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日本の経営者は雇用人事の地殻変動に備えよう(ブックレット67号巻頭言)

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日本の経営者は雇用人事の地殻変動に備えよう(ブックレット67号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2023年6月9日(WEB開催)夏季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

日本の経営者は雇用人事の地殻変動に備えよう(35)

 ウクライナ戦争に端を発する世界的な資源高のなか、今年の賃上げはデフレ経済の終焉を思わせる様変わりの結果となった。40年ぶりの物価上昇に加え、アフターコロナの足元で再び人手不足が顕在化し、長年の賃金抑制で溜まり続けた日本社会の矛盾のマグマが一気に吹き出た感がある。

 日本の生産年齢人口は1995年の8726万人をピークに減少が続き、2022年10月現在で7420万8千人と推計されている。人口減少による人手不足はいまに始まったことではないが、企業はこれまで、パートタイマーや定年後の高年齢者の雇用拡大によって若年・中堅層の不足を補ってきた。この間、パート時給や定年再雇用賃金の待遇改善が進み、女性と高齢者の就業率が増えた。それもいまや限界に達し、本丸の正規労働者の争奪戦が熾烈化し、外国人労働者への門戸開放が近づいている。

 これからは年齢・性別・学歴・国籍を問わず、あらゆる業種・地域で絶対的な人手不足が顕在化し、賃金も上がり続ける。働き盛りの年代層はより高スキル・高賃金で働ける仕事を求めて首都圏をはじめとする大都市圏に移動し、地方は数少ない地方暮らし指向の人と高齢者しか残らない人口の二極化が進むであろう。

 日本の人事制度は、昭和の安定成長期に基本形ができあがった新卒採用、人材の内部育成・登用、 年功的な職能給、60歳定年制を特徴とする長期雇用の「メンバーシップ型」が主流となっている。企業は正社員には定年までの雇用と安定賃金を保障するかわりに無限定の働きを求め、ほぼ会社の一方的な評価査定で職務内容や配置・異動の変更、賃金待遇を裁量的に決めてきた。企業内労働組合は弱体化し、次第に会社の利益優先のための人件費抑制が社会契約的なコンセンサスとなった。教育を受けた労働力の供給、重層的な分業・下請け構造による持続的な安定経営、国民皆保険と年金制度による老後保障など、手厚い経済・社会条件がこの日本的経営を根幹で支えてきた。しかしその前提がいまことごとく変化・変質しつつある。 

 

 

  新卒採用で必要人員を充足できるのは一部の優良・大企業に限られ、いまや競争の激しい転職市場がカネのかかる人材獲得の主戦場となりつつある。

 どの業種もVUCAの動きに席巻され、新商品開発やDX等に追われ、時間をかけて人材を育てる余裕がなくなっている。人の入れ替えがむずかしく、いかに既存の人材を一人ひとりリスキリングさせるかが切実な経営課題となっている。

 標準的なキャリアモデルに基づく、身分保障的ではあるが賃金抑制に偏った硬直的な賃金制度では、戦略的な人材採用に対処できないし、多様な雇用形態や働き方改革にも対応できない。定年を境に賃金を切り下げる再雇用制度は高齢者の勤労意欲を萎えさせ、貴重なシニア人材の経験や人脈・情報網をうまく活用できない。

 2040年頃には日本の生産年齢人口は6000万人を下回ると予想され、現在の東京都人口に匹敵する1400万人の働き手が近未来にいなくなる。65歳以上の老年人口は4000万人近くまで増え続け、国の財政破綻はもはや時間の問題でしかない。

 日本の雇用人事は、長い地殻変動期に入った。経営者は過去の思い込みにとらわれず、経営の根幹で自ら人材活用を考え続ける人事のプロとなる気概が必要だろう。

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