を続けなければならないのです。

 そのためには、組織の垣根を超えて、お互いによりよい関係を築き、傾聴と対話を深め、より豊かな経験と知識を共有していかねばなりません。

 私たちは、クライアントの皆さんとの出会いを大事な機会ととらえ、その懐を借りて、真剣勝負を積み重ね、その結果を真摯に受け止め、次の仕事に活かしていく向上心を忘れないようにしたいと思います。

 私たちは、このような組織学習の考え方をクライアントの皆さんと実践するために、「成果人事研究会」という定例の勉強会を年に3回続けています。会員以外の方も自由に参加できますので、興味のある方はお気軽にお問合せください。(終わり)

プライムコンサルタントの
コンサルティング

コンサルティング会社と聞くと、「敷居が高い」「中小企業の当社には関係ない」といった考えをお持ちではありませんか?

当社のクライアントの大半は、従業員数が30~300名ほどの中堅・中小のお客様です。
これらのお客様からは「中小企業の実情を理解したうえで的確なアドバイスをくれる」「話をしっかり受け止めようとしてくれる」「いい意味でコンサル会社っぽくなく、何でも相談できる」といった声を多くいただきます。
担当コンサルタントの「親しみやすさ」も、当社の特長の一つです。

会社の規模に関わらず、一社一社のお客様と親身に対話をすることが当社の基本方針。
人事のご相談はもちろん、それに関連する専門知識を持ったコンサルタントがお客様の悩みをしっかり受け止め、人事にまつわるさまざまな課題を解決に導いてまいります。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

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