1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. WEB連載記事
  4. プライムブックレット巻頭言
  5. 査定評価の限界と成長支援の関係性への転換(ブックレット59号巻頭言)

プライムCメディア

査定評価の限界と成長支援の関係性への転換(ブックレット59号巻頭言)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
査定評価の限界と成長支援の関係性への転換(ブックレット59号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2020年11月11日(WEB開催)秋季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(27)

 人を雇い、よい仕事をさせるためには、組織が目指すゴールを働く人たちと共有し、具体的な仕事の達成基準を明確にするだけでなく、実際の勤務態度や仕事の成績、能力・意欲を継続して観察・評定することが不可欠である。評定は働く人に規律をもたらすだけでなく、賞与や賃金の決定、昇降格を通して金銭報酬の合理的な配分を実現し、働く人の報酬の納得感を高める働きをする。

 このような査定の緊張感がないと、仕事の目標や規律があいまいになり、改善や成長への動機づけが失われ、組織の能率の低下やマンネリ化、士気の低下を招く。
 では査定のフィードバックや金銭報酬のインセンティブを強化し続ければ、物事がいつもうまくいくかというと、それだけでは済まない事情がある。

 高い評価を受けたとしても、人は他人の評価やお金のためだけに働くのではない。
 低い評価を受けたとしても、人は我慢やあきらめ、無視といった負の学習を通して、生活者のプライドを守ることができる。どちらにしろ、人は年月を重ねるうちに、それぞれの経済的・心理的報酬感に見合う自己満足や惰性の領域で仕事をするようになり、それ以上に頑張ろうとは考えなくなる。これが査定主義の限界である。

 他方で、査定を超越して、仕事そのものの面白さや働く人どうしの関係性がもたらす幸福感を何よりも大切にする人たちがいる。また、変化する状況の中で、力を合わせて仕事を進化させ、困難を乗り越えて成果を上げる醍醐味や、社会を支える責任感や変革をもたらす使命感に大きな意義を感じる人たちがいる。

 人がこうした境地に至る背景には、人としての成長感や自己実現の満足など、高次元の仕事でしか得られない心理的・社会的報酬の蓄積があると言ってよい。例えば、ふとした出来事で自己効力感を持ったことが自信につながり、その満足を得たいと精進を重ねるうちに、仕事がますます面白くなったというような経験である。

 そこでは、他人の評価というよりも、達成したことの意味や価値を自分で強く感じ取り、肯定的な自己評価や人間的な覚醒・成長感を得たことが内面的な満足となり、強い心的エネルギーをもたらす源となっている。金銭報酬の秩序や査定はもちろん大事だが、これからの評価は、むしろこのような金銭査定の力が及ばない人間力に焦点を当て、そのポジティブな可能性を引き出すことに注力する必要がある。

 最も効果的な方法は、査定を軸とした上司と部下の関係性から、仕事を通したチームの成長を軸に、心理的・社会的報酬の質を一緒に高めていく関係性に意識的に変えていくことである。そのために、部下と目標や評価基準を共有するだけでなく、具体的な仕事の要所について1on1の話し込みやOJTを小まめに行うとよい。働く人が仕事の中で自己効力感を持てるような、支援的・共感的な関わりの場を持ち続ける。


 評価期間の区切りでは、仕事の実績を一緒に振り返り、達成したことの意味や問題点、新たな改善課題を探求し、来期の目標設定につなげる対話に集中するのである。

 このように一人ひとりの状況に合わせた成長支援的な関わりをする上司であれば、人は進んで評価を受け入れ、そのフィードバックにも真摯に耳を傾けるようになる。

「プライムブックレット巻頭言」は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介するものです。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ