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日本企業の人的資本投資と雇用・人事の変革(ブックレット65号巻頭言)

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日本企業の人的資本投資と雇用・人事の変革(ブックレット65号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2022年11月9日(WEB開催)秋季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

日本企業の人的資本投資と雇用・人事の変革(33)

 日米の金利差が拡大し急激な円安が止まらない。2021年初めの1ドル103円から、今年4月には130円、10月には150円を突破し、なお下げる勢いである。円安でエネルギー・資源・食料価格は容赦なく上昇し、国富の海外流出と物価高が進行する中で、日本経済・社会の将来に対し悲観論や危機感が急速に高まっている。

 雇用の足元では、コロナ対策と経済活動の両立が進み、少子化・人手不足が再び顕在化してきた。新卒の初任給や若手転職市場の賃金が上昇し、最低賃金の大幅な引き上げは来年も続く。連合は、物価上昇に対する生活防衛の立場から、2023年の春闘でベースアップを3%程度、定期昇給分を含め5%程度の賃上げを要求する。

 さまざまな動きから賃金の上昇トレンドが強まっているが、財務的余裕がない中小企業の中には、廃業も覚悟で賃上げをあきらめるところも出始めた。

 こうした中、政府・岸田政権は、付加価値の上昇に支えられた「構造的な賃金の引き上げ」を推し進め、「人的資本投資」により成長分野に労働力をシフトさせる新たな労働政策に乗り出した。賃金を増やして消費を喚起し、企業が競争力をつけて収益を上げ、原材料費や人件費の上昇を吸収できる経済の好循環を実現させる。

  (1)就業者が働きながら能力を高められるよう、デジタル分野など新たな専門技能を習得する学び(リスキル)を促進する。(2)年功序列的な職能給をジョブ型の職務給中心に見直し、専門スキルを給与に反映させやすくして人材の市場価値を高める。(3)SDGsや人材・知財など人的資本投資の情報開示を企業に義務づけ、専門人材の確保や賃上げなどのコスト増を株主や投資家に理解させる。(4)副業の認定や女性活躍の推進、70歳就業確保など幅広い労働参加を促進する。(5)多様性を重視し外部人材に開かれた職場環境に改善する。(6)企業間で人材が動きやすい労働市場環境を整える、など幅広い政策を総合して成長分野への失業なき労働移動を円滑化する方針だ。

 これまで日本企業は、競って新卒採用にお金を投じ、人材を自前で育成し定年まで熟練人材を囲い込むメンバーシップ型雇用に価値を置いてきた。結果、諸外国に比べると専門性の低い新卒人材に高額の身分賃金を支給し、専門人材や女性、外国人には職務価値に見合った給料を払えないという、いびつな待遇構造の企業が非常に多い。 

 専門性の市場価値で賃金を決めるジョブ型雇用が広がると、職務内容や勤務場所を明示した個々のポストに人材を募集し、賃金条件を約束する個別労働契約となる。

 ジョブ型雇用は労働市場じたいが流動的になり、人気のある仕事ほど競争で早く仕事口が埋まっていく。労働の売り手としても、自分が有利に評価してもらえるよう自主的に専門知識・スキルを磨き、自律的な働きで経験・実績を重ね、能力ややる気を採用側に認めてもらおうとする。学生インターンシップも事情は同じであり、今後、新卒採用への偏重は徐々に弱まっていくことが予想される。

 世界視点で人材に投資し、生産性と競争力を高めていく日本企業が増えてくると、これまで当たり前と考えられてきた雇用・人事の仕組みを、いわば事業戦略と人材戦略の側から大胆かつ柔軟に変えていく動きが急速に広がるように思われる。

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