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休職・復職ー2ー

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休職・復職ー2ー

著者・米田徹氏のプロフィールはこちら

賢い会社の就業規則・人事規程作成のポイント(11)

Q

私傷病での休職の場合、休職期間の長さはどの位が妥当でしょうか?

A

前回も申し上げたように、休職制度は法で義務付けられたものではないので、その長さについても会社が自由に決めていいのです。

 この期間については、その会社の規模に応じて扱いが変ってくると思います。
 大企業であれば、3年とか長期の休業期間を設定しても、代員の問題はある程度融通が利くと思いますが、中小企業のように社員数が限られている中で あまり長期の休業期間を設定するのは問題があると思います。

Q

当社は従業員が約50名の製造・卸売り会社です。休職期間は原則1年となっていますがいかがでしょうか?

A

実際には1年程度と定めている中小企業は多いと思いますが、私は中小企業の場合、やや長い感じがします。

 なぜなら休職者が出た場合、どのタイミングで代りの人を雇うべきなのか、判断が難しいと思うからです。
 新たに雇い入れた途端に休職していた社員が職場復帰してくる可能性もありますね。そんな場合、大企業ならともかく中小企業の場合は一人分の仕事を作り出すのは容易ではありません。

 したがって、従業員数が50名以内の会社なら休職期間は長くても6ヶ月、できたら3ヶ月程度とするが適当だと考えます。
 もちろん、例外もときには必要で、能力の高い社員が運悪く私傷病になってしまった場合には、会社の判断で休職期間の延長を認めるような例外規定も用意しておくべきでしょう。

(例)「傷病による休職期間は○ヶ月とする。ただし、事情によって会社が特に認めた場合、期間を延長することがある。」

 また、勤続年数に応じて、例えば、勤続3年未満は1ヶ月、3年から10年なら3ヶ月、勤続10年以上なら6ヶ月といったように、社員の勤続年数によって段階的に定めるのも良いと思います。
 勤続1年未満の社員が私傷病(例えば精神疾患等)で1年間休職できるというような規定は会社に負担がかかりすぎるのでやめるべきでしょう。

Q

なるほど、休職期間は会社の規模や経営体力によって検討すべきなのですね。ところで、休職期間中の給与はどうなるのでしょうか?

A

私傷病の場合、通常は健康保険から(継続3日間の待期後)「傷病手当金」がでるはずで給与を支払うとその分調整されてしまいますので、「無給」とするのが普通です。

 ただし、「無給」とはいっても休職期間中の社会保険料は労使双方で負担し、会社が納付の義務を負いますので、あまり長期間の休職を認めるのは特に中小企業にとっては経費(社会保険料負担等)の面でも影響が大きいということが言えます。

 また、休職期間を勤続年数に算入するか否かも明確に規定しておきましょう。私傷病の休職については、勤続年数(退職金の計算等に影響)には算入しないのが一般的だと考えます。

Q

さて、休職期間が満了しても復帰できない場合は、本人は「解雇」になるのでしょうか?

A

「休職期間が満了しても復職できないときは、解雇する。」といった規定を見かけますが、「解雇」というのは、会社からの本人への一方的な労働契約の打ち切りの意思表示という意味になるので、解雇予告手続き(労基法20条)が必要になります。

 休職期間の満了については、「解雇」ではなく「自然退職」と定めておくのが適当で、以下のように規定しておくとよいでしょう。

(例)「休職期間が満了しても復職できないときは、休職期間の満了をもって退職とする。」

 もちろん、自然退職の場合でも休職期間が満了する前には、よく連絡を取り合って本人も納得して退職となるよう解雇予告手続きに準じた配慮はするようにしてください。

Q

「復職」できなければ自然退職となるわけですが、「復職」できるかの判断は難しいですね。特に最近多い精神疾患の場合などは会社も困惑します。

A

私傷病休職は社員側の事情で休職となるわけですので、休職事由が消滅(「治癒」)したことの証明は(必要に応じ病院の診断書の提出など)社員側が行うのが原則です。

 「復職を希望する者は復職願いを提出しなければならない。この場合、休職事由が私傷病の場合は医師による診断書を添えて提出しなければならない」と規定するのもよいでしょう。
 その上で、復職できるか否かの最終判断は会社が行います。

 精神疾患のような場合、主治医の診断書が提出され「職場復帰可能」との記載があった場合でも、患者の意向が反映されたものになっていることも多いでしょう。
 「復職可否」の判断に際して主治医の判断に疑問があれば会社の指定医(産業医)の意見を聴けるような規定をしておくことが重要です。

(例)「復職にあたっては、必要に応じて会社が指定する医師の診断および診断書の提出を命じる場合がある。」

 次回も「休職・復職」について検討してみましょう。

今回のポイント

  • 私傷病休職の長さは会社の規模や体力によって異なるが、中小企業の場合長くて6ヶ月、できたら3ヵ月程度が妥当と考えられる。
  • 勤続年数に応じて段階的に休職可能期間を決めるのも良い。また、会社の判断で休職期間の延長を認める場合があることを定める(例外規定)。
  • 私傷病休職期間の給与は「無給」とする。休職期間は勤続年数に算入しないのが一般的。
  • 休職期間を満了しても復帰できない場合、「解雇」ではなく「自然退職」と規定する。
  • 職場復帰の判断に疑義があれば、会社指定の医師の診断を受けるよう命じることができるように定める。

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