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アフターコロナを見据えた「同一労働同一賃金」対応(ブックレット58号巻頭言)

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アフターコロナを見据えた「同一労働同一賃金」対応(ブックレット58号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2020年6月10日(WEB開催)夏季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(26)

 新型コロナウイルスによる世界的な感染爆発は、人類の生活・社会・経済が常に自然災害や疫病の脅威と隣り合わせである現実を改めて私たちに突き付けた。台風、洪水、山火事、噴火、大地震などの自然災害や、原発事故による放射能災害は、被害に遭った人とそうでなかった人との間に情容赦のない被害差を生む。

 今回のコロナウイルス禍は、発症者の健康被害とそれを救おうとする家族や医療従事者の過酷な負担は言うに及ばず、感染・発症していない人たちにも未曾有の社会的負担や経済的損失を強いている。新型ウイルスの潜伏期間は長く、感染しても無症状の人が多い反面、いったん発症すれば死にも至る。確かな予防法も治療法も見つかっていないため、感染症対策としては発症者の隔離治療を徹底し、新規感染者を出さないよう人々の社会的接触を減らして清潔・消毒に努める防疫しかない。

 日本の場合は2カ月に及んだ非常事態措置により、休業・休校や不要不急の外出の自粛が進み、深刻な医療崩壊を招くオーバーシュートはぎりぎり回避できた。ただ世界規模での経済の停滞と長期間のステイホームによる需要の激減は企業や自営業者に大打撃となり、不況は深刻である。休業・廃業や解雇のため失業者が急増し、収益悪化により賞与の減額や賃金カットに踏み切る企業も一層増えるに違いない。

 この困難なタイミングに、同じ会社で働く正社員と非正社員との間で、不合理な待遇差の解消(同一労働同一賃金)と、非正社員が求めた場合の待遇差の説明を義務づける新パートタイム・有期雇用労働法がスタートした。コロナショックの中で存亡の危機にある会社や、社員の雇用や給料を守るだけで精一杯という企業にとって、このタイミングでの新法には反発もあるかもしれない。厚労省も具体的な適用には頭を悩ませているはずだ。ただし現に法律はスタートし、改正法にしっかり対応した企業があるのも事実だ。非正規の人たちの関心も高く、これまでの待遇差を放置したままでは大きな法的リスクを抱えることになる。

 今回のコロナ禍は、改めて私たちの社会経済が日々の労働によって得られるお金を媒介に、商品の生産・購入・消費そして人々の生活と健康、命の営みが回っているという、資本制社会のシンプルな事実を白日の下にさらけ出した。人々の判断基準も鋭敏なものとなり、アフターコロナの3年後、5年後を見据えて賢く行動しようという人々が急増している。人口減少と高齢化が進み社会的負担が重くのしかかる中で、古い昭和の時代を引きずった非効率な政治・行政の改革は急務となっている。海外企業の追い上げは激しく、過去の遺産に囚われ、クリエイティブな仕事ができない会社は、どんな名門会社であれ淘汰される時代だ。

 同一労働同一賃金だけでなく、経営としてどのような経営課題に向き合い、いかなる優先順位で物事に取り組むのかを、企業で働く従業員も家族も鋭く見ている。会社が従業員をどのように扱おうとしているのか、自分のキャリアや生活を掛けるに値する場なのか、活躍・成長の機会があるのかを真剣に考えて、自身の働き方を選択しようという動きがますます加速していくだろう。これからの経営には、このような働く人たちのニーズに応える強靭な意思決定が求められる。

「プライムブックレット巻頭言」は、プライムコンサルタントが主宰する「成果人事研究会」の研究会資料「プライムブックレット」の内容の一部をご紹介するものです。

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