1. 賃金・評価などの人事コンサルティングならプライムコンサルタント
  2. プライム Cメディア
  3. WEB連載記事
  4. プライムブックレット巻頭言
  5. 人が真の底力を発揮して働く経路と組織の評価基準(ブックレット57号巻頭言)

プライムCメディア

人が真の底力を発揮して働く経路と組織の評価基準(ブックレット57号巻頭言)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
人が真の底力を発揮して働く経路と組織の評価基準(ブックレット57号巻頭言)

株式会社プライムコンサルタント代表  菊谷寛之
(2020年2月18日(東京)・20日(大阪)開催 春季定例研究会 ブックレット「はじめに」より)

人材マネジメントを展望する(25)

 就職にせよ転職にせよ、自分の意思で会社を選択したのであれば、誰でも少なくとも最初は人並みに組織に貢献したいという意欲を持って入社してくる。ただ実際に力を発揮し、やる気が続く人ばかりかというと必ずしもそうではない。そこには個人・組織ともに、越えねばならない厳しいハードルがある。

 まず個人サイドでは、その会社で働こうと決めた動機を素直に受け止め、組織の中で実際に貢献できる仕事の機会を見出し、成果の上がる働き方に意識を集中することが大事である。過去の成功体験で強みとしてきた思考・行動へのこだわりをリセットし、新たなフィールドで出直し、新たにスキルを獲得し直すという気構えが不可欠である。学生生活や前職の延長線上に活躍・成長の場が用意されているというような甘い期待を抱いて組織に入った者は、苦い失望や挫折感を味わうだろう。

 次に組織サイドからは、一人ひとりの働く動機に具体的に応えられる仕事の与え方に配慮し、動機に見合う確かな経済的・心理的報酬を提供しなければならない。手に職をつけ生活の糧を得たい者には、入りやすい仕事と給料を用意し(報酬1.0)、成長や成果の見返りを期待する者には体系的な知識・スキルを支援し、各人がストレッチできる適切な目標を与え、その出来ばえを評価するとともに、励みの持てる賞与や昇給の仕組みを用意する必要がある(報酬2.0)。

 仕事を通した効力感や成長感、達成感など仕事そのものの満足を強く求める者には、経済的なインセンティブよりも、むしろ各人が思い描く仕事の意義・目的と、組織の目指すゴールとの丁寧なすり合わせが大事になる。各人の内発的な動機に基づいて生産的に仕事に専念できる環境を整え、ハイスキルの人材には野心的な挑戦の機会を与え、物心両面の支援とフィードバックを行うことが大切だ(報酬3.0)。

 さらに自身の個性や経験・能力を活かし、最大限の顧客価値を目指して全力投球したい、組織目標の達成を通して自己実現を図りたいという人材とは、組織の使命や社会変革のビジョン、事業の問題点や戦略課題を積極的に共有し、組織の能率と効果性を高める変革に深くコミットさせることが決定的に重要である(報酬4.0)。

 人々がどのような動機で仕事をし、どの次元の報酬に働き甲斐を感じるかは、個々の生活事情や能力・意欲、キャリアの成長段階によって違って当然だ。ただ、いったん組織の一員となった以上は、異なる動機に寄り添いつつお互いの協力関係を確認し合い、仕事の経験を通して幅広い知見を身につけるコミュニティに参加させることが最低限必要である。そのうえで、日ごろからお互いの気づきや企図をていねいに対話し合える支援的な関係性を意識的に作り上げ、一人でも多くのメンバーが、より高次元の動機や報酬に目を向け、組織の集合知とクリエイティビティを高める思考と行動にスイッチし、組織人として成長できるよう啓発し続ける必要がある。

 一人ひとりの着想から発した仕事の改善やシステムの提案から始めて、徐々に大胆な企画や計画がリードできるようになれば、人はいつか真の底力を発揮し、より高次元の働きに気持ちを集中していくことだろう。大きな環境変化に直面し、停滞と変革の岐路に立つ日本企業には、このような高次元の活動を心から奨励し賞賛する前向きの組織文化と、その促進につながる評価基準が何よりも必要とされている。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ