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70歳雇用と高年齢者の活躍・待遇改善への道筋(ブックレット60号巻頭言)

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70歳雇用と高年齢者の活躍・待遇改善への道筋(ブックレット60号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2021年2月19日(WEB開催)春季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(28)

 70歳までの雇用を努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が4月からスタートする。法改正の背景には、団塊の世代のリタイアや急速な少子高齢化による社会保険財政や医療費のひっ迫を食い止め、制度維持のために、より長く高年齢者に働いてもらいたいという社会的要請がある。働く側も、デフレや労働時間の減少で年収が減り、社会保険料の負担増もあって貯えに余裕がなくなっている。年金の支給開始年齢が引き上げられる中で、定年後も働けるだけ働こうという意識が強い。

 もとより企業も、少子化・人口減少に伴う人手不足対策として高年齢者の雇用を増やしてきた。だが65歳を超えて雇用延長を加速するには、課題も大きい。長期雇用を重視する日本では、一企業内で正社員の採用・配置・育成・昇降格・退職のキャリアを完結させるメンバーシップ型・人基準の人事制度がモデルとされ、年功的な人事配置と賃金待遇が長年続いてきた。貢献の割に高賃金の高年齢者を多数抱えたまま、65歳さらに70歳まで雇用を延長したのでは、生産性の裏づけのない人件費の膨張を招き、人材活用の面でも深刻な袋小路に陥るリスクがある。

 例えば、過去の経験にしがみつき、柔軟性や融通性に欠ける高年齢者が一線業務に滞留し続ければ、業務改善や技術革新が停滞しかねない。若手・中堅層の活躍・成長の機会を奪い、世代間の分断や生産性低下を招く事態も想像できよう。
 ただし雇用延長のために機械的に定年後の継続雇用賃金を切り下げる従来の方法では、高年齢者の活躍やモチベーションはまず望めない。これはほぼ定説といえる。このような袋小路を防ぎ、高年齢者の活躍と待遇改善を図る方策とはどのようなものだろうか。筆者の考えは、第一に、伸びしろが大きく有能な若手が先端的技術やマーケティング、組織運営などの戦略課題に全力でチャレンジできるよう、組織編制を機動的にアップデートする実力主義の人事管理を常態化することである。

 二つ目に、高年齢社員が管理職の地位に長く居続けて組織が停滞するのを防ぐため、役職定年や任期制、昇降格の評価基準を設け、若手人材に昇進の道を開く人事を実行することである。そのためには若いうちから主体的なキャリア意識を植えつけ、また世代を超えて経営の大きな目的を共有し、常在戦場の組織風土のもとで全体で成果を上げる最適なフォーメーションを維持する必要がある。

 
 三つ目に、高年齢者の強みである経験や知識・スキル、習慣や人脈が実際に活かせる仕事に就かせ、チームに貢献できる自己効力感や有能感を持たせて、妥当な賃金を支給することである。仕事は、当事者意識を持って共同体に参加し成果を上げ、貢献してこそ面白くやる気や幸福感につながる。この基本は高年齢者も同じである。

 最後に、長期勤続による高度な熟練や専門性が、組織の高い生産性につながるように業態を磨き上げ、高年齢者の活躍が高い士気と賃金待遇に直結するような評価とインセンティブを実施することである。従来の人基準の人事制度は、今後は「役割貢献」をコンセプトに若年層からハイクラスの専門人材、外国人、ミドルマネジャー、高年齢者など、多様な人材を活用・評価・処遇できる仕事基準の人事制度に徐々にシフトしていくものと思われる。

 

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